なかなか見かけない感じのバランスで作られた青春映画でした。ムービーウォッチメンで宇多丸さんが「友情というものの得体の知れなさ」と表現していたけど、本当に「かけがえのない時間」でありながら「寄る辺なきもの」でもあるという不思議な関係性を良く描いていたと思います。どんなに親しかった友人でも、その人生まで背負うことはできない。けれども、どこまでいっても人間は結局ひとりかもしれませんが、だからといって友情に意味がないわけじゃない。
僕も大学時代に、文学や文化、かたやサブカルチャーまで知らない分野への眼を開いてくれた友人がいたけれど、最近ではすっかり疎遠になってしまった。誰でもそういう佐々木みたいな存在がいるのかもしれませんね。
☆☆☆1/2
※1 赤ちゃんを抱いて号泣するシーンで僕も泣いてしまった。いろんな感情がないまぜになってあふれ出る感じが分かってしまった。お前はこれから始まるんだな…
※2 色々な体験を経て、ふいに「ロンググッドバイ」のセリフが得心できた主人公が走り出す。それが血肉を伴ったものとして内側から迸る。ついに「役者にとってセリフとは」を体得した瞬間がありありと描かれていて素晴らしいシーンでした。