オーウェン・ウィルソンって本当に得難いポジションを獲得したよなーと改めて思った。シリアスなドラマでもコメディでも、泣かせたろう!、笑わせたろう!とガツガツしたところがない。いつもおっとりノンビリしている印象だ(実物がどうなのかは当然知らないけれど)。それでいて場もちがする。
この映画は、そういう彼の特性にピッタリのクライムコメディ。これで別の役者が主人公だったら、『チャイナタウン』みたいな割り切れない、やりきれない後味になったと思う(そういうのも好きですが)。ハワイの景色や音楽が映画のリラックスムードに拍車をかけている。
ただそのチルアウト感が期待していた物語と食い違っていた人には不評だったようで、ネットなどの感想をみると結構辛辣な意見も多い。そういったゆるい要素こそ僕にとってツボだったんだけど。
ゲイリー・シニーズやモーガン・フリーマンといった贅沢な配役のなかで、実は一番光っていたのがヒロインのサラ・フォスター。「不幸なめぐり合わせで関係した男たちは悲惨な結末になってきたけれど、あの娘のイノセンスを本当に理解できるのは俺だけだ!」と思わせる(そして地獄に落とす)文字どおりのファム・ファタールをごく自然かつチャーミングに体現。すばらしい。
でもはじめて見る人だな、と検索すると前作は『恋のミニスカウェポン』。そりゃ観てないはずだわ・・・しかしきっとこれから「くる」人だと思います。サラ・フォスターを見るためだけでもこの映画を観る価値があると思う。
☆☆☆1/2