音楽

Steppin' Out(KIRINJI)

特に兄ひとりになってからのキリンジはエレクトロニカへの傾斜があまりグッとこなくて正直物足りないところもあるのだけど、今作では久しぶりに「Runner’s High」がかつての匂いがして良かったですね。(「十四時過ぎのカゲロウ」の変奏みたいにも聞こえる。…

Music Restaurant Royal Host(藤井隆)

新しい音へのチャレンジの側面もすごく良くて、一発目ということもあるけど特に「未来エキスプレス11」が好きでした。※ 一方、歌謡曲サイドではやはり「アイリーン」が素晴らしかったです。カバーだったんですね(よく見つけてきたなと思いました)。原曲の…

7+(冨田ラボ)

ここ最近の冨田ラボは、十八番の外へ抜け出そうと苦闘しているように感じられた(個人的にはあまりピンとこなかった)のだけど、久しぶりに初期アルバムの頃のウェルメイドな感じに回帰している印象で良かったです。 しかし創作者としては同じようなことを繰…

マカロワ(後藤輝基)

藤井隆で一番好きなのはやっぱり『ロミオ道行』で、その後のアルバムも好きではあるけどそこまででは…という感じだったのが、後藤輝基の『マカロワ』はかなり比肩する良さだった。アーティストとして自身で同じことは繰り返せないけれど、プロデュース作品な…

大人のまじめなカバーシリーズ(安藤裕子)

昔からのファンには邪道の謗りを免れ得ないと思うのでスルーしていただきたいのですが、冨田ラボから入った人間なのでご容赦を。アルバムそのものより、聞いてつらつら思ったことを書きたいと思います。 安藤さんはどちらかというと憑代系の歌唱法、いい意味…

乱反射ガール(土岐麻子)

ラジオで流れている曲でサビになった瞬間「あ、これ、あのCMの曲だったのか!」ってなることがあると思うのだけど、とりわけ「そうなる」歌というのは、サビへの展開がやや唐突なものではないでしょうか?このアルバムでいうと「熱砂の女」を聞いていて「…

TOUCH(土岐麻子)

キリンジつながりで手に取ったアルバムでしたが、ティアナのCMで使われていた「Waltz for Debby」をカバーしてた方だったんですね。(※ちょっと横道に逸れますが、ただ気が利いているだけに留まらず、車のコンセプトを見事に現していたCM音楽という点では…

ある夜 A Noite(イヴァン・リンス)

タイトル曲は割りと最近何かのCMで使われてませんでしたか? ポップで伸びやかでありながら叙情的な側面もあり、かつフュージョンへの接近も感じさせるという一筋縄ではいかない多面性、そしてやっぱりどの曲にも通底するサウダージ。一小節に過剰に歌詞を…

ユッカ・エスコラ(ユッカ・エスコラ)

ファイブ・コーナーズ・クインテットの2枚目にすごく期待していたのだけど、「ボーカルもの」が一層フィーチャーされていて間口は確実に広がっていたはずなのに、(過剰な期待がハードルを高くしていたのか)正直物足りなかった。というところで、クインテ…

ベルヴィル・ランデブー(Benoit Charest)

『ウォーリー』のインタビューで、監督のアンドリュー・スタントンが、「当初、舞台は宇宙だけど懐かしい音楽を、というコンセプトでスウィング・ジャズを入れようと考えていたんだけれど、フランスのアニメに先を越されてしまったので、ミュージカル(「ハ…

推定少女

何となく今PVを見返しているのだけど、楽曲はアップデートされたアイドル歌謡曲で、ある種の洗練を達成しているのだけど、顧みるに、必要とされる以上に過剰なパッケージが足を引っ張ってしまったのかな、という感じ。「しょうちのすけ」PVとか普通に格…

ペンギン・カフェ・オーケストラ-ベスト-

リアルタイムでは小学生だったので、今まで名前を聞いてもあまりピンとこなかったのだけど、これはいいですね。何か英国映画の劇伴みたいな感触。意外と前衛的な試みから構成されていたりする割りに、すごく聞きやすい。ブライアン・イーノのレーベル発とい…

Koop Islands(Koop)

前作にもあったラウンジ・スウィングの要素をより前面に押し出したような作り。なんか両大戦間期のサロンのような佇まいの曲もあったりして、そこまで先祖がえりしたかぁ、という印象もあるのですが、前作のようなジャンルの潮流を変えるような独自性や孤高…

7(キリンジ)

正直言って全肯定はできなかったというか、アルバムでいうと「For Beautiful Human Life」的にダレ場がある構成だったのです(シブめ路線?)。また、好きな曲が前半4つに集中してしまっているのも個人的にはバランスが悪くて。ネットで感想散策すると、他…

Waltz for Koop(Koop)

クラブ・ジャズ温故知新。何かの雑誌で最近Koopの名を目にして、そういえばちゃんとアルバム単位で聴いたことなかったなと思い購入。クラブイベントで当日のセットリストをCD化したやつやコンピレーションなどで曲単独ではよく聴いていて、ずっといいなと…

シネ・クァ・ノン(パウロ・ムニツ)

