2008-01-01から1年間の記事一覧

幼年期の終わり(アーサー・C・クラーク)新訳版

クラーク追悼記念+メジャーすぎて知っているつもりになっている古典をちゃんと読んでみようシリーズ。時期はずれなのは、小室哲哉があんなことになって→中学の頃TM聞いてたよなあ→「CHILDHOOD'S END」って考えてみたら読んだことなかったよ・・・というの…

ウルヴァリン:トレーラー

公開になっておりました。ベニオフ好きとしての注目ポイントは物語なんですが。でも正直脚本家としてのベニオフはちょっと微妙なんだよなぁ・・・小説書いてください。 X-MEN ORIGINS: WOLVERINE HD

20世紀の幽霊たち(ジョー・ヒル)

雑誌などのレビューでもキングの息子ということは伏せてあるものが多かった。販売上は強力なフックだと思うのだけれど、やっぱり先入観を排して読んで欲しいということなんでしょうか。 さて内容ですが、収録作はどれも水準以上と断言してよいと思います。た…

ある殺し屋(森一生)

市川雷蔵の現代劇を初めて観たのだけど(それをいったら時代劇もほとんど観てないけれど)、意外と地味ですね。しかしさすがに「スタア」というのか、黙っていても滲み出る迫力があって、表の顔は小料理屋の主人、裏家業は殺し屋という主人公のキャラクター…

ダンテ01(マルク・キャロ)

大仰で思わせぶりなナレーション、歴史上の人物や神話の登場人物の名前を持つキャラクター、閉鎖空間のサバイバル、という要素を挙げたらどこの自主制作映画かって話ですが、ちょっとこれは・・・ないんじゃないの? 監督の名前を見てこの作品を手に取った人…

幸福な食卓(小松隆志)

こんな爽やかな作品だったとは。キットカットとのタイアップなんかもあって(その割りにあまり話題になってなかったけれど)何となく敬遠してたんだけど、もったいないことをした。 全編通して過剰さを戒めるような落ち着いたトーン。例えば終盤の手紙が届く…

ウォーリー(アンドリュー・スタントン)

ゴキブリのやつがいい芝居しやがんのな。 それにしてもデートムービー、家族向け、そしてもちろんSFファンと全方位レンジの対応ぶりにピクサーの凄みを感じて感服することしきり。ベタな話を丁寧に行き届いたエピソードで組み上げていくスキルは他社の追随…

ハローサマー、グッドバイ (マイクル・コーニイ)

※ネタバレ注意:ちょっと事前情報を入れすぎたきらいがあった。いわく「知る人ぞ知るSF青春恋愛小説の傑作」「最後の1ページで世界観をひっくり返すどんでん返しが!」。自分でレビューや感想を読んでおいてなんだけど、落としどころを確認するような読書…

推定少女

何となく今PVを見返しているのだけど、楽曲はアップデートされたアイドル歌謡曲で、ある種の洗練を達成しているのだけど、顧みるに、必要とされる以上に過剰なパッケージが足を引っ張ってしまったのかな、という感じ。「しょうちのすけ」PVとか普通に格…

デス・レース(ポール・W・S・アンダーソン)

イサムは本当にこういう規模の映画が似合うねえ。 作品そのものは、オリジナルに対してよりもマッドマックス愛の方が勝ってる感じでした。 ☆☆☆1/2

シスターズ(ダグラス・バック)

デ・パルマ初期の佳作『悪魔のシスター』のリメイクであるわけですが、何というかデ・パルマの押さえても溢れ出てしまう下世話な感じ(そこが良いのだけど)が周到に脱臭・漂白されて、結果的にむしろクローネンバーグ的世界になってたような。そこにはクロ…

ナツメグの味(ジョン・コリア)

最近の異色作家系叢書の充実で、よく知らなかった作家の短篇もかなりまとまって読めるのはありがたいことです。さて今回の作家ジョン・コリアは、ミステリ系・ホラー系アンソロジーにその作品が収録されることが多く、文学史的にはサキ、ダールと並んで「奇…

竜を駆る種族(ジャック・ヴァンス)

「スタートレック」(ピカード艦長の方)を観ていた時、今回は「世界の警察」を自認するアメリカの在り方を揶揄している、という話でいいんだよな、まさか大マジじゃないよね?とちょっと不安になるような微妙なエピソードがあったことを思い出しました。こ…

ラスト、コーション(アン・リー)

レイチェル側から見た『ブレードランナー』みたいな話でしたね。ある種のアクション映画。 ☆☆☆1/2

IKEA(ちょっと違うけど)

僕はあるジャンルの基礎知識がスッポリ欠落しているところがあって、音楽でいうとそれはビートルズなのでした。さて先日何人かで飲んでいるとき、「そういえば『ノルウェイの森』って、ビートルズの曲からきてるんだよね?それってどういう曲?」という話題…

ロング・グッドバイ(レイモンド・チャンドラー)

