映画

デューン 砂の惑星 PART2(ドゥニ・ヴィルヌーヴ)

正直、(テーマやモチーフを思うと)この時期での公開はタイミングとしてよかったような悪かったような…それはさておき、このクオリティでやり切ったのは素晴らしいと思います。圧倒的な砂漠の説得力。 でも結構丁寧に進めるから、途中ペースが不安になって…

ある男(石川慶)

射程の限界も含めて現代版『砂の器』なんだと思いました。最後あんなに辛い感じにする必要あったかな? ☆☆☆1/2 ※世評の高い出演陣の演技も、どこか邦画の演出の規範どおりという印象であまり感銘を受けませんでした。

羊たちの沈黙(ジョナサン・デミ)

こういうタイプの娯楽作がアカデミー賞を獲るなんて!と当時思ったものだけど、やっぱり今に到るまで異色ではありますよね。あと公開時は面白いと思ったものの普通だなという感想だったのですが、改めて今見ると演技だけでなく、美術、衣装、撮影、細部に至…

BLUE GIANT(立川譲)

青年誌漫画をアニメ化した時のいなたさ(90年代~2000年代前半くらい?の雰囲気)みたいなものがあってそれは悪くなかったのだけど、演奏の場面でのCG使いがこなれていない※のと、特に厳しかったのは「演奏されている音楽がいかに素晴らしいか」は漫画では読…

SISU/シス 不死身の男(ヤルマリ・フレンダー)

章立てされた構成といい、フォントにも明らかでしたが、北欧風マカロニウエスタン(名犬を添えて)といった風情でしたね。噂通りの面白さでした。ディテールの豊かさもよかったです。 「舐めてた相手が殺人マシーンだった」ものとして既に一定の面白さが確保…

ローラーボール(ノーマン・ジュイソン)

カルト映画になるべくしてなったというか、狙ったわけじゃない「天然もの」の匂いがする作品でした。そのルールが面白いんだかどうだかわからない暴力スポーツ「ローラーボール」も微妙だけど、ディストピアですよ!と煽ってくる割りに実態が判然としない企…

ザ・ロストシティ(アーロン・ニー、アダム・ニー)

もともとの秘境ものとしては『ロスト・シティZ』を踏まえているのかな、と思うのだけど、ジャンルとしては完全に『ロマンシング・ストーン』の現代版ですね。知らなかったけどキャストが贅沢で、ブラッド・ピットの使い方が贅沢だし、ダニエル・ラドクリフは…

22ジャンプストリート(フィル・ロード、クリストファー・ミラー)

ひとつひとつはしょうもないギャグなんだけど、執拗に繰り返されるためについには笑うしかない、という前作同様のコメディ。なかなか下品だし、少し前の映画だけど当時としてもかなりギリギリの線を狙ったネタが多いかなと思いました。そういう意味では主演…

ヴァチカンのエクソシスト(ジュリアス・エイヴァリー)

いい湯加減の娯楽作品。ところでエクソシストものって実話ベースじゃないといけないの?と思ったり。ともあれラッセル・クロウの座持ちする存在感に感嘆。あと被害を被る娘さんがヘイリー・スタインフェルドみたいだなと思ったり、息子の方の特異な相貌が効…

チャーリーズ・エンジェル(エリザベス・バンクス)

マックGの映画化が快調だった記憶がまだ強いので、今作はシリアスにしたいのかお気楽おもしろ路線なのか、いささか中途半端な印象でした。ありていにいってガールズ・エンパワメント路線を狙っているのだろうと思うのだけど、それは主人公たちが格好良ければ…

燃ゆる月(パク・チェヒョン)

この頃の韓国映画はとにかく面白いとされている他国の作品を貪欲に吸収しようとしていたのだと思います。この作品でいうと香港の武侠映画だけど(ルックやメイクが笑ってしまうほどツイ・ハーク)、何が肝なのか分かっていない。ケレンがないしシンプルなロ…

ブリキの太鼓(フォルカー・シュレンドルフ)

何というか、小説にせよ映画にせよ、メタファーが効いてることがよしとされた時代の作品だなと思います。最近流行らないというかもうちょっと洗練されたのか…。あとこういう作風がカンヌ映画祭向け、とされていた時代の匂いも感じました。 ☆☆☆

ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(ルイ・レテリエ)

なんかまあ『ハートブルー』だよね…と思ってたあの頃、いつの間にか超ビッグバジェット映画になってしまっていたんですね。(飛び飛びしか見てないので…)エンドクレジットの音楽なんてむしろ007シリーズのような雰囲気まであるような。これでもかと総決算の…

レザボア・ドッグス(クエンティン・タランティーノ)

公開時以来に見たけれど、今見るとやっぱり荒いし、いかにもインディペンデント作品といった雰囲気が拭えない。(ついでにいうとそこが当時のミニシアターっぽいのが面白い。)しかし使われている音楽の発掘の先見性が群を抜いているし(というかこの映画で…

レミニセンス(リサ・ジョイ)

てっきり『インセプション』の亜流かと思いきや、道具立てこそそうだけど、結構正統派のノワールでした。(必要な要素は全部あると思います。)舞台も荒廃した未来としては割と新鮮なイメージで悪くなかったです。でも正直それ以上のものはなかったかな… ☆☆☆