とにかく1曲目の吸引力が強力で、そのままCDを引っつかんでドライブに出かけたくなる。 声質・メロディといったあらゆる要素がポップスに最適化されたボサノヴァなので、いわゆるサウダージな感じは殆どないのだけれど、良い意味で「ながら聴き」に最適。…

ヴェリー・ベスト・オブ・ジャンゴ・ラインハルト(ジャンゴ・ラインハルト)

『ベルヴィル・ランデブー』がジャンゴ・ラインハルトへのオマージュ的なサントラとなっていたのに続いて、『B・モンキー』でもジャンゴの曲が重要な場面で使われているという偶然に只ならぬものを感じて(大げさですが)、速攻でamazonの購入ボタンを押し…

シェルブールの雨傘(ヤン・ラングレン)

『conclusion』の次に聞いたのが、映画音楽のカヴァーであるこのアルバム。本当は知っている曲ばかりだから入り込みやすいはずなんだけど、ふたを開けてみるとやや物足りなかった・・・ 思うに、取り上げている曲が殆どみなジャズベースの作品ばかりだから、…

Conclusion(Jan Lundgren)

ヤン・ラングレンのジャズトリオ初リーダー作。実は随分前にワゴンセールで偶然手にして、聞いてみたらあまりに素晴らしかった、というアルバムです。(これだからワゴンセールも侮れない。)ネットで調べてみたら、実は知る人ぞ知る名盤でした。僕はあまり…

DODECAGON(再感想)(キリンジ)

どうにも繰り返し聞いてしまってるこのアルバム。今までは、やっぱり(やっぱり、って言い切っていいのかしらん?)奇跡的なバランスと全曲シングルみたいなキャッチーさで『3』が一番好きだったのだけど、このアルバムのトータルバランスのよさもかなりの…

Dodecagon(キリンジ)

キリンジはお兄ちゃん派なんだけど、今回は「ブルーバード」が一番よかったな。あるインタビューで高樹氏が「(冨田プロデュースの時は)自分ではエポックメイキングな曲ができたと思っても、アウトプットの時点で大体一緒になってしまうのが・・・」と洩ら…

Source Manouche(Marcel Loeffler)

まさしくマヌーシュ(=ジプシー。最近ではエスキモーをイヌイットというがごとく、こういう呼称になっているみたい)音楽。哀切な響き。 帯の文句にあるように、フランスのカルチェラタンあたりの(すいません、カルチェラタンって書きたかっただけです。<…

Ship Launching(冨田ラボ)

前作「Ship Building」が畠山美由紀やハナレグミといったどちらかというと通好みのアーティストをフィーチャーしてたのに対して、今回はケミストリーやSOULHEAD、大貫妙子といったポピュラー寄りな選択だったので「今回は本人のメジャー…

The Look of jazz

くつろぎの時間のBGMにジャズの適当なコンピレーションアルバムがほしい、けれども「リカード・ボサノヴァ」とか「クレオパトラズ・ドリーム」みたいにベタなのはちょっと・・・、でもゴリゴリにマニアな曲じゃよく分からないしなぁ、という見栄っ張りな…

ナイトフライ(ドナルド・フェイゲン)

音楽温故知新:AOR編。ドゥービー・ブラザーズのメンバーも元所属していたユニット、スティーリー・ダンの片割れでAORの代名詞、みたいな「ポピュラー・ミュージック」音楽史上の基礎知識はあったのだけど聞くのは初めて。 知っている人にとっては、本…

冨田ラボについてあるいはデジャヴュ

ママレイド・ラグのファンの方には申し訳ないけれども、キリンジファンの僕としては「あんまり似すぎなんじゃないの?あるいはカブりすぎなのでは?」と心中穏やかならざるものがあった訳です。 そんなある日、フィーチャリングのシングルも貯まってきたので…

reckless engineers(epic45)

音響系ロックバンドのファーストアルバム。注文して3ヶ月、やっと届いたんですが・・・ セカンドアルバムの「Against the pull of autumn」がかなり良かったので、遡って聞いてみました。・・・正直、あまりの変化のなさに肩透かし。 ただ「Against〜」には…

Big Band Bossa Nova(Quincy Jones)

基本の復習シリーズ。ジャズ温故知新2。 クインシー・ジョーンズは、僕にとってはまず何よりプロデュースワークの人(S・ワンダー、M・ジャクソン等々)というイメージだったので、ちゃんと個人名義のアルバムを聞くのはこれが初めて。 最近では「オース…

Newtone(NEWTONE)

僕が持っているのは1996年発売のEC版。エド・サリバンショー出演みたいなシチュエーションのジャケット写真が妙に気持ち悪くてインパクト大。それでどんなバンドかと聞いてみたらアシッド風ファンクですごく良かった、というのが出会い。だったのだけ…

Maiden Voyage(Herbie Hancock)

基本の復習シリーズ。ジャズ温故知新。 ピアノアルバムといえば、そしてハービー・ハンコックといえばこれをまず押さえとけ、という位置づけのアルバム。だと思う。受け売りなのですいません。 「処女航海」というタイトルに象徴されるように、一種のコンセ…