中学校の部活にまつわる部分はいずれも素晴らしかったのだけど、肝心の本題たる「中学生がヤクザに歌を指導する」という内容は、(漫画ならそういう話なんだなと受け入れられたかもしれませんが)実写化ということでなまじ生身の肉体を得てしまったがために、単なる面白さではスルーできなくて、「情が移ろうとやっぱりそこは常識として避けるべきでは?」という気持ちになってしまいました。(綾野剛は話を成立させるためのチャームとか悲哀とかさすがに上手だったけど、だからといって受け入れられるわけではないというか。)
さておき、とにかくコーラス部の演出がよくて、副顧問のももちゃん先生の「それなりに熱心だけど的外れなところ」とか、それを受ける中学生たちの「私たちがいいたいのはそういうことじゃなくて…いや、いいです」となる感じとか、中学生とはいえ、すでに「社会性」があることを実にいい匙加減で表現していて、さすがだなとなりました。副部長の如才なさや、飛び出した和田君を見て「あなたが追いかける場面だよ」と無言で促したり、という女子たちの大人加減とか。和田君の純粋なんだけど一途さが空回りしている感じとか。映画を観る部が文字通りのモラトリアムの空間であったりとか。よくまあこれだけ繊細に演出が付けられるものだなと感心しました。
そのため、トーンにずれがあったり浮いているという訳ではないのですが、それこそが原作の面白さの要だとはいえ、ヤクザに関するパートが飲み込みづらかった、というのが率直な感想です。それにしても齋藤潤くんは本当に彗星のように登場しましたよね。みなさんが褒めているのも納得でした。
☆☆☆1/2