2024-01-01から1年間の記事一覧

カード・カウンター(ポール・シュレイダー)

端的にいえばポール・シュレイダーのいつものやつ(罪と贖罪)、なんだけどやっぱり良かったですね。何も起こっていない場面でも「映画が持っている」感じがするのって豊かな印象を受ける。蓮實重彦のいう「ショット」というのがそれなのかなという気もして…

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(ホアキン・ドス・サントス他)

今回はアマゾンプライムだったので、落ち着いて見ることができました。リアルタイムでは、ただでさえ情報過多な画面が映画館の大スクリーンだから消化しきれないところがあったけど、テレビだと全体が把握できて意外と悪くありませんでした。 公開当時も思っ…

イメージズ(ロバート・アルトマン)

これまでこの作品の存在を知らなかったのだけど、精神的に問題を抱えている人の主観で描くということで、(手法としては実はあまり感心はしなかったのだけど)『ファーザー』の元ネタはこれだったんだな(まんまだな)と思いました。 しかし70年代の映画って…

シェイプ・オブ・ウォーター(ギレルモ・デル・トロ)

実はデル・トロ監督の箱庭的窮屈な世界観がどちらかというと苦手なんだけど、この物語には合っていたと思います。半魚人愛、クラシック映画愛があふれていましたね。個人的には結末は『パンズ・ラビリンス』と同じだと思っていて、想像の世界の自由は誰にも…

マーベラス(マーティン・キャンベル)

世界情勢もあって香港アクションが低調な現在、そういう感じのやつをほどほどの予算でハリウッドで作ったらいいんじゃないか?と、『ザ・フォーリナー』の成功で手ごたえを感じてという流れじゃないかと推測したのですが。作品としては、年を重ねた殺し屋が…

犬ヶ島(ウェス・アンダーソン)

細部へのこだわりが相変わらず爆発していて、しかも舞台が架空の日本だから何とも言えない味わいがありました。ゴミの埋め立て地が「夢の島」という名前であるというグロテスクさについては日本人なら(昭和生まれなら?)何となく共通の概念としてイメージ…

ロードハウス 孤独の街(ダグ・リーマン)

オリジナルの作品が好きなのなんて自分くらいだと思っていたら、突然リメイクされたからびっくりしました。しかし正直なところ、一部の好事家が偏愛するB級アクションというのが実質だと思うのでどんなものかと見てみましたが… ワイヤーフェンスで囲まれた…

赤い右手(ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ)

先日読んだ作者の短編集『恐ろしく奇妙な夜』が随分変わったテイストの作品で気になったので、長編はどんな感じかなと読んでみたのですが、いくらなんでもこれはないだろうというカルトミステリだったように思います。98年度の「このミステリーがすごい」海…

かがみの孤城(原恵一)

ビジュアルの構えがファンタジー風であったからどういう物語なんだろうと思っていましたが、同監督作の『カラフル』と同じジャンルの作品だったかなと思います。人物造形や演出が実直でした。見ていて涙せずにはいられなかったし、届くべき人に届いてほしい…

デューン 砂の惑星 PART2(ドゥニ・ヴィルヌーヴ)

正直、(テーマやモチーフを思うと)この時期での公開はタイミングとしてよかったような悪かったような…それはさておき、このクオリティでやり切ったのは素晴らしいと思います。圧倒的な砂漠の説得力。 でも結構丁寧に進めるから、途中ペースが不安になって…

ある男(石川慶)

射程の限界も含めて現代版『砂の器』なんだと思いました。最後あんなに辛い感じにする必要あったかな? ☆☆☆1/2 ※世評の高い出演陣の演技も、どこか邦画の演出の規範どおりという印象であまり感銘を受けませんでした。

お城の人々(ジョーン・エイキン)

ちょっと寓話的な大人の童話といった感じなのでしょうか。訳者解説にあるように濃厚な死の匂いがあるにも関わらず、ハッピーエンドが多かった印象です。正直言うと期待していたよりはちょっとパンチ不足だったのだけど、人生は生きるに足る価値がある、とい…

羊たちの沈黙(ジョナサン・デミ)

こういうタイプの娯楽作がアカデミー賞を獲るなんて!と当時思ったものだけど、やっぱり今に到るまで異色ではありますよね。あと公開時は面白いと思ったものの普通だなという感想だったのですが、改めて今見ると演技だけでなく、美術、衣装、撮影、細部に至…

BLUE GIANT(立川譲)

青年誌漫画をアニメ化した時のいなたさ(90年代~2000年代前半くらい?の雰囲気)みたいなものがあってそれは悪くなかったのだけど、演奏の場面でのCG使いがこなれていない※のと、特に厳しかったのは「演奏されている音楽がいかに素晴らしいか」は漫画では読…

SISU/シス 不死身の男(ヤルマリ・フレンダー)

章立てされた構成といい、フォントにも明らかでしたが、北欧風マカロニウエスタン(名犬を添えて)といった風情でしたね。噂通りの面白さでした。ディテールの豊かさもよかったです。 「舐めてた相手が殺人マシーンだった」ものとして既に一定の面白さが確保…

オンブレ(エルモア・レナード)

