2006-01-01から1年間の記事一覧

親切なクムジャさん(パク・チャヌク)

人間が本能的なところで抱えてる「邪悪さ」とか「残酷さ」をこれでもか、と描く映画って、作られる必然性みたいなものが全然分からない。(監督のモチベーションがどこにあるのか理解できないと言い換えてもいいけれど。なぜに3部作も必要なのか、とか。)…

最も危険な場所(スティーブン・ハンター)

『極大射程』の真に迫った射撃描写が大好きだった。フェティッシュな細部がなんというか辛抱たまらんくらい。(『ジョジョ』にも、もろ極大射程なシーンがありましたね。)それは映画的な描写でもあって、実際、本業が映画評論と知って納得。さらにキアヌ・…

Dodecagon(キリンジ)

キリンジはお兄ちゃん派なんだけど、今回は「ブルーバード」が一番よかったな。あるインタビューで高樹氏が「(冨田プロデュースの時は)自分ではエポックメイキングな曲ができたと思っても、アウトプットの時点で大体一緒になってしまうのが・・・」と洩ら…

ベルバラ

予告編をみると、すっかりガーリー・ムービーとして出来上がってるかんじの『マリー・アントワネット』。「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない!」というセリフはどのタイミングで出てくるのか楽しみ。 ※実際の発言じゃないらしいけどね。

トゥモロー・ワールド(アルフォンソ・キュアロン)

これも「9.11以降の映画」でしたね。 「ディストピアもの」は大好きなジャンルで、その理由を考えてみると、一歩映画館を出れば日常に戻れると分かっていることを前提に、どこまでも他人事の対岸の火事として「地獄めぐり」の仮想ツアーとして楽しめるか…

クラッシュ(ポール・ハギス)

良くも悪くも「よくできた映画」という印象。よい作品というのは分かりきっていることなので、あえて惜しかった点などの感想。 ペルシャ人親子のエピソードに端的に現れているように、ありきたりの言い方で恐縮だが「9.11以降の映画」。あの事件以来、人…

ロード・オブ・ドッグタウン(キャサリン・ハードウィック)

15歳になったとたんに盗んだバイクで走り出すような連中ばかり、そんな福岡でもガラの悪いところが地元なので、なんか懐かしい光景だったなあ・・・ といってもジェイみたいな「筋金入り」でないのはもちろん、「海賊じゃない」ステイシーのように優等生な…

カジノ・ロワイヤル(マーティン・キャンベル)

「恋の面影」でおなじみの、俺の知ってる『カジノ・ロワイヤル』とは一ミリもかぶってなかった。同じ原作のどの要素を抽出すればこんなにも違うものが仕上がるのか?だいたいウディ・アレンが出てないし。 というまじめな話はともかく、ちょっとテンションの…

プライドと偏見(ジョー・ライト)

いい意味で完璧な通俗小説。『ブリジット・ジョーンズの日記』はまんまこれの現代版リメイク、というか「すべての物語は全て語られてしまっている」という言い方があるとおり、ジェーン・オースティン作品というのはラブコメの原型なんだな、と思った。ダー…

海の上のファンタジスタ

ようやく寒グレゲット!足裏サイズはボチボチあがっていたけど、良型と呼べるやつは久しぶりだったっす・・・ ところで、魚の喰いが渋いときは合わせが勝負になります。「合わせ」が遅れると、餌だけかじられるか、運良く飲み込んでくれて喉の深いところで針…

特別料理(スタンリイ・エリン)

※ネタバレ箇所があります。 「奇妙な味」系作家としてよく比較されるダールは、文字通りの「予期せぬ出来事」に巻き込まれるという不条理劇の雰囲気があるが、エリンのほうはどちらかというと、欲をかき過ぎたり我を張りすぎたりという人間誰しもが持ってい…

東京タワー(リリー・フランキー)

昨日ドラマが放送されたので。 正直、女の子を「獲りに行く」ときのトークがこんな感じなんだろうなぁというシラケ気分が先にたって、素直に読めなかった(しかるに泣けなかった)。リリーさんのコラムは大好きなんだけど。 そして昨日のドラマ。エピソード…

萎えること

今週のSPAの「坪内祐三と福田和也の文壇アウトローズの世相放談」で高校の未履修問題に関して、歴史研究の「アナール学派」について言及している箇所があった。注釈では「地理的条件を重視するのが特色」ということになっていたけど、(間違いじゃないにして…

11の物語(パトリシア・ハイスミス)

まず最初に、短編集であるにも関わらず最後まで読み通せなかったことを報告いたします。 なんというか、迫真の内面描写が生々しすぎて。世知辛い世の中だから、せめて娯楽の読書だけは現実逃避できるようなノホホンとしたものが読みたいと考えている僕にとっ…

夜の旅その他の旅(チャールズ・ボーモント)

『トワイライト・ゾーン』に関連した文章でよく目にする名前ではあったけれど、実際読むのは初めての作家。それもそのはず、邦訳された著作はこれ一冊だという。(しかも38歳の若さで亡くなっている。)「異色作家短編集」の復刊ありがとう。 トワイライト…

