2007-11-01から1ヶ月間の記事一覧

毛皮のエロス(スティーヴン・シャインバーグ)

変態的世界観を志向する映画作家として、まがりなりにもメジャーシーンで活動している監督の中では、デヴィッド・クローネンバーグとデヴィッド・リンチの「ふたりデヴィッド」が2大巨頭であるのは異論がないところでしょう。ただ個人的には、リンチには欧…

幻想と怪奇3−おれの夢の女−(仁賀克雄編)

収録作中では表題作のリチャード・マシスン「おれの夢の女」がいかにも彼らしいスパッとオチの決まった短篇らしい短篇で良かった。妻の予知能力を商売道具にしたろくでなしの末路は・・・とストーリーのさわりを書いただけでもうオチが分かってしまうような…

エロマンガ島の三人(長嶋有)

『サイドカーに犬』が入り口だったせいか、シビアな事柄を扱ってもほのぼのテイストを失わない作家だと思っていたけれど、意外と毒のある作品を書く人なんだなとますます感じ始めました。 というわけでお気楽なタイトルだけど、最初の印象とは真逆に、ほのぼ…

ロスト・イン・トランスレーション(ソフィア・コッポラ)

そうか、この曲があったな!ほとぼりがさめたら使おう、と寝かせておいた(と思しき)エバーグリーンな名曲がひょっこりCMに登場することって割とよくあるけれど、この映画で使われてたんですね。アサヒビールの「風をあつめて」。 さて、ネット感想文を散…

霧(フランク・ダラボン)

いよいよ米では11月21日公開だそうで。★究極映像研究所★経由で知りました。 ところでキングの作品に関しては、長編も確かに面白いしお腹一杯楽しませてくれるんだけど、個人的には行間を読む余地があったり、その後を想像させてくれる余韻のある短篇の方が好…

網だなの雑誌は今日発売

前回「一休さん」について書いていて思ったんだけど。 こういうエピソードがあります。「どちてぼうや」という、目にしたどんな物事に対しても「どちて?」と尋ねずにはいられない幼い子供がおりました。最初は何かと返事をしてあげていましたが、あまりの頻…

ボーン・アルティメイタム(ポール・グリーングラス)

物語自体は前作である程度きれいに決着がついていたので、多少むりくり作った感は否めなかったけれど、ポスト冷戦時代のスパイ映画としてはこれ以上望めない完成度の三部作だったと思います。(以降ネタバレあり。)主人公が個人的な理由から身内相手に戦う…

大尉のいのしし狩り(デイヴィッド・イーリイ)

『一休さん』のエピソード。日々の贅沢三昧に倦んだ足利義満が、例によって新右衛門さんに「このわしを満足させるような究極の料理を見つけてまいれ」と命じます。そしてこれまた例によって「助けてくだされ一休どの〜」と一休の知恵を拝借に安国寺へやって…

ホステル(イーライ・ロス)

相当ヤバイという噂だけを聞いて、ビビってなんとなく観てなかったのだけれど(友人の「いやぁあれは・・・ないなあ」という漠然とした感想もそれに拍車をかけてくれた)、見ない事で逆に僕の想像の中の『ホステル』がかなり非道いことになってきて、そのプ…

ベルカ、吠えないのか? (古川日出男)

各所で絶賛だったので期待して読んでみたら・・・期待値が高すぎたのかしらん。古川作品は初めてなのですが、ベタないい方をすると2000年代の村上龍という印象。 様々な犬の人生のクロニクル。あえて作品中のトーンを一定させないという方法論で、それぞ…

きつねのはなし(森見登美彦)

『太陽の塔』に顕著だった、夏目漱石(百輭)的の狂騒的筆致はこの作品では鳴りを潜めている。しっとりとした文章で綴られる怪奇幻想譚。「漱石先生のことなら私のほうがもっと好きなのに!」みたいな、女子高の生徒的なジェラシーのせいで客観的に読めてい…

エレクション−黒社会−(ジョニー・トゥ)

辛抱たまらんちんなタイトルですが、そうじゃなくて「選挙」の意味のほうですね。リース・ウィザースプーンが出てた方とはまるで方向性は違うけれど、どっちも「痛い」話ではありました。 香港で権勢を誇る有力組織で次期会長選挙が行われる。候補は人望が厚…