ベルヴィル・ランデブー(Benoit Charest)

 『ウォーリー』のインタビューで、監督のアンドリュー・スタントンが、「当初、舞台は宇宙だけど懐かしい音楽を、というコンセプトでスウィング・ジャズを入れようと考えていたんだけれど、フランスのアニメに先を越されてしまったので、ミュージカル(「ハロー・ドーリー!」)にしたんだ」ということを発言していた。確かにこれほど作品の世界観と一体化した見事な使い方はなかなかないと思う。(実写でいうと『B・モンキー』というアーシア・アルジェント主演の映画で、ジャンゴ・ラインハルトの曲がとても印象的な使い方をされていて好きでした。あ、もちろん『ギター弾きの恋』も忘れちゃいけない。)
 マヌーシュ・スウィングがもちろん基調になっていて、同じテーマが様々に変奏されるバリエーションも聴きどころなのですが、一方、ボーカルBéatrice Bonifassiによるど真ん中のシャンソン「Attila marcel」や、渋いピアノジャズ「Jazzy bach」などもあったりして。サントラということにとどまらずアルバム作品としても完成されている。
 しかし何といってもアカデミー賞にもノミネートされた「Belleville rendez-vous」が!ダンオリエンテッドな展開がすごく格好よい。英語バージョンもあるけれど、やっぱり仏語で聴いてこそという気がします。※

☆☆☆☆
※話はかなり逸れますが、『エイリアン4』も仏語バージョンの方が雰囲気があってお薦めです。特に「ファーザー」がカウントダウンするところなんかは仏語前提で撮ったとしか思えない。