2023-01-01から1年間の記事一覧

ビースト(バルタザール・コルマウクル)

ある程度の危険は承知していたものの、自分の力の及ばぬ未知の領域に分け入り、思いもよらぬ展開で命がけのサバイバルをすることになり、地獄めぐりの果てに、結果として人生の意味を再発見する、という話ですが、これってほぼ『ゼロ・グラビティ』だなと思…

X-MEN:ダーク・フェニックス(サイモン・キンバーグ)

最近ディズニープラスで配信されている「観ていなかった作品」の落穂拾いをやっていてひとつ気づいたのですが、映画会社が「今年はこれでいく!」という規模の作品を見るのは、多くても月1回くらいにしておかないとお腹いっぱいになるしもったいないという…

アリータ: バトル・エンジェル(ロバート・ロドリゲス)

さすがキャメロンというべきか、SF的な結構もしっかりしてたし画的なケレンもあって想像していた以上によかった。続編見たいですね。 ところで保護者であるイドの心配は至極真っ当というか、あんなスポーツともいえない乱暴で残酷なゲームを楽しめる感覚はち…

フリー・ガイ(ショーン・レヴィ)

公開時の高評価を目にして見てみたいと思っていたのだけど、ちょっと期待しすぎましたかね。ショーン・レヴィらしい「ちょうどいい案配」の娯楽作でした。 『マトリックス レザレクションズ』の枠組みで語る『トゥルーマン・ショー』といった趣で、主人公の…

アントマン&ワスプ:クアントマニア(ペイトン・リード)

(批判多めになりそうなので、楽しく鑑賞された方は読まれない方がいいかもしれません)当初の作風から随分遠いところへきたと思うのだけど、まだ律儀にリード監督なんですね。それはさておき、電子紙芝居感が強かったのとマルチバースはもうお腹いっぱいだ…

マンダロリアンS1(ジョン・ファブロー、デイブ・フィローニ)

すごく評判がよかったので楽しみにしていたのですが、普通に面白いという感じでした。まあしかし、そもそもスターウォーズという物語自体、いたずらに複雑で奥行きのある展開を求めずに「普通に面白い」感じ路線でよかったのでは、という気持ちに改めてなり…

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(サム・ライミ)

世界の広がりを感じさせるところとか最後の敵に立ち向かう奇策とか(ここは誰もが指摘するところだと思うけどとてもライミらしい)、大作にふさわしい構えと工夫された脚本で素晴らしかった。 個人的にはいかにも児童といった他愛もないアピールをしてくる兄…

プレデター:ザ・プレイ(ダン・トラクテンバーグ)

18世紀にネイティブアメリカンとプレデターが出会っていたら?という設定以上でも以下でもなかったような。いきがった女性主人公が自らの存在証明のために戦う、というのは正直お腹いっぱいだし、むやみと関わらずに放っておけば部族を危険にさらすこともな…

AIR/エア(ベン・アフレック)

ベン・アフレックの監督作って全方位的にそつがないのだけど、コクがないというかいつも物足りなさを感じる。今回も同様でした。 ☆☆☆ ※いつも同じように感じるということは、監督作としての共通の要素がどこかしらあるということでもありますよね。

パチンコ(ミン・ジン・リー)

構えて読んでしまいましたが、在日コリアンの日本における状況をフラットにフェアに描いていたと思います。一方で、大映ドラマ的な枠組みで、東映のようなディテール※で語られた物語でもあって、想像していたより中間小説っぽいなと感じました。 ☆☆☆1/2 ※…

DUNE/デューン 砂の惑星(ドゥニ・ヴィルヌーヴ)

すごく面白かったですね。いたずらに見せ場だらけにすることなく、ちゃんとドラマとしての語り口があったのがよかった。映画だな、という感興がありました。(これでもし2が作られなかったら「俺たちの戦いはこれからだ!」ヴィルヌーヴ先生の次回作にご期…

スター・トレック イントゥ・ダークネス(J・J・エイブラムス)

公開時評判がよかったのは記憶にあったけれど食指が動かず…。最近になってベネディクト・カンバーバッチの良さが分かってきたので見てみたのですが、戦略と選択の物語でとても面白かったです。無双の活躍を見せるカーンが最高に格好よかったですね。 ☆☆☆☆ で…

NOPE/ノープ(ジョーダン・ピール)

ジョーダン・ピールって堂々たる映画監督だな、と思うと同時にストーリーテラーではないなとも感じた。ちょっとハイコンテクストすぎる(そこに重きを置きすぎる)のではないか。一方、これこそ「映画」だなと思わされたのは、ゴーディのくだりでの「垂直に…

モーリタニアン 黒塗りの記録(ケヴィン・マクドナルド)

アメリカという国は思い込んだらちょっと唖然とするくらいひどいことをするけど、一方でそれを正そうとする力もまた働く、という両極端な国だなと常々思っているのですが、まさにそれを例示するような映画でしたね。 すごく久しぶりに見た気がするジョディ・…

謎解きはビリヤニとともに(アジェイ・チョウドゥリー)

(ネタバレ) 散々もってまわったあげく、結末があれでは…何も悪いことをしてない人でいえば筆頭であるターニアに冤罪の可能性が出てくるなら一番避けないといけない解決法では?という点で倫理的にアウトだと思います。 これは完全に余談ですが、最近見たば…

