2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

袋小路の男(絲山秋子)

高校時代の片思いから始まって、お互いにある種かけがえのない存在となったのに、最後の一線だけは越えない不思議な関係を紡ぐ20年弱の物語。ところで惹句は「純愛物語」となっていたけれど、果たしてこれは純愛なんだろうか?むしろ「純愛」みたいな単純…

スキャナー・ダークリー(リチャード・リンクレイター)

精神的に余裕があるときに観るべき作品、というのは確かにある。この映画もそうだった(厳しかった・・・)。 ただ原作への忠実度という意味では、かなり理想形と言えるのでは?あの麻薬中毒者のやくたいもない会話が延々と続くダウナーな世界観は腕のある役…

ダージリン急行(ウェス・アンダーソン)

僕は決して武闘派ではないのだけど、この作品に関してはコロニアリズムというかエキゾ趣味的な感覚が引っ掛かって最後まで素直に楽しめませんでした。旅の途中で遭遇する「ある事件」も、だから結末に向けてフラグを立てておくべきイベント(というかエクス…

ナイトホークス(ブルース・マルムース)

スタローンとルトガー・ハウアーが激突!と聞いたら、「その組み合わせ、2人が旬な頃に観たかったよなあ」ってなると思うのだけど、実は2人が(ほぼ)旬といえる時期に競演してたんですね。 あれ?皆さんご存知でしたか・・・不明を恥じなければと思いつつ…

道化の町(ジェイムズ・パウエル)

ある短編集を1冊まるごと翻訳、でなくベストセレクションゆえ当然かもしれないけれど、全てがシングルカット級というのはすごい。なので最初、個人的には「久しぶりに読書カテゴリでの5点だな」と思ってたのだけど・・・ とにかく作者の奔放かつ暴走的な発…

セクシー地帯(石井輝男)

後年のトゥーマッチな作風からすると、こんなにスタイリッシュな映画を撮っていたとは意外。タイトルから想像される作品からはかなり遠いのでは?ヒッチコック作品やコーネル・ウールリッチの小説みたいに典型的な巻き込まれ型サスペンス。 屋外撮影による銀…

文化系モデルデータマップ

ちょっと前に語学番組がグラビアアイドルの登竜門化していた頃、NHKの特殊な先見性がよく取りざたされていたけれど、実はそれより前、「YOU」の昔からNHKにはサブカル系モデル/タレントさんを積極的に登用する傾向もあって(EX.竹内海南江、大塚寧…

ゲット・スマート(ピーター・シーガル)

これはかなり面白かった!スパイ・コメディの作り方としては、とぼけた主人公のスラップスティックなギャグで強引にねじふせるか、機知とユーモアでクスリとさせるかに大別されると思うのだけど、予告編では明らかに前者として売ってましたよね。でも主人公…

モーテル(ニムロッド・アーントル) 

まったくもって無駄のないソリッドなスリラー。なのであまり言を重ねることは慎もうと思います。とにかく1時間半、多少緩急はあるけれど、ひっぱり続けて全く途切れることのない緊張感。まあ強いて例えるならイカのルアー釣りみたいなものかな(余計分かり…

アイアンマン(ジョン・ファヴロー)

「見てきたようなうそをつく」というのが映画の本分だったら、これほどその肝に忠実な作品もないだろう。だってありものの兵器のパーツから手作りでパワードスーツを組み立ててしまうんだから(家内制手工業の武具製作でこれほど盛り上がるのは『キャプテン…

断念

なぜだか理由は分からないのだけど、読んでいるうちに失読症になったような感覚を覚えて、最後まで読み通せない本がある。というか作家がいる。今回またそこに1冊加わってしまった。バリー・ハナの『地獄のコウモリ軍団』。(しりあがり寿の表紙は格好よか…