2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

この愛のために撃て(フレッド・カヴァイエ)

娯楽映画かくあるべし、という作品でした。ランタイム85分のコンパクトさも好ましいし、無駄なことをしない、ただひたすら「およそ英雄的でない」看護助手の男が妻と子の命を救うために死にもの狂いで走り続ける、という話です。フランスのアクション映画…

ウルトラマンF(小林泰三)

するする読めてとても面白かったです。ただし、小ネタの拾い方の手数が多いというお得感はあるものの、物語としての奥行きがないので、公式二次創作といった印象でした。もっといえば、一定層に共有されているフェティッシュである「巨大フジ隊員」という要…

その女を殺せ(リチャード・フライシャー)

ちょっとプログラムピクチャー的な構えのコンパクトなサスペンス。とても面白かったです。名匠とされる人がかつてそういう枠で撮った傑作、という感じが増村とか岡本作品を連想させます。ただ「今となっては知る人ぞ知る作品」ということで結構持ち上げられ…

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(ダニエルズ)

完全に『ミッチェル家とマシンの反乱』とテーマが共通しているけれど、照れ隠しの下品さやバカバカしい展開は回りくどすぎて、ミッチェル家の方がテーマとの向き合い方が素直な分好ましいなと思いました。 それと、これは監督たち自身が明言していることなの…

恋するプリテンダー(ウィル・グラック)

こういうちょうどいい感じのロマンティック・コメディなかなか最近なかったからよかったね、という評判だったと思うのですが、ジャストそんな感じでした。 ただ最後の「映画ならではの無茶」は無茶すぎていかがなものかと僕も思いました。 ☆☆☆

他なる映画と1、2(濱口竜介)

いろいろな示唆に富んだ文章がまとめられていましたね。特に僕が虚を突かれた思いで読んだのは、「カット頭とカット終わりをどうしているか」のくだり。 自主映画を撮ったことがあれば(特に8ミリフィルムで)分かっていただけるかもしれないが、カットって…

ザ・フラッシュ(アンディ・ムスキエティ)

まあ面白かったのですが、冒頭の病院から赤ちゃんを救い出すような「小さな世界」での大活躍に留めてほしかった。というか、フラッシュだけが活躍する映画でよかったのになと思いました。 結局のところ、ジャスティス・リーグ第2章みたいな規模になるような…

フォールガイ(デヴィッド・リーチ)

これまでの監督作について、『アトミック・ブロンド』や『ブレット・トレイン』など、予告や物語からは食指が動かなかったものの実際見てみると面白かった作品が多かったので、今回は逆に期待していたのだけど今一つ盛り上がらなかったかな、というのが正直…

オオカミ狩り(キム・ホンソン)

よもやのホラー展開でしたが、韓国映画のサービスとしての残酷バイオレンスはエクストリームすぎてあまり好きじゃないのです… ところで、犯罪者が下種だったり、裏で企んでいる組織が必要以上に下品だったり、ヒロインの女刑事が汗かきスウェットでボディラ…

ミッチェル家とマシンの反乱(マイク・リアンダ)

フィル・ロード&クリス・ミラーらしいいかにもアメリカンな家族のロードムービーなのですが、突飛なトラブルをあり得ないほど無茶な方法でくぐり抜け、その結果家族が絆を取り戻す、という話なので端的にいって映画クレヨンしんちゃんだなと思いました。親…

白猫、黒犬(ケリー・リンク)

ケリー・リンクは、日々の由無し事と奇想天外なファンタジーという取り扱う事象の振幅が広くて、同じ一つの物語にそれが両立する綱渡りの巧みさをこそ味わうべき作家だと思うのですが、今回は(童話というモチーフにも関わらず※)もっぱら観念的なSFや幻想小…

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(竹林亮)

タイムループものはそれだけで一定の面白さが担保されている、という言い方がよくされるけれど、物語構造に一定の目新しさがあったこの20年くらいが賞味期限で、タイムループ+○○もの、とした場合の○○に強力なフックがないと難しいんじゃないかなという気が…

ブラックライダー

珍作というべきか、80年代はまあこういう映画あったよね、という気がします。ケイパーものとしてもいろいろぬるくて、拾い物、とはいえないかな。ジョン・カーペンターが脚本なんだけど、自身で撮ってないから独特の味もなくて平板。ラロ・シフリンの音楽が…

セブン(デヴィッド・フィンチャー)

ものすごく久しぶりに見たのですが、リアルタイムで観た時は、(事件や政治経済について、テレビでキャスターやコメンテーターが訳知り顔でもっともらしいことを言うのを聞いて)「なぜ自分が判断する側だという前提で発言するのか?お前たちも当事者だろう…