レディ・ガイ(ウォルター・ヒル)

 ウォルター・ヒルこんなところで何やってんの?と一瞬思ったけれど、傑作じゃないにせよ、期待する方向性を間違えなければまずまず面白い映画ではなかろうか。要は舞台建ての違う「あのスペイン映画」ですよね。(ネタバレになるから書けないけど。)奇妙なテイスト系というか。しみじみしていて悪くない。

☆☆☆

※1 あとジョニーも元男性というオチだと思った。

※2 原題のThe Assignmentの方がいろいろ含みを持たせていてよかったのでは、と思いました。邦題は出オチのバカアクション風だからそういう作品かと思っちゃった。

美女と野獣(ゲーリー・トゥルースデイル、カーク・ワイズ)

 娘が絵本だけじゃなくて映画も見たいというので、劇場で観て以来久しぶりに。もう30年になるのか…いわゆるディズニー・ルネサンス期に位置づけられる作品群の中では一番好きですね。

 本当に全編にわたって魔法がかかっているような作品で、登場キャラクターに感情移入して、といった言語化できる理由ではない何かに心打たれて、二人だけの舞踏会のシーンでは涙があふれてきました。(そういえば映画館で観たときもそうだった、と思い出した。)

 何か、人間になる前の方が格好良かったね等々、子どもたちといろいろ話せたのも良かったです。

☆☆☆☆☆

※今回スペシャル・エディションで見たのですが、「人間に戻りたい」ってパートは記憶にないな、と思ったらここが拡張部分なんですね。確かにお城の皆にしてみればもっともな願いなんだけど、簡潔無比な語り口が素晴らしかったオリジナルと比べると、冗長というか今言わなくても…という気が。

※時計の執事コグスワースの振る舞いと描写がことごとくドラえもんみたいなんですが、というか、東映動画経由でディズニーの系譜としてたどり着いたのがドラえもんだったということですよね。

ビバリーヒルズ・コップ2(トニー・スコット)

 この頃のトニー・スコットは「とにかく派手なだけで中身がスカスカ」と批判されていましたが、久しぶりに見てみたら本当に「派手なだけで中身がスカスカ」だったからびっくりしました。

 当時映画館(やその後TVで)で観たときは全然気にならなかったんだけど、80年代のアクションは大体どれもそんな感じだったからなんだろうなあ…(今パロディで80年代アクション風の作品が作られたりしてるけど、実際まんまそんな感じだからパロディですらないっていうね。)

 続けて見たから分かりやすかったのですが、権威はないけど創意工夫でなんとかする、とか人情の機微、といった1作目のしみじみとした良さがことごとく損なわれていたのが残念でした。これは監督ばかりに責めを帰するわけにはいかないと思ったのが、ストーリー:エディ・マーフィとなっていたから、フェラーリに乗ってることにしようぜ、とかボゴミルの娘(1作目いなかったのに…)といい感じにしてくれとか的外れな要素はいろいろ口出ししたからじゃないかな…でもまあ、ABC強盗とか犯行予告暗号※とか、カスタム銃弾を使用とか、犯人側にメリットがない展開って根本的に脚本上の問題だもんな。

 ともあれ、細かいことを言わなければ時代の記録としては悪くない。のかもしれませんね。

☆☆☆

※ケインひとりに罪をかぶせる工作という理屈はあるものの、迂遠すぎるだろ…

オーシャンズ8(ゲイリー・ロス)

 『オーシャンズ11』のシリーズというのは、恰好いいっぽい、お洒落っぽい、イケてるっぽいという「っぽい」に特化した映画だった訳ですが、あれはセリフの呼吸とか編集とか、監督のセンスに拠るところが大きくて、その点この映画では鈍重な感じが否めませんでした。コンゲームものとしてはまあ面白いのだけど、なんかオシャレじゃないんですよね…

☆☆☆

歌え!ロレッタ愛のために(マイケル・アプテッド)

 シシー・スペイセクがこれでアカデミー賞を取ったということだけ知っていたのですが、納得の演技。年齢の幅と歌がすごい。

 一方、個人的には凡庸な職人監督というイメージのマイケル・アプテッド出世作という切り口でも一応知っていたのですが、ドキュメンタリーの「UP」の制作者という観点でみると、起用も腑に落ちました。(ところで先日続編をNHKで放送していましたが、素晴らしかったですね。)

 という訳で、実は実在のカントリー歌手の半生を描いた作品と知らなくて(ちなみに僕がタイトルから想像していた物語は、西部劇か犯罪もので、銀行強盗に対抗するために何か歌わなきゃいけないようなシチュエーションになるの…)、初めて見てああこういう映画だったんだと思った次第。ちょっと裏『ディア・ハンター』的な要素もあって、タイトルも相まってニューシネマっぽい感じ。こういう場所で一生を終えるという人生もあるんだな。この作品では出ていくことができたけれど。

☆☆☆1/2

アクアマン(ジェームズ・ワン)

 ヒーローものなんだと思って見てたら、実写版「崖の上のポニョ」その後、だったのでびっくりしました。

 面白そうなことは全部やってみましたというサービス精神がよかったですね。

☆☆☆1/2

 ※1985年、俺の父と母が出会った年だ、っていうから、え?俺より年下なのかってびっくりしたけど、それはそうか…

愛がなんだ(今泉力哉)

 総じて役者陣は素晴らしかったけれど、若葉竜也がとにかくすごかったですね。ワンカットの中で驚き、喜び、悲しみがないまぜになった感情が現れる。(演技とはそういうものだとは思うけれど)本当に本人としてそう感じているとしか思えない表情。よくあんな演技ができるな、と感心しました。

 そのような中で、唯一不満だったのが、マモルがテルコが料理しているのを後ろからちょっかいを出すシーン。あれは本来なら女性慣れしている「恋愛強者」の振る舞いを演出している場面だと思うのですが、終盤、「山田さんがそんな気持ちでいるとは気づいてなかった」と嘯くマモルのセリフは「素でそう思っている」描写になっていたこと(本当に愛していた訳ではないが、逆に気づいていて蔑ろにしていた訳でもない)とのギャップ、それとああいう振る舞いができる男は(根拠はどうあれ)いつでも自信満々なのであって、すみれさんに対しても臆することなくアプローチできると思うのですが、そういう人物ではなかったという結論だったから、つまり物語としての平仄が合っていないというか、あのシーンだけが結果としてノイズとして浮いてしまっている気がしたんですよね。

 ともあれ、恋愛という関係性のままならなさ、ほとんど狂気と正気の狭間を行くようなどうしようもなさがよく描かれていたと思いました。誰しも過去の経験に照らして来し方を顧みてしまうような、話題になったのも納得の作品でした。

☆☆☆☆

※それはそうとして、動物飼育員なめんなとは思ったな。(一種のファンタジーとしての着地なんだとしても。)