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(ジェームズ・ガン)

(ネタバレ)世評は大絶賛という印象ですが、若干気になった点について。 カウンター・アースにおいて主人公チームが手掛かりを得ようと接触する住民はヒスパニックの意匠が与えられていたと思うのだけど、つましく暮らしている家族を揶揄するようなニュアン…

SSSS.DYNAZENON(雨宮哲)

「僕(私)はここにいていいんだ!」紆余曲折あったけど、よくここまでたどり着いたね。おめでとう!という作品は、視聴者の背中を押してくれるテーマとしていつの時代も求められているということなんでしょう。(エヴァの画期性というのはそういうジャンル…

SSSS.GRIDMAN(雨宮哲)

(ネタバレ:それと面白く見た方は読まない方がよいかもです。)放映当時話題になっていたのは知っていたけど見てなくて、今回映画版ができて改めて話題になっているので、いい機会だからと初めて見ました。 夢中になって最後まで見たので、まあ面白かったの…

ビッグ・ガン(ドゥッチョ・テッサリ)

(若干ネタバレ)『サムライ』みたいなストイックなノワールを基本的には意図していたのだと思うけど、(イタリアンジャズ等格好いいけど)バリエーションが豊富すぎる劇伴とか、ジャッロみたいに過激で派手な暗殺シーンのようにサービスしすぎで些か焦点が…

ワイルド・ギース(アンドリュー・V・マクラグレン)

一貫して信義に基づいて行動する登場人物たち(そうでないのが敵役)、というのが物語として筋が通っているので楽しく見ることができました。傭兵が主人公にしては理想主義に過ぎるという感じはあるけれど、放逐された元大統領のセリフなんかもよかったです…

怪物(シム・ナヨン)

猟奇殺人により妹を失った上に、容疑者とされた主人公。社会人となった彼は警官として田舎町の派出所で失意を抱えながら日々過ごしていたが、20年ぶりに同様の手口による殺人事件が起こる。それは町の人間関係に波紋を広げて… (ネタバレ)面白いかどうか…

光の旅人 K-PAX(イアン・ソフトリー)

常識外の闖入者によって主人公の固定観念が覆され、やがて自身の人生に向き合うことになる、という「話の型」があると思うのだけど、そういう映画だったんですね。この頃のジェフ・ブリッジスやケビン・スペイシーってこういう役多かったな、と思い出しまし…

ワイルド・スピード/スーパーコンボ(デヴィッド・リーチ)

監督がデヴィッド・リーチと知って急遽見ました。なかなか快調。冒頭のスパイアクション的なパートは何となくガイ・リッチー的だなと思ったけれど、それはエディ・マーサンが出ているからかもしれないし、もっといえばトム・ウーが出ているからかもしれない…

ブレット・トレイン(デヴィッド・リーチ)

予告編がピンとこなくてスルーしてたけどすごく面白かったです。トラブルのピタゴラスイッチみたいな、ガイ・リッチー的クライムコメディ(ブラピが出てるから余計にその印象が強い)だったんですね。アクションはジャッキー映画をアップデートしたようなそ…

モスル あるSWAT部隊の戦い(マシュー・マイケル・カーナハン)

ドキュメンタリーと見紛うばかりのリアルなプロダクションデザインと演出は良かったのですが、映画的な妙味には乏しかったような、という気がしました。娯楽作品としての「面白さ」も一応担保されているというところで『パラダイス・ナウ』を思い出したり。…

アイス・ロード(ジョナサン・ヘンズリー)

アイスロードという実在する事物を発見して、この舞台立てで『恐怖の報酬』※ができるんじゃない!?というのが発想のもとだったような気がします。そこから危機を設定する工夫は凝らされていたと思うのですが…悪役側の行動原理がリスクとベネフィットに見合…

ミン・スーが犯した幾千もの罪(トム・リン)

特異なナラティブによる西部劇。ガンアクションやダイアローグはスムーズなのに、やけに語り(時間描写?)がぎくしゃくしていた印象でした。前のパラグラフで日が昇ったと書いたそばから、とたんに日没を迎えるような。それもあってか全てが観念的かつ抽象…

刑事ジョン・ブック 目撃者(ピーター・ウィアー)

実は今回初めて見ました。ドラマ部分はよいのだけど、アーミッシュの村に身を寄せる理由が苦しいな、と思いました。(普通に告発すればいいのに、どうしてもそれができない理由を設定できていないのでは。)名作というイメージが強かったので期待しすぎたか…

善き人のためのソナタ(フローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク)

抑制のきいたよい映画でしたね。(泣かせんかなの展開をちょっと危惧していたので。)実はヴィースラー大尉を演じたウルリッヒ・ミューエ本人が東側で監視されていた俳優であったとのことで、その胸中は如何ばかりだったかと思いをはせました。 ところで同監…

カラー・アウト・オブ・スペース(リチャード・スタンリー)

ホラー映画というよりは『モスキート・コースト』と同じフォルダに整理すべき作品でしたね。危機を前にしてなすすべもないお父さんのみっともなさが最大の恐怖ポイントだったように思います。 ☆☆☆1/2