骨太という他ないソリッドなウエスタン。すごく面白かったです。こういう小説が時々読めると最高だな。盗賊団の襲撃に巻き込まれ、駅馬車の乗客として乗り合わせた色々な立場の人が意見を文字通り命がけで戦わせる。最近顕著な左派/右派の衝突のメタファー…

ローラーボール(ノーマン・ジュイソン)

カルト映画になるべくしてなったというか、狙ったわけじゃない「天然もの」の匂いがする作品でした。そのルールが面白いんだかどうだかわからない暴力スポーツ「ローラーボール」も微妙だけど、ディストピアですよ!と煽ってくる割りに実態が判然としない企…

ザ・ロストシティ(アーロン・ニー、アダム・ニー)

もともとの秘境ものとしては『ロスト・シティZ』を踏まえているのかな、と思うのだけど、ジャンルとしては完全に『ロマンシング・ストーン』の現代版ですね。知らなかったけどキャストが贅沢で、ブラッド・ピットの使い方が贅沢だし、ダニエル・ラドクリフは…

22ジャンプストリート(フィル・ロード、クリストファー・ミラー)

ひとつひとつはしょうもないギャグなんだけど、執拗に繰り返されるためについには笑うしかない、という前作同様のコメディ。なかなか下品だし、少し前の映画だけど当時としてもかなりギリギリの線を狙ったネタが多いかなと思いました。そういう意味では主演…

ヴァチカンのエクソシスト(ジュリアス・エイヴァリー)

いい湯加減の娯楽作品。ところでエクソシストものって実話ベースじゃないといけないの?と思ったり。ともあれラッセル・クロウの座持ちする存在感に感嘆。あと被害を被る娘さんがヘイリー・スタインフェルドみたいだなと思ったり、息子の方の特異な相貌が効…

愚者の街(ロス・トーマス)

ロス・トーマス作品は初めて読むのですが、というか恥ずかしながら今回初めて知ったのですが、最高に面白かったです。 突飛で奇矯な造形のキャラクターが繚乱でグロテスクな物語が展開するところは、ウィリアム・ゴールドマンの作品を連想しました。ノワール…

チャーリーズ・エンジェル(エリザベス・バンクス)

マックGの映画化が快調だった記憶がまだ強いので、今作はシリアスにしたいのかお気楽おもしろ路線なのか、いささか中途半端な印象でした。ありていにいってガールズ・エンパワメント路線を狙っているのだろうと思うのだけど、それは主人公たちが格好良ければ…

燃ゆる月(パク・チェヒョン)

この頃の韓国映画はとにかく面白いとされている他国の作品を貪欲に吸収しようとしていたのだと思います。この作品でいうと香港の武侠映画だけど(ルックやメイクが笑ってしまうほどツイ・ハーク)、何が肝なのか分かっていない。ケレンがないしシンプルなロ…

ブリキの太鼓(フォルカー・シュレンドルフ)

何というか、小説にせよ映画にせよ、メタファーが効いてることがよしとされた時代の作品だなと思います。最近流行らないというかもうちょっと洗練されたのか…。あとこういう作風がカンヌ映画祭向け、とされていた時代の匂いも感じました。 ☆☆☆

ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(ルイ・レテリエ)

なんかまあ『ハートブルー』だよね…と思ってたあの頃、いつの間にか超ビッグバジェット映画になってしまっていたんですね。(飛び飛びしか見てないので…)エンドクレジットの音楽なんてむしろ007シリーズのような雰囲気まであるような。これでもかと総決算の…

レザボア・ドッグス(クエンティン・タランティーノ)

公開時以来に見たけれど、今見るとやっぱり荒いし、いかにもインディペンデント作品といった雰囲気が拭えない。(ついでにいうとそこが当時のミニシアターっぽいのが面白い。)しかし使われている音楽の発掘の先見性が群を抜いているし(というかこの映画で…

レミニセンス(リサ・ジョイ)

てっきり『インセプション』の亜流かと思いきや、道具立てこそそうだけど、結構正統派のノワールでした。(必要な要素は全部あると思います。)舞台も荒廃した未来としては割と新鮮なイメージで悪くなかったです。でも正直それ以上のものはなかったかな… ☆☆☆

ピアノ・レッスン(ジェーン・カンピオン)

(好きな方は読まれないでください。)主人公がすごくシガニー・ウィーバーぽい撮られ方してるなと思いながら見ていたら、当初監督は本当に彼女を想定していたそうですね。あと、公開当時から、言葉を話すことができないのはてっきり娘の方だとなぜか思い込…

リーチャー:シーズン2(監督は複数)

シーズン1も相当面白かったけど、シーズン2は予想を超えて面白かった。ガンアクションの組み立てもスムーズだし、スパッと決着が付くのも最高でした。『ザ・ボーイズ』は物語を続けんがために悪役を延命するような無理な展開があって大いに失望したけど、…

最後の三角形(ジェフリー・フォード)

青春小説のようなすごく叙情的な作品からドサッと結末が投げ出されるようなびっくりするほど酷薄な作品まであって、容易に底が知れない振幅の大きさが作者の魅力なのかな…とはいえ、僕はやっぱりロマンティックな物語が好きかな。以下、好きだったり気になっ…