2025-01-01から1ヶ月間の記事一覧

暗殺のジャムセッション(ロス・トーマス)

『愚者の街』が最高に面白かったので、作者の作品をまた読みたいなと思っていたのですが、2冊目はこの小説になりました。 物語はシンプルで、特殊工作に従事してきた男たちがその腕を見込まれてとある非合法作戦のオファーを受けるけれど、そういう仕事とは…

ザ・クリエイター/創造者(ギャレス・エドワーズ)

すごく気合の入ったインディーズ作品みたいだなと思いました。 というのも、素晴らしいレイアウトが時々あって、しかも精緻なVFXなんだけど、いままで作り手が好きだった作品のイメージや設定を、5年くらいかけて個人で根性で再現してるみたいな雰囲気だか…

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK(エドワード・ズウィック)

あまり芳しい評判を聞かなかったので見ていなかったのですが、実際見てみると、まあ、そうかなと思いました。 前作『アウトロー』は、70年代風のアクション(見せ場はごく限られていて、その代わり話運びと演出の妙で魅せるのが醍醐味)に徹するというとこ…

ビーキーパー(デヴィッド・エアー)

噂に違わぬ面白さで最高でした。僕が観たかった『マトリックス レザレクションズ』という感じもありました。極秘セクションのエージェントである「養蜂家」は、必要であれば女王蜂も排除する、集団の平衡を保つ者なのですが=イクイリブリウムつまり『リベリ…

Cloud クラウド(黒沢清)

もうテーマとかそういうのいいでしょ、とばかりに『地獄の警備員』とかVシネくらいソリッドなホラー/アクションに回帰していた気がします。「クラウド」というタイトルや、ネットで悪意が増殖する、というのは看板に偽りありというか、ものすごく身近なとこ…

ホールドオーバーズ(アレクサンダー・ペイン)

すごく淡色で描かれた作品という印象でした。監督の作品はわかりやすいフックがあるわけではないけれど、現実の世界がそうであるように、見ている過程で少しずつその人物の人となりが分かってきて、(全面的に好きにならないまでも)距離が縮まっていくとい…

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン(グレッグ・バーランティ)

すごく面白かった。俳優、美術(これは本当にすごかったと思います)、撮影、音楽、気が利いたセリフ全て抜かりなしという印象です。 しかしながら大いなるパラドクスというべきか、全編に渡って隙がないことを目指した故にか、「面白くない場面があること恐…

それでも世界はサッカーとともに回り続ける(片野道郎)

子どもがサッカーをしているので、最近興味が出てきて(私が)海外サッカーのドキュメンタリーを見たりしていたのだけど、移籍金額などが極端だからどんな状況なのかなと気になっていたのですが、そのバックグラウンドについて要点を簡潔に説明してくれる内…

銀の街から(沢木耕太郎)

映画批評2分冊の後編。2014年の映画までなので、ここまでくると最近という感じがしますね。半分くらい(もっとかな)は見た映画でしたが、また見返してみようかなという気分になるくらいの名調子でした。もともとのコンセプトが、映画をあまり見なくなった…

シビル・ウォー アメリカ最後の日(アレックス・ガーランド)

A24最大規模の予算で描く!と言われていたほどスケールが大きくなかったなと思ったのと(そもそも監督は箱庭的世界観の人だと思う)、アクチュアルなテーマではあるものの、率直に言ってそんなに感心はしなかったというのが感想です。(映画館で観たらまた違…

我らが願いは戦争(チャン・ガンミョン)

北朝鮮が自壊し、南北統一が果たされた朝鮮半島。しかし国家としての統一は未だ遠く、国境エリアは無法の巷と化し、麻薬を扱う悪党が跋扈していた。かつて北の特殊部隊に属していたチャン・リチョルは、とある理由から国境へと戻って来る。ふとした切っ掛け…