2021-01-01から1年間の記事一覧

囚われた国家(ルパート・ワイアット)

最初はスルーの予定だったのですが、僕の偏愛する『猿の惑星:創世記』のルパート・ワイアットの作品じゃないか!と気づいたので見てみました。異星人による支配完了から9年、一部レジスタンスは反撃の狼煙を上げようと秘密作戦を企てるのだが… 結論として…

閃光のハサウェイ(村瀬修功)

アニメで思う存分怪獣映画をやったという点で面白かった。ガンダムを超久しぶりに見たけど、セリフ回しこんなにクセがあったんですね…それと、ここぞという場面で英語詞の中途半端な音楽が流れるの、アニメでよくあるけれど、本当に格好悪いからいいかげんや…

摩天楼の身代金(リチャード・ジェサップ)

一部ですごく高評価と聞いて読んだのですが、あらすじ紹介からは、おもしろコンゲーム、もしくはケイパーものを予想してたら、ウィリアム・ゴールドマンとかトレヴェニアンみたいな殺伐が顔を出すのが独特の味わい。もしかしたら80年代の時代性かも。(物…

音楽(岩井澤健治)

アートアニメの範疇だと思うけど、というかアートアニメそのものだけど、音楽にまつわる初期衝動の一点突破の作品かと思いきや、ロックが生まれる瞬間をフィルムに焼き付けた稀有な映画でした。最初リコーダーが出てきた時は吉田戦車的なおもしろ要素なんだ…

マトリックス レザレクションズ(ラナ・ウォシャウスキー)

電脳版「寝ても覚めても」だな。その名前で私を呼ぶな!ってお母さんが突然出て行ったらすごく困るだろうな、と思いました。 そもそもそんなに期待してなかったので、新鮮味はなかったけれど、ああ、やってるやってる、という感じで楽しかったですね。ゲーム…

キャッシュトラック(ガイ・リッチー)

リメイク版のせいか、いつもの(というかちょっと前の)リッチー節みたいなゲーム性を排して、陰惨なノワールの匂いがする話になっていましたね。スコット・イーストウッドがいつもの役を反転させた感じのキャラで面白かったのと、J・ハートネットがあんな…

ランボー ラスト・ブラッド(エイドリアン・グランバーグ)

正直第一作を除けばアメリカのやり散らかし発散話でもあるので(まあ理由はあるのだけど)冷静に考えると微妙なところもあるよな…というこのシリーズ。今回も同じ感想になりました。 それはさておき、今回の発端となった父親の件、娘にひどいことを言うのだ…

ライズ・オブ・シードラゴン(ツイ・ハーク)

CGといいセットといい、同じツイ・ハーク作とはいえ、前作『人体発火怪奇事件』のクオリティには予算のせいなのかはるかに及ばないのだけど、結構面白かったですね。特にワイヤーアクションは相変わらずどうやって撮っているのか分からないくらい複雑な構成…

ウォールフラワー(スティーブン・チョボスキー)

エマ・ワトソンは、本人は多分人柄としてはいい人なんだと思うけど、役者としてはコクがないというかいつも物足りない印象で。この作品のこの役に必要なチャーム(この人について行きたい、自分が勝手に作っていた壁をぶち破ってくれそうな気がする、みたい…

T-34 レジェンド・オブ・ウォー(アレクセイ・シドロフ)

主人公は身をやつしても匂い立つハンサムオーラがすごいなって思いながら見てたのだけど、あの快(怪)作「魔界探偵ゴーゴリ」の人だったんですね。見間違えた!イェーガーはちょっと「デュエリスト」の雰囲気があったかな。 「潜水艦もの」のような機能が限…

哀しき獣(ナ・ホンジン)

(ネタバレ)公開当時評判は聞いていたけど、韓国陰惨バイオレンスの流れが食傷ぎみだったのでスルーしていたのですが、先日『暗数殺人』でキム・ユンソクをみたら過去作が見たくなって。なるほど、寄る辺なき者たちのノワールという感じで良かったですね。…

お嬢さん(パク・チャヌク)

(ネタバレ)グランギニョルのパノラマという雰囲気がちょっと鈴木清順っぽいなというところと、エログロナンセンスな感じが夢野久作風でした。きっと狙ってると思うのだけど。あと変態的な上月が最近見た『毒戦』の好演が印象的だったチョ・ジヌンだったと…

エターナルズ(クロエ・ジャオ)

主人公の人が麻生久美子に見えて仕方がなかったのと、スプライトのキャラ造形が手塚治虫作品の匂いがしましたね。(いたいけで可愛らしいけど不憫みたいなのが私にはツボなのです。) 最初、敵キャラのデザインやビジュアルという意味での世界観がやけにファ…

花束みたいな恋をした(土井裕泰)

趣味が同じだから、という一点突破じゃ永続的な関係は結べない。個人的には、趣味は違っても価値観が同じなら大丈夫だと思うのだけど。主人公たちは結婚しても良かったと思うけれど、物語として表に出てこない部分で絹ちゃんは踏み切れない何かを感じていた…

暗数殺人(キム・テギュン)

