2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧
アンソロジーはやっぱり玉石混交ということが多くて、特に(この短編集もそうですが)「発注系」ではまあ3つくらい良いなという作品があれば上出来だと思うのだけど、そういう意味では十分以上に充実していたという印象でした。 さて、今回のくくりは「ポー…
アメリカからオックスフォード大にやってきた留学生マーティンは、著名な数学者セルダム教授の熱烈な信奉者だった。知遇を得るためあらゆる機会を利用するマーティン。しかしそんな矢先、下宿先の女主人が殺されてしまう。しかもそれは連続殺人事件の始まり…
17歳のレフは死んだドイツ兵からの略奪行為でソ連軍に捕まってしまうが、あわや処刑かと思われた時、同房の青年脱走兵コーリャと共に奇妙な任務を負うことで猶予を得る。それは軍の大佐の娘の結婚式のために、卵を一ダース、5日以内に調達するというもの…
流行ってると聞けば、パッチポケットのネイビージャケットからインフルエンザまでとりあえず乗っかってみることを旨としてきたので、この夏もご多分に漏れずGTAのウォッシュドカーゴを買ってしまったのですが。(予想以上に使い勝手がよくて重宝しており…
見る前は、ハードコアでハードゴアな最近の韓国映画のトレンドに則った話なのかと思っていたのですが、そういう一点突破的な方法を採らずに、一見地味で丁寧な描写を積み重ねていきます。 まず(繊細なようで結構無神経な)主人公を初めとした全ての登場人物…
さえないマジシャン、コーキーは、腹話術人形のファッツを相方にすることで一夜にして人気者になった。やり手のエージェントであるベンに見出されTV出演のチャンスを得るが、彼は精神の不安定さを見抜かれるのを恐れて故郷の田舎町に逃げ込んでしまう。故…
現実がその生々しいはらわたを見せる転調のところが、やっぱり世間的な好評価のポイントなのではなかろうか、と思った訳ですが、正直個人的にはサントラのスキャットとか、「討ち入り」の後の存外浪花節な展開とか、監督のセンスにううむ・・・いかがなもの…
結構既読作品が多かったのがちょっと残念でした。ビッスンに関しては2冊目なので(それをいったらスタージョンは3冊だけど)、ウィル・セルフとかマーゴ・ラナガンみたいな知らない作家を紹介してほしかった。 それと奇想に仮託した現実社会への異議申し立…
月面の重力描写とか、随所に見られる繊細な配慮が近年珍しい「映画へのSFマインドの定着」に功を奏していると思いました。 それともちろん、ほとんどを独り芝居で持たせるサム・ロックウェルの膂力。(個人的に『真夜中のカーボーイ』のラッツォみたいな、…
「激情型の登場人物たちが織り成す波乱万丈の大ドラマ」のような先入観がロシアのこの頃の小説にはあったのだけど(さらに『カラマーゾフの兄弟』を読んでから、より一層その思いが強く刷り込まれたのだけど)、この短編集に関していうと全然違いました。だ…