2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

善き人のためのソナタ(フローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク)

抑制のきいたよい映画でしたね。(泣かせんかなの展開をちょっと危惧していたので。)実はヴィースラー大尉を演じたウルリッヒ・ミューエ本人が東側で監視されていた俳優であったとのことで、その胸中は如何ばかりだったかと思いをはせました。 ところで同監…

カラー・アウト・オブ・スペース(リチャード・スタンリー)

ホラー映画というよりは『モスキート・コースト』と同じフォルダに整理すべき作品でしたね。危機を前にしてなすすべもないお父さんのみっともなさが最大の恐怖ポイントだったように思います。 ☆☆☆1/2

霧につつまれたハリネズミ(ユーリ・ノルシュテイン)

超絶技巧の切り絵アニメーション。ひたすら幻想的で可愛らしい。若い頃だったらBGVにしたらもてるかしらと思ったかもしれないが、思ったそばからそんな邪な気持ちで接してはならない作品だと自戒したと思います。しかし霧の表現は見ていても本当にどうやって…

サスペリア(ダリオ・アルジェント)

ごく幼い子どもの頃この映画のCMがトラウマだった。大人になって何度か見ているけど本当に異様な映画ですよね。物語を盛り上げるためにショックシーンがあるのではなく、ショックシーンしかない、みたいな感じ。しかし実をいうとナイフでグサーみたいな場面…

シン・仮面ライダー(庵野秀明)

最初のバイクでの変身シーンで訳もなく涙が出て、それだけで充分とも言えるけど、あそこが最高潮でもあったな。一緒に観た子どもたちも楽しんでいたようで良かった。 ルリルリみたいな言い回し、よくわからない英語の気取った発音への拘り、鳴りっぱなしの劇伴、…

Music Restaurant Royal Host(藤井隆)

新しい音へのチャレンジの側面もすごく良くて、一発目ということもあるけど特に「未来エキスプレス11」が好きでした。※ 一方、歌謡曲サイドではやはり「アイリーン」が素晴らしかったです。カバーだったんですね(よく見つけてきたなと思いました)。原曲の…

LION/ライオン 〜25年目のただいま〜(ガース・デイヴィス)

悪くはないのだけど…グーグルアースってすごいですね、というのが率直な感想です。 というのも『スラムドッグ$ミリオネア』の時も感じたのだけど、「インドの過酷な環境から少年がサバイブする」という物語を欧米の監督が描く視点にどうしてもエキゾチシズム…

シナモンとガンパウダー(イーライ・ブラウン)

噂どおり面白かった。カリスマ女海賊にさらわれた料理人が心ならずも航海を共にするうちにやがて…という物語ですが、ダイナミックな海洋冒険描写も良かったですね。主人公のペダンティックな語りも訳文が的確と感じられ、翻訳者の仕事が素晴らしいのだと思い…

クワイエット・プレイス 破られた沈黙(ジョン・クラシンスキー)

基本的には面白かったです。という前提で、実は裸足にこだわる必要ないのでは?というのと、奥さんは娘を助けに行けなんてエメットに甘えすぎでは?という気持ちが拭えなかったです。(そうじゃないと話が進まないのだけど…) ☆☆☆

登場人物に奥行きがあるか問題

もっぱら映画についての話なんですが、特にホラーとか復讐ものアクションで顕著な気がするけれど、「登場人物の造形が浅く、もしくはキャラクターの描写に十分な時間を取っていないから、結果、感情移入できなくて、襲われて死のうが生き残ろうがどうでもよ…

ブラック・フォン(スコット・デリクソン)

原作読んでるはずなのに全然覚えていませんでした…ところで短編の映画化に関しては、膨らませた部分が上手くいっているかどうかが勝負、みたいな所があるけど、実際のランタイムとは関係なく「短編そのまま」という不思議な印象を受けました。ソリッドなつく…

炎の少女チャーリー(キース・トーマス)

音楽がまさかのカーペンター御大だからその印象のためか、低予算で工夫して頑張っている感じとか、赤いエンドクレジットとか、70年代後半から80年代前半のSFホラーの雰囲気で、すごく良かったです。 というか、端的にいうと初期のクローネンバーグっぽい感じ…