映画

カラー・アウト・オブ・スペース(リチャード・スタンリー)

ホラー映画というよりは『モスキート・コースト』と同じフォルダに整理すべき作品でしたね。危機を前にしてなすすべもないお父さんのみっともなさが最大の恐怖ポイントだったように思います。 ☆☆☆1/2

サスペリア(ダリオ・アルジェント)

ごく幼い子どもの頃この映画のCMがトラウマだった。大人になって何度か見ているけど本当に異様な映画ですよね。物語を盛り上げるためにショックシーンがあるのではなく、ショックシーンしかない、みたいな感じ。しかし実をいうとナイフでグサーみたいな場面…

シン・仮面ライダー(庵野秀明)

最初のバイクでの変身シーンで訳もなく涙が出て、それだけで充分とも言えるけど、あそこが最高潮でもあったな。一緒に観た子どもたちも楽しんでいたようで良かった。 ルリルリみたいな言い回し、よくわからない英語の気取った発音への拘り、鳴りっぱなしの劇伴、…

LION/ライオン 〜25年目のただいま〜(ガース・デイヴィス)

悪くはないのだけど…グーグルアースってすごいですね、というのが率直な感想です。 というのも『スラムドッグ$ミリオネア』の時も感じたのだけど、「インドの過酷な環境から少年がサバイブする」という物語を欧米の監督が描く視点にどうしてもエキゾチシズム…

クワイエット・プレイス 破られた沈黙(ジョン・クラシンスキー)

基本的には面白かったです。という前提で、実は裸足にこだわる必要ないのでは?というのと、奥さんは娘を助けに行けなんてエメットに甘えすぎでは?という気持ちが拭えなかったです。(そうじゃないと話が進まないのだけど…) ☆☆☆

ブラック・フォン(スコット・デリクソン)

原作読んでるはずなのに全然覚えていませんでした…ところで短編の映画化に関しては、膨らませた部分が上手くいっているかどうかが勝負、みたいな所があるけど、実際のランタイムとは関係なく「短編そのまま」という不思議な印象を受けました。ソリッドなつく…

炎の少女チャーリー(キース・トーマス)

音楽がまさかのカーペンター御大だからその印象のためか、低予算で工夫して頑張っている感じとか、赤いエンドクレジットとか、70年代後半から80年代前半のSFホラーの雰囲気で、すごく良かったです。 というか、端的にいうと初期のクローネンバーグっぽい感じ…

モータルコンバット(サイモン・マッコイド)

敵も味方もあまり強そうじゃないのがなんとも…ただ真田広之と浅野忠信だけが気を吐いていたかなという印象です。 ☆☆☆

キング・アーサー(ガイ・リッチー)

映画館で観た予告で侮っていたことをお詫びしなければ…と思うくらい面白かったです。ファンタジーにまつわるVFXも予想以上にこなれてたし使いこなしてた印象(ムマキルがよかったですよね…)。 全般に、聖剣発動シーンは無双だし、ヴォーティガンとの一騎打…

クーリエ:最高機密の運び屋(ドミニク・クック)

端正なスパイ映画でした。今更ですがベネディクト・カンバーバッチは演技が素晴らしいですね。(もちろんオレグ役のメラーブ・ニニッゼもとてもよかったです。)平和を守るためという信念であえて祖国を裏切るというのはどのような気持ちだったのだろうか、…

スタートアップ!(チェ・ジョンヨル)

昭和の人情喜劇を今韓国で作ったら、みたいな映画でした。脚本はもうちょっとブラッシュアップできる余地があったかな。 ところでマ・ドンソクは、今回みたいに「別に主役じゃなくてもいいし」というような、ほとんどデ・ニーロのポジション的立ち位置になっ…

ゴーストバスターズ(ポール・フェイグ)

先日見た「アフターライフ」はジュブナイルSF(特にスピルバーグオマージュとして)という側面からの80年代リバイバルだったけど、こちらは派手さと悪ふざけという切り取り方だったですね。(だからリメイク元の精神にはこちらが近い。)プラクティカル・…

エベレスト(バルタザール・コルマウクル)

オールスターキャスト映画※ということもあって、欧米版『八甲田山』だなと思いました。あ、だから『エベレスト』で合っているのか。 すごい映像でしたね。実際に現場で撮影したという意気込みが反映していたと思うし、こういうことがありました、というある…

ジェントルメン(ガイ・リッチー)

『ロック、ストック~』や『スナッチ』を今やるならという感じだったんですね。語り手たる探偵の脚色がだんだん過剰になってホラ話じみてくるのも面白かった。キャストがすごく贅沢で、最近「得体のしれない人物」の役がやけに多いマシュー・マコノヒーがや…

最後まで行く(キム・ソンフン)

すごく面白かった。ノワール・コメディという感じかな。どういう結末になるのか見ている間見当がつかないところがよかったですね。とにかく観客を面白がらせてやろうという作り手側の貪欲さが韓国映画の勢いを感じさせます。 ☆☆☆1/2 ※ところで、あれこの…

神々の山嶺(パトリック・アンベール)

