劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇、螺巌篇(今石洋之)

 (ネタバレかもしれません。)ようやく見ました。すみません、TVシリーズは長かったので映画版です。所謂劇団新感線イズムというか中島かずき節をやるならロボットアニメがいいのでは?もともとのインスパイア元だし、という企画だったと思うのですが、そのとおりの王道による一転突破の物語ですね。すごく面白かったです。

 ただオーソドックスさ、オーセンティックさ故か、アニメ史に画期をなすというものではなかったという印象を受けました。加えて、ゲッターロボの決着をつけるという中島の裏テーマ、というかヤマト等から脈々と続く昭和ロボットバトルの系譜の中にあっては必然だったかもしれませんが、特攻シーンをよしとする展開が現在の視点でみるときつかったです。似たようなシチュエーションである「ここは俺に任せて、お前は先に行け」という展開は、作戦合理性からいっても可能性をゼロにしないという意味でまだ飲み込めるのですが、なんとなく「負けないという根性を示す」ためだけに有人攻撃である必然性が乏しい作戦を実行することには強い違和感がありました(この作品では有人であることに意味があったことにはなるのですが)。現在の作品としてつくるのだったらどういう展開を工夫したのだろうなと思います。

 それと個人的には相対的に『キルラキル』の評価が上がりました。というか視聴の順番が逆で良かった。ボスと思っていた相手がしかし…という展開はすでにこちらでやっていたんですね。それはさておいても、グレンラガンで思いつく定番ネタはやりきっていたせいか、キルラキルでは常道ではありえないような突飛なエピソードを力技で収束させていて異様なエネルギーがありました。しかし逆に言えばグレンラガンあればこそともいえる訳で、結果ありがとうという印象です。

☆☆☆1/2