2022-01-01から1年間の記事一覧

ガンズ・アキンボ(ジェイソン・レイ・ハウデン)

ばかばかしい設定だけどシンプルで面白かったです。『GAMER』みたいになるのかと思いきや下品に堕することなく血みどろだけど爽やかでしたね。導入こそSNS批判的だったけど『ザ・ハント』ほど本気で風刺するつもりはなかったんだな、という印象でした。 とこ…

ブレイド(スティーヴン・ノリントン)

久しぶりに見たけど(公開時以来?)面白かったですね。やはり1作目が一番面白い。低予算だけど場面ごとに創意工夫があるのが好きです。ところで最終決戦の突入場面は間違いなく『マトリックス』のビル襲撃シーンで真似されてる、と思ったことを24年ぶり…

シン・ウルトラマン(樋口真嗣)

トータルでは『シン・ゴジラ』より好きかもしれません。期待してたより面白かった。ほどほどいい感じにリッチな特撮もあって映画らしさがあったのがよかった。(ネタバレします。) ・スタジオカラーはウルトラマンの効果音がキャッチになっているので、初め…

コリーニ事件(マルコ・クロイツパイントナー)

手堅くまとめた印象。カチャカチャしたカメラも散見されるので、もっとじっくり撮ってもよかったのではと思いました。とはいえ、最後のシーンには泣かされました。原作者のシーラッハはナチス高官の孫なので覚悟のほどがすごいですよね。 ところで、コリーニ…

プロミシング・ヤング・ウーマン(エメラルド・フェネル)

刮目すべき作品だと思ったけれど、好みではない、という意味で自分にとってはキューブリックの映画みたいでした。以下感想メモとして。(ネタバレです。) ・プロミシング・ヤング・ウーマンという言葉の響きに馴染みがなかったから、どういう意味かと思って…

AWAKE(山田篤宏)

将棋を志した少年たちがプロ棋士とAI将棋開発者として再び見える、という梗概から予想されるとおりの作品でした。人物造形がいっそ清々しいほど類型的だなと思ったのだけど、存外好評だったようですね。 ☆☆☆

ザ・ファブル(江口カン)

公開時にかなり酷評を聞いていたので期待値が下がりきっていたのがよかったのか存外悪くなかったです。社会から虐げられたマージナルな存在が寄るべなさを持ち寄って、という話が好きなので※、おもむろに銃弾を作り始めるところで泣きそうになりました。 とこ…

メン・イン・ブラック インターナショナル(F・ゲイリー・グレイ)

このシリーズの要はグロテスクで風刺が効いてる不謹慎ギャグだったと思うんだけど、今回気の抜けた炭酸みたいなことになってたから、どうしてあえて作ったのかなという気はしました。それとHがプロフェッショナルとしての行動の的確さに欠ける(最善を尽くし…

ミッドナイト・ランナー(キム・ジュファン)

いわゆる新兵ものですね。好きなジャンルだけど、今作は物語のために話運びが乱暴なところが散見されてウームとなりました。(いくらなんでもあんな凶悪犯罪なら警察も動くのでは?。) あとこのジャンルなら必要な、主人公たちのロールモデルとなる先達(プ…

ザ・ブルード 怒りのメタファー(デヴィッド・クローネンバーグ)

メタファーってなんやねん、格好つけた邦題が逆に格好悪いぜ…と思っていた時期が私にもありました。もう本当に文字通り「怒りのメタファー」の話だったんですね。しかしクローネンバーグって最初の頃からこんなに気持ち悪い映画ばっかり作っていたんだな。(…

ヒッチャー(ロバート・ハーモン)

多分30年以上ぶりに観返したけど、やっぱり怖かった。付きまとわれる理由が分からない。不条理すぎる行動原理。なんというか、いつか見た悪夢の感触があるというか。 ところで、「ドアーズの曲にインスパイアされて」という脚本家の弁があるけれど、率直に…

SING/シング(ガース・ジェニングス)

歌の力を感じる映画でした。ちょっとずるいなとも思うけど、その歌のポテンシャルを最大限引き出す演出が的確にされていればこそですもんね。ブタのこどもたちが可愛らしかったな。 ☆☆☆1/2

アメリカン・ユートピア(スパイク・リー)

総じて演者のレベルが素晴らしいのですが、冒頭のタンバリンの人がすごいなと思いました。なんだかモダンダンスのダンスカンパニーの公演のような雰囲気。 それと80年代の楽曲はおしなべてそういう感じだけど、デヴィッド・バーンの歌って初めてちゃんと聞…

Mr.ノーバディ(イリヤ・ナイシュラー)

最高でした。『ヒストリー・オブ・バイオレンス』の『ジョン・ウィック』風味という感じかな。娯楽作はこれくらいタイトな方がいいですね。『ジョン・ウィック』は真顔ですっとぼけたことするのが面白かったのに、どんどん格好つけた方向に舵を切ったからそ…

ロング・ウェイ・ノース(レミ・シャイエ)

僕の偏愛するTVドラマシリーズに「ザ・テラー」という英国海軍の北極探検の史実に題材をとったものがあるのですが、一応超常現象的モンスターも登場するのだけど、その核心は極限状況での相互不信で組織が崩壊していく過程にありました。(本当にダウナーな…