異生物

いまさら知ったのか、といわれるかもしれないけれど、女の子って本当に男と違う生き物だったんですね。 友人宅に2歳になる娘の成長ぶりを見に行ったのですが、意味の通じる言葉をようやく話すかなというくらいの状態なのに、その乏しいボキャブラリーに真っ…

ヒストリー・オブ・バイオレンス(デビッド・クローネンバーグ)

公開されたときの感想を読むと「人間の本質にある暴力性を焙り出す」みたいなテーマありきで見ている人が多いような印象だった。クローネンバーグ作品だけに、ついつい観念的な視点から観てしまうのでしょうか。まあでも(いい意味で)単純にストイックなア…

ブラック・ダリア(ブライアン・デ・パルマ)

『LAコンフィデンシャル』の大成功があり、この映画の当初の企画ではデヴィッド・フィンチャー監督ですすめられていたこともあり、ちょっと不安だったけれど(デ・パルマの資質と合致するのかなぁ?監督自身は好きだけど・・・みたいな気分)、みごとにデ・…

最近はそうでもないのかな?

先のドイツワールドカップで民放のBGMとして無茶苦茶流れていたので、たいがいスリコミ効果があったのではないかと思しきBasementJaxxの曲ですが、新作アルバム『Crazy itch radio』もかなりポップでいい感じ。 その中のシングル曲である『Take me back t…

イン・ハー・シューズ(カーティス・ハンソン)

カーティス・ハンソンの手際が素晴らしい。姉妹の諍いと愛情、実の母の死と再婚をめぐる父親との確執、仕事、恋愛、祖母との和解と色々な要素を盛り込んでいるのに、盛り込みすぎでおなか一杯という印象はない。『8Mile』は世評に反して個人的には今ひとつ…

トレジャーアイランド

ユーチューブでごりごりレアビデオ(主に特撮)を見ていると、こういう「ビデオ録画が一般的でない時代の映像」を(アップしてくれている人は)どういう手段で保存していたんだろう?ということをついつい考えてしまう。 それはさておき、昔の子供向け番組(…

彼岸過迄(夏目漱石)

久しぶり(3度目)に読み返してみた。 主人公(敬太郎)が就職先の斡旋を条件に探偵ごっこをさせられるところとか、堅気の人生から道を踏み外している隣人の話みたいな、ある意味どうでもいいパートが存外ボリュームがある。高校・大学時代に読んだときは(…

X−メン ファイナル・ディシジョン(ブレット・ラトナー)

ミュータントの特殊能力を描くVFXも迫力満点で、完結編としては申し分ない出来だったと思います。監督の変更はあったけれど、いい意味で職人らしい腕をみせていた。ケレン味という側面からならブライアン・シンガー以上。新キャラが顔見せだけじゃあ・・…

しばしの沈黙(ケリー・リンク)

ろくでなしに片足突っ込んだような亭主連、その内の一人の妻とその弟、そしてエイリアンとタイムマシンの物語。 と、書くと訳が分からない話のようですが、本当にそんな話。でも読後感は不思議と帳尻があってる感じがして、かつ人生の真実を何かしら語ってい…

盲点

僕は朝バタバタするほうなので、電気シェーバーでのドライシェービング派なんですが、今まで深く剃ろうとするあまり傷(血)だらけになることが多かった。それでリニアやらロータリーやら色々なタイプのヘッドを渡り歩いてきました(最近は1年ペースで)。 …

マイアミ・バイス(マイケル・マン)

「稼いでます」と見せかける必要経費とはいえ、いったい身の回りに幾ら掛けてんだ!!というところが共通しているだけで本家TV版とは関係ない話になっております。中学時代が懐かしい・・・ ところでやっぱり、麻薬組織の幹部であるヒロイン(コン・リー)…

吸血鬼(ロマン・ポランスキー)

タイトルのあたまに「おかしなおかしな」って付けた方がいいんじゃないかってくらいつまんない映画でした。つまり何かあったスッころべば面白くなると勘違いしているタイプのスラップスティックコメディ。名作って聞いたことあったんだけどなぁ。 ところでヒ…

ビッグ・バウンス(ジョージ・アーミテージ)

オーウェン・ウィルソンって本当に得難いポジションを獲得したよなーと改めて思った。シリアスなドラマでもコメディでも、泣かせたろう!、笑わせたろう!とガツガツしたところがない。いつもおっとりノンビリしている印象だ(実物がどうなのかは当然知らな…

司会

くりぃむナントカを見ていて感じた微妙な違和感、なんだろうかと考えてみたらボケ(有田)が司会をしているからだった。仕切るというポジションであることもあって、普通ツッコミが進行を司ることが多いですよね(ボケの方が売れた結果、ピンになってバラエ…

クリフ・ハンガー

先週のナイナイサイズに影響されて、ボルダリングに挑戦してきてみました。あれって腕で登っちゃだめなんですね。起点になる足の使い方がポイントのようで。 それで思い出したのが『ワンダと巨像』のシステム。フリー・クライミングのゲーム性ってあれとよく…