萎えること

 今週のSPAの「坪内祐三福田和也の文壇アウトローズの世相放談」で高校の未履修問題に関して、歴史研究の「アナール学派」について言及している箇所があった。注釈では「地理的条件を重視するのが特色」ということになっていたけど、(間違いじゃないにしても)ちょっと違うんじゃないだろうか。ほとんどの読者にとっては瑣末なことだし、読み飛ばすような箇所だけど、地理と歴史の単位取得に関するネタなので話題の肝ではある。
 「文壇アウトローズの世相放談」自体は、(あるテーマについての認識で共感できないことはあっても)連想が暴走するような博覧強記ぶりが面白くて毎週結構楽しみにしてたのですが。でも今回のようにたまたま知っているような事でネタの重要なポイントに誤りがあると、自分の知らない他の分野についてもいい加減なことを語ってるんじゃないかと盛り下がってしまった。
 それで思い出したのが『メタルギアソリッド』の優性遺伝・劣性遺伝の件。遺伝子用語での優性/劣性というのは形質の出る強度を示しているだけで、個人の能力の優劣には関係ないというのは生物の勉強をしていればごく基礎的な知識だけど、それがまるでドラえもんとドラミちゃんに使われているオイルの話みたいにクローンの優劣の話にされてしまっていた。これまた全体としては重箱の隅をつつくような瑣末な話かもしれないが、細部へのこだわりをうたい文句にしているゲームの中での物語の根幹に関わる要素で、そういった点の詰めが甘かったから「終わり悪けりゃ・・・」でなんだか萎えてしまったのを覚えている。
 それさえなければなぁ、ってことありますよね。