2022-01-01から1年間の記事一覧

ラストナイト・イン・ソーホー(エドガー・ライト)

正直、物語の結構が弱いと思いました。きらびやかな画作り、ジャーロ的なショックシーンが目を引くだけに余計そう感じたのかもしれません。見せたい画がまずあって、それらが出てくる必然性について最低限つじつまが合えばいいや、と考えているような。冷静…

バイオハザード: ザ・ファイナル(ポール・W・S・アンダーソン)

5作目まで律儀に映画館へ観に行って、もう、付き合うの、いいかな、と思ってそのままにしていたのだけど、そうか6作目で完結だったんだ、ということで見てみました。 結局これまでの内容と大差なかったですね。これならどの時点で完結させてもよかったので…

神の一手(チョ・ボムグ)

エクストリーム囲碁バイオレンスアクション。まあマンガですね。暴力+囲碁というぶっ飛んだ設定がすごい。 というような映画に突っ込むのも野暮なんでしょうが、囲碁の勝負で勝利したら悪役が逆ギレするので返り討ちにする、というパターンになっているのだ…

ターミナル・リスト

超面白かったです。フークワプロデュースだけど、『イコライザー2』を原液で希釈せずに8倍したような話だった。やっぱり継続に色気をださずにシリーズで完結するつくりがいいですよね。信頼できない語り手を模した導入部分も良かった。 テーマの部分ですが…

いずれは死ぬ身(柴田元幸 編訳)

ニューヨーカーに掲載されるような小説で、かつ玄人好みの作品群かなと思いました。タイトルどおり諦念が通奏低音のような選集ですね。もともと好きなトム・ジョーンズ(舞城訳よりこちらが好み)やオースターがよかった。村上春樹の文体に引っ張られている…

ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館(ジェームズ・ワトキンス)

(ネタバレ)完全に『リング』でしたね。プロダクションデザインが良い仕事をしていると思いました。 ☆☆☆

コーダ あいのうた(シアン・ヘダー)

すごく良かったです。作品を構成するあらゆる面において行き届いているな、と感じました。役者陣は総じて素晴らしかったのですが(賞レースを席巻したのも納得)、歌の先生役のエウヘニオ・デルベスが特によかったですね。 ☆☆☆1/2

殺しの接吻(ウィリアム・ゴールドマン)

最初に読んだのは翻訳が出た頃だから随分前なのですが、その時の印象以上にすごく面白かったです。そういえば1回目は穿った読み方をしすぎて、序盤、犯人は主人公の別人格なんだと思いながら読んでいました。 改めて読み返すと、ゴールドマン節というかクセ…

野蛮なやつら(オリバー・ストーン)

最後のシーンで迂闊にもようやく気が付いたけど『明日に向かって撃て!』なんですね。『Uターン』みたいな悪夢的な感じだったら面白いなと期待していたのだけど、ちょっと冗長かな。職人に徹したのか、監督らしさもあまりなかったような。 ☆☆☆1/2

モンスターハンター(ポール・W・S・アンダーソン)

(個人的には監督の最高傑作だと思っている)『エイリアンVSプレデター』を別の枠組みでやろうとした感じがして結構好きでした。そういう意味で『ブレードランナー』と『ブラックレイン』の関係性に似ている。 ☆☆☆1/2

7+(冨田ラボ)

ここ最近の冨田ラボは、十八番の外へ抜け出そうと苦闘しているように感じられた(個人的にはあまりピンとこなかった)のだけど、久しぶりに初期アルバムの頃のウェルメイドな感じに回帰している印象で良かったです。 しかし創作者としては同じようなことを繰…

ちょっと思い出しただけ(松居大悟)

偶発性を意図した(実際は脚本どおりだったそうですが)ような映画は、邦画では自分はちょっと好みじゃないんだなと改めて認識しました。それこそジャームッシュみたいに「外国の」というフィルターがないとむずがゆくなるのかな…※ 役者陣は達者な人ばかりで…

黒き荒野の果て(S・A・コスビー)

定番の物語を手堅く読ませるな、と思いました。最後の仕事と思い定めたヤマが泥沼に、という100回くらい読んだ話なんだけど、枠組の力強さで引き込まれる。(人物がよく描けているということかもしれない。)カーチェイスをはじめとしたアクション描画も的確…

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(アンディ・サーキス)

予告以上のことが全く起こらない。敵役はもうちょっと掘り下げようがあったような気がします。つまるところヴェノムちゃんの可愛らしさに甘え過ぎなのではなかろうか? ☆☆☆

ゴッドファーザー マイケル・コルレオーネの最後(フランシス・F・コッポラ

公開当時は酷評でスルーして今頃初めて見たのだけど、ソフィアはやはり厳しいと言わざるを得ない感じでした。(調子に乗ってる感じが役と一致していると言えなくもないけれど…) ところでオペラのシーンはジャーロ風というか「格調高いアルジェント」みたいで…

