ブレイド(スティーヴン・ノリントン)

 久しぶりに見たけど(公開時以来?)面白かったですね。やはり1作目が一番面白い。低予算だけど場面ごとに創意工夫があるのが好きです。ところで最終決戦の突入場面は間違いなく『マトリックス』のビル襲撃シーンで真似されてる、と思ったことを24年ぶりに思い出しました。

☆☆☆1/2

スティーヴン・ドーフは当時やさぐれ美形として売り出し中だったけど、イーサン・ホークにはなれなかったな…というのを「トゥルー・ディテクティブ3」でつらい老け方しているのを見て思い出しました。

シン・ウルトラマン(樋口真嗣)

 トータルでは『シン・ゴジラ』より好きかもしれません。期待してたより面白かった。ほどほどいい感じにリッチな特撮もあって映画らしさがあったのがよかった。(ネタバレします。)

スタジオカラーウルトラマンの効果音がキャッチになっているので、初めて内実と一体になりましたね。

・セリフ回しが例の庵野節なので、やっぱりそれしか引き出しがないのだな、と思った。

・最初実相寺レイアウトが出てきた時は、まあやるよね、と思ったけど、最後辺りはまだやるのか、と思った。

・隙あらば武装化しようとする国のあり方について批判的視点を投げかけていた物語だったので、なかなか肝が据わっているなと思いました。

ウルトラマンの何を考えているのか分からない感じ(宇宙人らしい得体の知れなさ)に幼い頃(言語化できないまま)惹かれていたので、その雰囲気が大事にされていた気がして嬉しかったです。場面でいうと、重力を無視して縦に回転して怪獣を弾き飛ばすところとか、ゾーフィの初登場の幽霊っぽさ。

・でも一番よかったのはウルトラマンと怪獣がただ戦っているところ。訳もなく涙がでてきて理由が自分でもよく分からなかった。それが映画の醍醐味だと思うので、やはりこの作品を評価しないわけにはいかないと思ったのでした。

☆☆☆☆

コリーニ事件(マルコ・クロイツパイントナー)

 手堅くまとめた印象。カチャカチャしたカメラも散見されるので、もっとじっくり撮ってもよかったのではと思いました。とはいえ、最後のシーンには泣かされました。原作者のシーラッハはナチス高官の孫なので覚悟のほどがすごいですよね。

 ところで、コリーニが黙秘を続ける合理的な理由がないのはやはり不自然さを感じました。(小説なら気にならなかったのかな。)いまさら命が惜しいものか!ということかもしれないけど、最初から自分の思いを訴えて世に問うたらよかったのに。となると、サスペンスの醸成という作品の都合としか思われなかったんですよね。

☆☆☆1/2

プロミシング・ヤング・ウーマン(エメラルド・フェネル)

 刮目すべき作品だと思ったけれど、好みではない、という意味で自分にとってはキューブリックの映画みたいでした。以下感想メモとして。(ネタバレです。)

・プロミシング・ヤング・ウーマンという言葉の響きに馴染みがなかったから、どういう意味かと思っていたのですが、プロミシング・ヤングマンという「嘱望された青年」という一般的な言い回しを反転している(女性だって有望なんじゃないの?という含意)捻った題だったんですね。

・終盤の転調(破局)がありますが、キャシーの絶望を想像するだに具合が悪くなりました。せっかく前を向いて歩き始めていたのに可哀そうすぎる。

・ところでキャシーって正式にはなんていう名前だったかな…と思った頃にカサンドラ・トーマスって出てくるから、ああ、定められた運命だったのだな、となりますね。そういうところも巧い。

・両親はいい人たちだと思うのだけど、箱入り娘として可愛がるあまりお人形のように扱っていたのではないか?(特にお母さん。)それが主人公にとってある種の抑圧になっていたのではないか?ファッションフォトでしかお目にかからないような過剰につくりこまれた調度※、チャイルディッシュな普段着からそのような雰囲気が察されます。

・というように、直接的には語られないものの色々な要素に「行間」があって、世界に奥行がありますね。

・結末、そんな両親の絶望たるや、想像するだに…

・運命の歯車が動き出したらあの結末に着地するしかない、いろいろ反芻したけどそうとしか思えない、という身動きが取れなくなるような緻密な物語の設計に唸りました。さすがアカデミー脚本賞だけはある。

・語り口は「復讐する女」ものの枠組みを利用しているけど、各章ごとの区切り、それこそ『キル・ビル』みたいなチャプターを示しているのかと思いきや、ボディカウントの印だったのかー!っていうのも上手かったけど、従来の娯楽作みたいに見終わってスッキリして(フィクションの世界で完結して)終らせないぜ!という姿勢も良かったと思いました。ずっと後を引く感じ。

☆☆☆1/2

※ ソフィア・コッポラ風だなと思ったのだけど、衣装担当は実際にそうでした。美術は『イット・フォローズ』の人だそうです。

※ キャリー・マリガンとボー・バーナムで『セクシーボイスアンドロボ』のハリウッド版が作れそうだな、と思いました。

AWAKE(山田篤宏)

 将棋を志した少年たちがプロ棋士とAI将棋開発者として再び見える、という梗概から予想されるとおりの作品でした。人物造形がいっそ清々しいほど類型的だなと思ったのだけど、存外好評だったようですね。

☆☆☆

ザ・ファブル(江口カン)

 公開時にかなり酷評を聞いていたので期待値が下がりきっていたのがよかったのか存外悪くなかったです。社会から虐げられたマージナルな存在が寄るべなさを持ち寄って、という話が好きなので※、おもむろに銃弾を作り始めるところで泣きそうになりました。

 ところで最近の映画らしい近接戦闘が小気味よく、実践的なパルクールとでもいうようなアクションが岡田准一自らによるものというのも感心しました。

☆☆☆1/2

※レオン見るたび泣く人間なので…

メン・イン・ブラック インターナショナル(F・ゲイリー・グレイ)

 このシリーズの要はグロテスクで風刺が効いてる不謹慎ギャグだったと思うんだけど、今回気の抜けた炭酸みたいなことになってたから、どうしてあえて作ったのかなという気はしました。それとHがプロフェッショナルとしての行動の的確さに欠ける(最善を尽くして「ない」)のがノイズだったなあ。

☆☆☆