2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ロスト・フライト(ジャン=フランソワ・リシェ)

すごく面白かった。『ダイ・ハード』以降、本当の意味でダイ・ハードみたいに先が読めなくて緊張が持続する映画は(続編含めて)なかったと思うのだけど、ようやく比肩する作品が登場したという印象でした。 加えて、誰も「物語のために」ミスすることがなか…

パーフェクト・ドライバー(パク・デミン)

完全に『グロリア』という感じでした。手堅く作ってあって面白かったです。カーアクションは確かにすごいけど、バリエーションはもう増やしようがないのかな。あまり目新しい感じはしませんでした。国家情報院がもっと物語に有機的に絡めばずっと面白くなり…

ドラキュラ/デメテル号最期の航海(アンドレ・ウーヴレダル)

監督は『トロール・ハンター』の人だったんですね。海の怪異譚を愚直にやっている感じで好印象ではあるのだけど、それとセットだけでなく実物大の帆船を作ったという説得力もあったのだけど、いかんせん、人間が不利な夜にわざわざ戦いを挑むという脚本上の…

アメリカン・フィクション(コード・ジェファーソン)

実際に見てみたら、黒人だってアレクサンダー・ペインっぽい映画作れるんだぞ、という話だったような気がします。勢いで適当な「白人受けする生の声」風小説を書いたらまさかの大当たり、というのは要素のひとつにすぎないというか。しかしながら、正直世評…

フォールアウト(ジョナサン・ノーラン他)

ジョナサン・ノーランは『レミニセンス』しかり、終末世界にオブセッションがあるのかな、という印象ですね。でも、それらしき世界を構築するセンスは確かにあるなと感心しました。 キャラクターとしては陰影のあるキャラとして、やっぱりクーパー(グール)…

ラブラバ(エルモア・レナード)

(ネタバレ感想です。)先日読んだ『オンブレ』が最高だったので別のレナード作品ということで手に取ってみたのですが、とても面白かった。ただ、一筋縄ではいかない登場人物たちの思惑が絡んで、物語は予期せぬ方向へ…という妙味はあるものの、話が複雑にな…

カード・カウンター(ポール・シュレイダー)

端的にいえばポール・シュレイダーのいつものやつ(罪と贖罪)、なんだけどやっぱり良かったですね。何も起こっていない場面でも「映画が持っている」感じがするのって豊かな印象を受ける。蓮實重彦のいう「ショット」というのがそれなのかなという気もして…

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(ホアキン・ドス・サントス他)

今回はアマゾンプライムだったので、落ち着いて見ることができました。リアルタイムでは、ただでさえ情報過多な画面が映画館の大スクリーンだから消化しきれないところがあったけど、テレビだと全体が把握できて意外と悪くありませんでした。 公開当時も思っ…

イメージズ(ロバート・アルトマン)

これまでこの作品の存在を知らなかったのだけど、精神的に問題を抱えている人の主観で描くということで、(手法としては実はあまり感心はしなかったのだけど)『ファーザー』の元ネタはこれだったんだな(まんまだな)と思いました。 しかし70年代の映画って…

シェイプ・オブ・ウォーター(ギレルモ・デル・トロ)

実はデル・トロ監督の箱庭的窮屈な世界観がどちらかというと苦手なんだけど、この物語には合っていたと思います。半魚人愛、クラシック映画愛があふれていましたね。個人的には結末は『パンズ・ラビリンス』と同じだと思っていて、想像の世界の自由は誰にも…