開眼

ゴルフのスイングとは不思議なもので、理論上どのように振り抜けばよいかわかっていても身体が再現できない。が、ある瞬間突然すべての理屈がかみ合って素晴らしいショットの連発となる場合がある。そうか!そういうことだったのか!あのレッスン書や雑誌に…

とうもろこし倉の幽霊(R・A・ラファティ)

ラファティの方法論は何となく分かっちゃったからな…となめてたら久しぶりにぶっ飛んだ。 「さあ、恐れなく炎の中へ~」はエリスン的な終末観がすごいし、「チョスキー・ボトム」は奇想と伏線回収のウェルメイドが同居しているのが巧み(ある意味、作者はな…

ゴッドファーザー PART II(フランシス・フォード・コッポラ)

改めて見てみると、世間的な評判ほどには感心しなかったというか。やはり1作目の拡大版という印象は拭えない。 ところでデ・ニーロが駆け出しの頃は実はデ・パルマと組んでいて『アンタッチャブル』のカポネは逆輸入的出演だった、とか、パチーノが『スカー…

his(今泉力哉)

どの登場人物に対してもフェアな視線が保たれていたのは好印象でした。一方、主要キャラクターのみならず脇を固める人物たちもどこかで見たような類型的な造形で。僕にとって今泉作品の魅力は、どこか一般的な枠組みからはみ出すような、ステレオタイプを突…

KCIA 南山の部長たち(ウ・ミンホ)

組織で生きることのままならなさがよく描かれていてとても面白かった。それと「取り乱して後から裸足だったと気づく」のようなディテールが具体的で、史実を基に映画化したというリアリティをグッと迫真性を持って観客に感じさせることに成功していたと思い…

佐々木、イン、マイマイン(内山拓也)

なかなか見かけない感じのバランスで作られた青春映画でした。ムービーウォッチメンで宇多丸さんが「友情というものの得体の知れなさ」と表現していたけど、本当に「かけがえのない時間」でありながら「寄る辺なきもの」でもあるという不思議な関係性を良く…

ナイト・エージェント(マシュー・クワーク)

あまり話題になっていた印象がないけれどとても面白かった。体制側の仕組んだ陰謀で誰を信用してよいか分からないし、誰にも助けを求められない、というのはベタな設定ではあるけれど手堅い物語運びで緊張感があった。それ以上に現状のロシアを巡る政治情勢…

息吹(テッド・チャン)

SFは、現状発明または発見されていない事物・事象そのものの面白さに軸足を置いたものと、それが社会に与えるインパクト、変容を中心に描くものがあると思うけれど、テッド・チャンは明らかに後者ですよね。私は両者のバランスがとれたもの(といっても結局…

ハードコア(イリヤ・ナイシュラー)

1シーンごとに工夫が凝らされていて、アクションの組み立ても立体的(落下や建物の高低の演出がいい)で素晴らしい。GoProとワイヤーで作っただけですよ、と監督はインタビューで謙遜してたけど、本当にどうやって撮ったか分からない場面も多かった。 不死身…

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結(ジェームズ・ガン)

大変面白かった。汚れ仕事に長く従事しすぎて憔悴し、世をはかなんでいると思しきブラッドスポートが、行動を重ねる中で自身でも曖昧だった信念や行動原理に焦点が定まっていく、という過程が物語の進行と一致していて、映画の作りとしてすごく上手だなと思…

ライトハウス(ロバート・エガース)

ある種の雰囲気があるのは確かだけど、それほどでも…というのが正直な印象でした。役者2人はものすごく頑張ってたけれど。 ☆☆☆

はちどり(キム・ボラ)

いい映画だと思う。思うけれど、終始つらい感じが続き、手放しで幸せ、というシーンがなかったので見通すのが正直つらかった。(この作品のテーマとしてノイズになるので除いたのかもしれないけれど、あの時期であっても「手放しで幸せ」という瞬間はあるの…

マッドマックス(ジョージ・ミラー)

小学生の頃テレビのロードショーで見たきりだったけど、こんな怖い映画だったかな?(だいぶカットされてるとはいえ)ある程度普通のアクション映画という記憶だったけど。 ☆☆☆

マカロワ(後藤輝基)

藤井隆で一番好きなのはやっぱり『ロミオ道行』で、その後のアルバムも好きではあるけどそこまででは…という感じだったのが、後藤輝基の『マカロワ』はかなり比肩する良さだった。アーティストとして自身で同じことは繰り返せないけれど、プロデュース作品な…

トップガン マーヴェリック(ジョセフ・コジンスキー)

ツッコミ待ちに突っ込むのも無粋なのかもしれないが、冒頭の『ライトスタッフ』ごっこ、やりたかったんだろうな、念を押すようにエド・ハリスも出てるしな、と思いました。※ 一番驚いたのは、ジェニファー・コネリーが前作から出てるような佇まいでシレっと…