ピアノ・レッスン(ジェーン・カンピオン)

(好きな方は読まれないでください。)主人公がすごくシガニー・ウィーバーぽい撮られ方してるなと思いながら見ていたら、当初監督は本当に彼女を想定していたそうですね。あと、公開当時から、言葉を話すことができないのはてっきり娘の方だとなぜか思い込…

リーチャー:シーズン2(監督は複数)

シーズン1も相当面白かったけど、シーズン2は予想を超えて面白かった。ガンアクションの組み立てもスムーズだし、スパッと決着が付くのも最高でした。『ザ・ボーイズ』は物語を続けんがために悪役を延命するような無理な展開があって大いに失望したけど、…

ドリームプラン(レイナルド・マーカス・グリーン)

ちょっと常軌を逸してるかなという父親像で、実際よりソフトには描いているのだろうけれど、いつもつまようじを咥えているところも感じが悪いし、あまり好感が持てるような造形でなかったところがいわゆる伝記映画としては異色かもしれない。美化しすぎてい…

サスペクト 哀しき容疑者(ウォン・シニョン)

ボーンシリーズがやりたかったんだなという印象でした。同じような出自の殺し屋が襲ってくるという展開もその辺りを意識していたような。しかし格闘こそもっさりしていたもののカーチェイスは本当に頑張っていたと思います。ところで韓国映画はその時々の北…

ザ・コンチネンタル(アルバート・ヒューズ、シャーロット・ブランドストロム)

お手並み拝見と試しに見てみたらすごく面白くて一気に最後まで見てしまいました。むしろ本編より面白かったくらい。単独の「兄弟のクロニクル」として成立しているから※1、いっそ前日譚じゃなくてオリジナル企画でよかったのではとすら思いました(それだと…

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(アーロン・ホーバス、マイケル・イェレニック)

ブルックリンにクッパ城を引きずり込んでしまうのは、「故郷へ錦を飾る」ためとはいえ、やっぱりヒーロー映画におけるマッチポンプ問題として気になりました。それはさておき、マリオのゲームの世界観がキャラクターの造形といい象徴的なオブジェクトのなじ…

シー・セッド その名を暴け(マリア・シュラーダー)

実質的に『大統領の陰謀』リメイクという印象。記者もの、会議ものって格好いいですよね。インタビューするシーンの撮り方、レイアウトが何気に「決まって」いてそこも気分が上がる要素だった気がします。 二人主人公体制のつくりですが、実質ジョディが主役…

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎(古賀豪)

制作陣のテーマへの向き合い方の真摯さを疑うものではないのですが、「今まさにこのタイミングで言わなければいけないことを言う」ことにあまりにも依拠している感じがして。 上記はもちろん大事なことであるし、志は買いたいのですが、それさえ果たせばとい…

パーム・スプリングス(マックス・バーバコウ)

ちょっと前でいうジャド・アパトー関連の、少し下世話な、それでいてちょっとホロリとさせる人情コメディの線を狙ったタイムループものなのかな。 なんですが、物語の骨格はほぼ同じといってもいい『明日への地図を探して』の方がより好みでした。先に見た方…

ザ・ライト -エクソシストの真実-(ミカエル・ハフストローム)

申し訳ないですが、何かを信じすぎることはよくないなと思いました。 ☆☆☆

スピリットウォーカー(ユン・ジェグン)

記憶が失われ、かつ他人の体に魂が乗り移る男の孤独な闘い、という導入が面白かったのだけど、だんだんネタが割れてからは普通になったかな。とはいえ、「乗り移った身体とは関係なく、本人の身に付いたスキルが勝負を分ける」という設定と展開は結構盛り上…

V.I.P. 修羅の獣たち(パク・フンジョン)

ちょっと前の映画だけど、韓国の暴力描写のエクストリーム化路線に懸念していたことが的中していたなと思いました。「ためにする残酷描写」がひどすぎて僕にはアウトだった。フィクションなんだからそこは作り手次第な訳で、物語の要請上もあそこまでする必…

コンティニュー(ジョー・カーナハン)

端的にいって『オール・ユー・ニード・イズ・キル』なんだけど、そもそもカーナハン監督って、過去をやり直すとか過去を取り戻すといった物語へのオブセッションがすごいなと思う。『NARC ナーク』から此の方その話しかしてないくらいの印象があります。 と…

帝都物語(実相寺昭雄)

角川文庫版で当時最後まで読みましたが、幻魔大戦とか宇宙皇子とか流行っていたような記憶と一緒になっています。そうそう確かにそういう話だったなと思い出しながら見ていたけど、一見さんにはなにがなんだかという作り。正直、作品としても長いわりにほど…

オペレーション・フォーチュン(ガイ・リッチー)

いい湯加減の娯楽作品で、贅沢なキャストの割りにアクションは実は控えめだから意外と予算はほどほどだったのかも。僕はガイ・リッチーのリッチ描写が好きなのでその点は楽しめました。ブラックコメディなのかシリアスなのか、みたいな案配は『スナッチ』に…