悪人伝(イ・ウォンテ)

ふとした成り行きからヤクザと刑事が手を組んで連続殺人犯を追う、という発想は面白いのだけど、必ずしも上手くいってないというか手を組む必然性に乏しいんですよね。それと犯人の造形が今時ベタすぎるし、結局ターゲットは行き当たりばったりなの?とか誘…

THE BATMAN-ザ・バットマン-(マット・リーヴス)

なるほどエルロイ風ノワールでしたね。『ジョーカー』的な世界観の延長線上(現実世界と地続きで在り得る雰囲気)ではバットマンは無理だろうと思ってたけどこういうやり方があったのか。面白かったです。 ところで歴代で一番「お屋敷」の広がりが感じられな…

ソニック・ザ・ムービー(ジェフ・ファウラー)

思ったより予算がかかっている感じだったけど、役者さんをみるとやっぱりお金を節約している感じがして切なかった。 ☆☆1/2

台北プライベートアイ(紀 蔚然)

ミステリ版『吾輩は猫である』という感じでした。高等遊民の低徊趣味の風情。これは翻訳の方の仕事が素晴らしかったと思います。 『吾輩~』が(どこにでも行けるカメラとして)猫の目に仮託して世相を風刺していたように、調査の名目でどこでも入っていくと…

群盗(ユン・ジョンビン)

久しぶりに見たけど最高でした。カン・ドンウォンの悪役ぶりが殺陣も含めて光ってる。何だかストーリーが『シグルイ』的なやりきれなさと血生臭さがあって好きなんですよね。 ところでオールスターキャスト的面白さもある作品ですが、ハ・ジョンウとチョ・ジ…

バッド・ジーニアス 危険な天才たち(ナタウット・プーンピリヤ)

胸がすくようなケイパームービーかと思いきや、苦さのある青春映画でした。主人公の凛とした佇まいもよかったけど※、何といってもお父さんが素晴らしかったと思います。(なんかトニー・レオンに見えてくるんですよね)。 ☆☆☆1/2 ※最初わざと制服を野暮っ…

ウルフズ・コール(アントナン・ボードリー)

冒頭はあまり知ることのないフランスから見た世界情勢が示されていて興味深かったのだけど、いかんせん主人公の造形が共感を拒むような人物でどうして?となってしまい作品評価もちょっと…という印象に。軍法会議ものの逸脱行為もさることながら(ヒーローだ…

明日への地図を探して(イアン・サミュエルズ)

そもそもいい年のオジサンである私が、この映画が想定している「お客さん」ではないことが大きいのだと思うのだけど、物語が「インスタでいいねするような心地よさ」に終始するので、結末に至ってもなるほどですね…という感想になりました。 タイムループす…

荒野のホームズ(スティーブ・ホッケンスミス)

ホームズの面白さって「科学的」を建前にしたケレンとか黎明期の(広義の)冒険小説のワクワクが肝だと思うので、なんか違うんだよな…という違和感が先に立って楽しめなかった。そういうことを抜きに独立した「西部が舞台のミステリ」だったら素直に面白かっ…

JUNK HEAD(堀貴秀)

神はディテールに宿るとはよくいったもので、細部のこだわり、リアルさが尋常ではない。それでいてカメラに映る範囲で完結した箱庭といった感じはせず、こういう世界が確かに存在するという感触を獲得しているのが素晴らしかったと思います。(実写映画です…

とんかつDJアゲ太郎(二宮健)

マンガなら「いい感じのDJプレイです」と描写されたら読者が勝手に補完するものだけど、映画だと具体的に音楽が流れるから難しいよな、と思いました。(そういう意味で先日見た『音楽』は改めてすごいと思う。) ☆☆☆

アメリカン・ゴッズ(ニール・ゲイマン)

テレビシリーズがシーズン2で失速して観るのをやめたのだけど、結末が気になるので原作を手に取った次第です。文章は簡潔なのにやたら衒学的なので読むのにとても時間がかかったな… 今更気づいたけど、つまるところ「女神転生USA」だったんですね。それとダ…

ムーンサルト ソ連極秘宇宙計画(アレクセイ・フェドルチェンコ)

ソ連の宇宙開発にまつわるフェイクドキュメンタリー。とりたてて面白くはないのだけど、リアルフッテージと思われる箇所の生々しさが興味深かった。しかしかの国でこういう題材で撮ることができたところがより興味深いと思いました。 ☆☆1/2

インフィニット 無限の記憶(アントワーン・フークワ)

今はしょぼくれた生活を送っているけど、本当の自分はこんなもんじゃないんだ、いつか覚醒して「何者か」になるんだ!という悪い意味で「典型的なYA小説」的なアクション映画だなと思いました。(原作ありだけど、やっぱりそういう話なのかな。) 大がかり…

マジック・マイク(スティーヴン・ソダーバーグ)

どちらかというと『ブギーナイツ』みたいな物語だったんですね。アダムの愚かさ加減にどうしてくれようかと憤りすら感じてしまうのだけど、そういうところも芸道ものの定番かな。(なまじ面倒見がいいために、自分では気が利いてるつもりの弟分のしくじりの…