日本の原作であるにもかかわらずバンドデシネのアニメ化のような雰囲気でした。一方で、矛盾するようだけど実景を撮影したような生々しさ。(絶景という他ない山嶺の神々しさはもちろん、ビバークで夜を過ごすつらさとか、雪崩の質感とか。)映画とは「普通…

ベルファスト(ケネス・ブラナー)

天真爛漫な主人公の少年バディの笑顔がいいのと、じいちゃんの警句じみたセリフが良かったですね。こういう状況はつらかったろうな。 ☆☆☆1/2 ※ジュディ・デンチ以外(とはいえ母親はダブリン出身とのこと)はアイルランド出身の俳優で固めているというの…

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒(キャシー・ヤン)

やりたいことはよく分かるし、狙いは概ね上手くいっていると思うのだけど、些かパンチに欠ける印象でした。やっぱり敵役が地味だったのかな。シオニスはユアン・マクレガーの柄じゃないというか(悪役は演じられると思うけど)、いわゆるこういうサイコっぽ…

画家と泥棒(ベンジャミン・リー)

ベルティルのリアクションのくだりもさることながら、うえー…マジか?となる結末が心に残るドキュメンタリーでした。監督の意図はどうだったのかな。 ところで、俳優が再現ドラマとして演じているかと錯覚するくらい主役2人がフォトジェニックだったのと、…

劇場版 呪術廻戦 0(朴性厚)

呪術廻戦エヴァンゲリオン分校といった感じでしたね。作り手がどういう話にしたいのか明確だからOKと思うけど、そういう意味で最初から厨二上等という心意気だったのだと思います。画の書き込みはさすがに劇場版でしたが、アクションについては鬼滅のような…

RUN/ラン(アニーシュ・チャガンティ)

タイトなランタイムであり、良く練られた脚本だと思いました。しかし評判の高さから期待しすぎたかな。 ところで我々観客は見ている間だけあの母親に付き合えばいいけれど、主人公はこれまでの人生を依存していたと考えたら本当に絶望しかないと思いますよね…

THE FIRST SLAM DUNK(井上雄彦)

観たあとでは、この構成しかないというつくり。バガボンドの呼吸で演出されているスラムダンクという風情でした。そして作品としては映画の『AKIRA』っぽい。 選手として試合の渦中にあるような臨場感がすごかったのと、フェイクの入れ方などの動きの付け方…

21ブリッジ(ブライアン・カーク)

テイラー・キッチュって『野蛮なやつら』からこっち、やさぐれ軍人あがり役ばかりやってる感がありますね。キャスティングがすごく贅沢なのはルッソ兄弟力なのかな。映画はタイトなつくりが好印象でした。特に「だんだん夜が明ける感じと主人公が疲弊してい…

ロスト・シティZ 失われた黄金都市(ジェームズ・グレイ)

『地獄の黙示録』、というかむしろ『闇の奥』だけど、いわゆる「森に憑かれた男」の話※だったんですね。正直めちゃめちゃアンチクライマックスなドラマだから見通すのは辛かった。でも出演陣がすごく豪華。あとトム・ホランドはイノセントな徒弟(息子)役が…

ザ・ウェイバック(ギャビン・オコナー)

アルコール依存症のバスケットボールのコーチをベン・アフレックが演じる、という「役柄に本人が二重写しになる」要素の一転突破の作品だなと感じました。確かに上手いんだけど、俺の弱さは理由のあることなんだから大目に見てくれという主人公の甘えが受け…

ワンダーウーマン 1984(パティ・ジェンキンス)

冒頭の強盗のくだりがドナー版スーパーマンっぽくてよかった。「ヒーロー活動の日常」というのが好きなので、終始あのトーンで通してもらっても構わなかったくらい。 ところで、強盗団のおっちょこちょいな感じとか、のったりした段取りアクションとか、いか…

テネット(クリストファー・ノーラン)

先日見た『ダンケルク』であれ?と気になって、『テネット』公開当時以来に再見したのだけど、例えば恋愛、嫉妬、友情などの感情に対して、世間一般で期待される反応はこうだよねというシミュレートをしているだけで、内側から湧き出るものとして描けていな…

ダンケルク(クリストファー・ノーラン)

映画館で観ないと真価は分からないタイプの映画だったかな。見終わってなるほどですね…で完結してしまうというか。サバイバルものとしてはまあまあでした。 それにしてもバリー・コーガンってノーラン顔だな(特徴的な顔相好きの意)。 ☆☆☆1/2

ダークタワー(ニコライ・アーセル)

あえてキングがらみでいえば『タリスマン』的ジュブナイル映画としては悪くない、というかむしろ好きでした。特に「我は手で撃たぬ。手で撃つ者、父親の顔を忘却せり。我は〈気〉で狙い定める。」を唱えるシーンなんて、見えを切るという感じで否応なく盛り…

SEOBOK/ソボク(イ・ヨンジュ)

これは良いスキャナーズ、もしくは童夢。最後の爆発に焦点を定めたストレートな語りが潔くていいなと思いました。(見終わって知ってびっくりしたけど『建築学概論』の監督・脚本のイ・ヨンジュだったんですね。)『私を離さないで』でもあったかな。 ☆☆☆1…