韓国映画でもよくあるサイコキラーものかなと思わせて…というのが最大のミスリードだったでしょうか※1。犯人の造形は確かにソシオパスなんだけど、実はその口ぶりとは違って異常快楽殺人ではないことが徐々に判明していく。 主人公の刑事は、このジャンルに…

スカイフォール(サム・メンデス)

先日『ノー・タイム・トゥ・ダイ』を観たので久しぶりに見返しました。確かに撮影といい物語の構えといい、007というより映画として名作の風格があるのだけど、映画館で初めて観たときからどうしても好きになれないのは、助けようと思えば助けられるのに敢え…

ロシアより愛をこめて(テレンス・ヤング)

名作の誉れ高いけど、良くも悪くも「いい気なもんですな…」感があってぼちぼちだったかな。ところでソ連領事館を爆破する作戦があるけど、BGMの面白大作戦感とは裏腹に爆発に巻き込まれた女性が路上に放置されるカットがあって、その即物性と陰惨さにびっく…

サイコ2(リチャード・フランクリン)

想像してたより丁寧だし面白かった(偏愛対象になるのも分かる)けど、プロット上の辻褄合わせの解決法がちょっとなあ…ツイストとして派手さはなくていいから、むしろボタンの掛け違いで哀しい結果に、ということにしてほしかった。 ところで、当時小学生だ…

ノー・タイム・トゥ・ダイ(キャリー・ジョージ・フクナガ)

ネタバレです。:『スペクター』で終わりでも美しかったと思うのだけど、もし続編があるなら、と想像していた感じの作品になっていてよかったと思いました。ダニエル・クレイグになってからの007は全部映画館で観てきたから感慨深かった。結末では泣いてしま…

ゾンビワールドへようこそ(クリストファー・B・ランドン)

気楽に見られるし、出演者の一流感がよかったです。(低予算で頑張ってる感じの作品もいいのだけど、役者陣がなあ…ってなることも多いから。)手堅いなって思ったら『ハッピー・デス・デイ』の人だったんですね。 ☆☆☆1/2 ※原題はScouts Guide to the Zomb…

白鯨との闘い(ロン・ハワード)

よくこんなアンチクライマックスな物語に大予算をかけたなと思いました。小説『白鯨』のバックグラウンドという体裁だけど、その枠物語もフィクションでしたね。原題はIn the Heart of the Seaであるように、何かに憑かれた男が人の力の及ばぬ自然領域に足を…

007 ドクター・ノオ(テレンス・ヤング)

ショーン・コネリーの007を初めて見たのですが、そうだったのかと気づいたことがいくつかあって。 ・宍戸錠が出てくる日活アクションや市川雷蔵の『ある殺し屋』等で、敵の襲来を予期して予防措置(アタッシェケースにベビーパウダーを付けておく等)を取…

アイアン・ジャイアント(ブラッド・バード)

2Dと3Dのなじませ方としては最高峰だと思います。改めて見たら、手書きアニメの柔らかさが素晴らしかったですね。 ☆☆☆☆

未来の想い出(森田芳光)

びっくりするぐらい普通というか、え?これで終わり?と思ってしまいました。(映画館で予告編を観て「トレンディドラマ」風の感じだなあ、そういう職人監督になっていくのかな、と思った記憶があるのだけど、もう30年も前の映画なんですね…)やはり森田作…

フランシス・ハ(ノア・バームバック)

過去を顧みて身につまされすぎて居たたまれなくなる感じありました。でも「そのままのきみでいい」って言ってるわけじゃないと思う。(そうじゃなくなったからこその結末だと思うので。) グレタ・ガーウィグさすがだなと思いました。なるほど今の活躍がある…

22年目の告白 -私が殺人犯です-(入江悠)

オリジナルが予想外に面白かったのだけど、あちらは監督がスタントマンの経験があったり※というように、また2作目の『悪女』で明らかになったように、誰も見たことがないアクションを見せてみたい、ということが中心軸にあるのであって、テーマとか物語上の…

続・用心棒(デイヴィッド・ゴードン)

いろんな要素をそつなくまとめてる感じだったけど、そつがないだけというか。これはこの作品に限らず、最近のエンターテインメント小説にはよく感じる。自分がこういったジャンルに慣れてしまったせいか?とも思うのだけど、『深夜プラス1』とか『北壁の死…

シャン・チー(デスティン・ダニエル・クレットン)

悪の化身と善なるゲートキーパーがふとしたことから結婚して主人公が誕生しました、って鉄拳のハリウッド映画化か※!と思いました。 ・というか、ジャッキー映画と武侠もののいいとこどりだった感じ。見慣れてない人(欧米の一般の観客)には新鮮だったかも…

ドラッグウォー 毒戦(ジョニー・トー)

韓国のリメイクの出来があまりによかったので、オリジナルを改めて見たくなったのだけど、アマゾンプライムで復活していたので再見。 一言でいうと身も蓋もない映画ですよね。ドカンと放り出すようにして、素材を味わってくださいというような。元々監督の映…

ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語(グレタ・ガーウィグ)

話全然忘れてたことにびっくりしました。映画もアニメも見てたはずなのに…それはさておき、時制の行き来など新しい語り口でスタンダードな物語を語り直す、というのが眼目だったと思うけれど、やっぱりこういう話はオールドスクールな作りでよかったのでは、…