どうもネット上の感想を読んでいると、旧来の訳である清水版との比較で「あり」か「なし」かを問うものが多くて、村上春樹というビッグネームの翻訳であることの反動ゆえ仕方ないとも思うけれど、一方でストーリーについて言及しているものがあまり見られな…

ヒットマン(ザヴィエ・ジャン)

(前回までのあらすじ)ネットレンタルでタイトルに惑わされ『ザ・ヒットマン』を借りてしまった「私」。意外な良作だったのでそれはそれでよかったのだが、やはり悔しくて本家を改めて借りることに・・・ いやー、こんな残念な感じは久しぶり。どこかで観た…

夕子ちゃんの近道(長嶋有)

人生の小休止としてアンティーク屋「フラココ屋」の住み込み店員として働き始めた主人公。このお店の周辺には大家の孫娘の朝子さんと夕子ちゃん、初代店員でよろずイラストレーターの瑞枝さん、店長の元カノ?でフランス語講師のフランソワーズなど、ちょっ…

タイプ

ジョン・ウー監督作品で一番好きなのは『ブロークン・アロー』なんだけど、ヒロインの女優さんを即答できる人はどれくらいいるのだろうか?サマンサ・マシスといえばこれ、という普通の映画ファンにアピールする作品がないのが弱いのか。マニアックなところ…

袋小路の男(絲山秋子)

高校時代の片思いから始まって、お互いにある種かけがえのない存在となったのに、最後の一線だけは越えない不思議な関係を紡ぐ20年弱の物語。ところで惹句は「純愛物語」となっていたけれど、果たしてこれは純愛なんだろうか?むしろ「純愛」みたいな単純…

スキャナー・ダークリー(リチャード・リンクレイター)

精神的に余裕があるときに観るべき作品、というのは確かにある。この映画もそうだった(厳しかった・・・)。 ただ原作への忠実度という意味では、かなり理想形と言えるのでは?あの麻薬中毒者のやくたいもない会話が延々と続くダウナーな世界観は腕のある役…

ダージリン急行(ウェス・アンダーソン)

僕は決して武闘派ではないのだけど、この作品に関してはコロニアリズムというかエキゾ趣味的な感覚が引っ掛かって最後まで素直に楽しめませんでした。旅の途中で遭遇する「ある事件」も、だから結末に向けてフラグを立てておくべきイベント(というかエクス…

ナイトホークス(ブルース・マルムース)

スタローンとルトガー・ハウアーが激突!と聞いたら、「その組み合わせ、2人が旬な頃に観たかったよなあ」ってなると思うのだけど、実は2人が(ほぼ)旬といえる時期に競演してたんですね。 あれ?皆さんご存知でしたか・・・不明を恥じなければと思いつつ…

道化の町(ジェイムズ・パウエル)

ある短編集を1冊まるごと翻訳、でなくベストセレクションゆえ当然かもしれないけれど、全てがシングルカット級というのはすごい。なので最初、個人的には「久しぶりに読書カテゴリでの5点だな」と思ってたのだけど・・・ とにかく作者の奔放かつ暴走的な発…

セクシー地帯(石井輝男)

後年のトゥーマッチな作風からすると、こんなにスタイリッシュな映画を撮っていたとは意外。タイトルから想像される作品からはかなり遠いのでは?ヒッチコック作品やコーネル・ウールリッチの小説みたいに典型的な巻き込まれ型サスペンス。 屋外撮影による銀…

文化系モデルデータマップ

ちょっと前に語学番組がグラビアアイドルの登竜門化していた頃、NHKの特殊な先見性がよく取りざたされていたけれど、実はそれより前、「YOU」の昔からNHKにはサブカル系モデル/タレントさんを積極的に登用する傾向もあって(EX.竹内海南江、大塚寧…

ゲット・スマート(ピーター・シーガル)

これはかなり面白かった!スパイ・コメディの作り方としては、とぼけた主人公のスラップスティックなギャグで強引にねじふせるか、機知とユーモアでクスリとさせるかに大別されると思うのだけど、予告編では明らかに前者として売ってましたよね。でも主人公…

モーテル(ニムロッド・アーントル) 

まったくもって無駄のないソリッドなスリラー。なのであまり言を重ねることは慎もうと思います。とにかく1時間半、多少緩急はあるけれど、ひっぱり続けて全く途切れることのない緊張感。まあ強いて例えるならイカのルアー釣りみたいなものかな(余計分かり…

アイアンマン(ジョン・ファヴロー)

「見てきたようなうそをつく」というのが映画の本分だったら、これほどその肝に忠実な作品もないだろう。だってありものの兵器のパーツから手作りでパワードスーツを組み立ててしまうんだから(家内制手工業の武具製作でこれほど盛り上がるのは『キャプテン…

断念

なぜだか理由は分からないのだけど、読んでいるうちに失読症になったような感覚を覚えて、最後まで読み通せない本がある。というか作家がいる。今回またそこに1冊加わってしまった。バリー・ハナの『地獄のコウモリ軍団』。(しりあがり寿の表紙は格好よか…