階級社会の面倒くささ、文壇のいやらしさ、みたいなややこしい人間関係を描き出すタッチに何となく三島由紀夫を連想しました。(あそこまでペダンティックではないけれど。)
かつて愛した(というよりあこがれた)奔放な女性ロウジーの人間像を、その本質を何とか再現したいというのがメインテーマだったと思うのですが、確かにこういう女性っているんだろうなという気はしました。その夫であるドリッフィールドもどこかで覚悟していたとは思うのだけど、とかく人生はままならないものですね。
ところでこの作品が発表された当時、モデルは誰か?ということが大変話題となり、かなり揶揄するような筆致で描かれた作家のロイが実はヒュー・ウォルポールであったということでした。ただ、実際読んでみると、「乏しい才能で世渡りだけが上手」とか厳しいことも書いているけど、結構愛がある造形ではないかなとも思われて。それにモームはゲイとして有名だけど、ウォルポールもゲイなので、今以上に厳しい時代をサバイブする同志としてシンパシーもあったのではないかと想像しました。
☆☆☆1/2
※ウォルポールといえば「奇妙な味」の系譜の代表とされる『銀の仮面』の作者ですが、イギリス文壇での立ち位置ってそんな感じだったんですね。それが意外でした。