2025-05-01から1ヶ月間の記事一覧

緑のヴェール(ジェフリー・フォード)

(ネタバレします。)白い果実三部作の完結編です。完全無欠の大団円ではなくて、ペシミスティックな引っかかりを残したエンディングは、ちょっと手塚治虫の長編を想起させる印象でした。ただ、個人的には主人公のクレイは贖罪を果たして、自らの帰るべき場…

ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング(クリストファー・マッカリー)

面白かったけど、傑作とはいかなかったかな、というのが正直な感想です。せっかく『ローグ・ネイション』で拡大再生産から逃れかけたのに、結局そこからアクションの大艦巨砲主義に戻ってしまったのは残念だったな、という思いを新たにしました(これで最後…

ゾンビランド:ダブルタップ(ルーベン・フライシャー)

ジャンル映画かくあるべし、という作品だったと思います。10年ぶりだから、とかキャストがブレイクしたから、とか気負ったところもなく、逆になぜこの企画が成立したのか不思議になるくらい、何も足さない、何も引かないつくりでした。結果として99分と…

私をくいとめて(大九明子)

主演が個人的に苦手な俳優であるのんと林遣都だったので、見る前からアゲインストが吹いていたのですが、やっぱり『勝手にふるえてろ』には及ばなかったというのが正直な感想です。物語として目指す所が若干違うというのが根本的にはあると思うけれど(今作…

モンキーマン(デーヴ・パテール)

西にビーキーパーあれば東にモンキーマンあり、という感じでした。話はありふれたものだけど、核になる怒りが本物だから見応えがありますね。 ☆☆☆1/2

西遊記事変(馬伯庸)

訳者後記によると「天庭の神仙は皆社畜」というのが原語(中国)版での惹句だったらしいのですが、本当に「世知辛いね…」という話で生々しすぎてあまり楽しめませんでした。ちなみに社畜という日本語は文字通りの意味で、あちらでも使われるようになっている…

サンダーボルツ*(ジェイク・シュライアー)

明らかにマーベル版スーサイド・スクワッドですが、「最近の作品の中ではかなり持ち直している」という評判を聞いて、それではと観に行きました。結論としては、マッチポンプ展開が好きじゃない(またか…)のもあって、全体としては普通だったかな。これから…

ゴールド・ボーイ(金子修介)

一種のイヤミスなのかな…枠組みはあくまで犯罪ミステリなんだけど、目的のためなら手段を選ばない悪人の描いた完全犯罪に浅慮な子どもの思惑が絡んで、思いもよらない方向へ物語が転がりだす、という通常なら「概念としてのサスペンス」の形でエンターテイン…