鋼鉄都市(アイザック・アシモフ)

 手に取ったのは、ふとアシモフのロボットものを読みたいな、と思っていた時に、アンディ・ウィアーが『鋼鉄都市』を薦めていたから。ものすごく面白かったです。

 ロボットものとしては、推理に軸足のある短編と違って、「宇宙に進出した未来」という「if」から論理的に構築された社会学SFであり、特殊設定ミステリの源流でもあるなと思いました。登場人物の描き込み方にも奥行きがあって、単にスケールが大きいだけではなく、構えがどっしりしていると感じました。そうそう黄金期のSFってこんな感じだったよな、という感触。なぜか最近のSFは個人の内面にフォーカスしすぎで、こじんまりしているんですよね。 

 ところで、70年前の作品なのに、完全に現代の感覚を言い当てているのにも驚きました。便利さを追求した果てに、閉塞的なディストピアになってしまっている皮肉。というか、書かれた当時にしてからそうだったということかもしれないけれど。加えて「会社もの」の悲哀も描かれたりして、懐の深い作品でしたね。

☆☆☆☆☆

※この作品に豊潤さを感じるのは、未来の描写のディテールが冴えていること。共同食堂の味気ないのにほっとする感じとか、子どもの頃高速自動歩道でむちゃな方向転換の鬼ごっこをしていたことを突然思い出すとか。これがオールタイムベスト作品の底力か!