神々の歩法(宮澤伊織)

 端的に言えばウルトラマンのバリアントですが、ミリタリーSFと融合することで意外な面白みを獲得しています。宇宙の超次元から襲来した知性体同士の戦いのため、現実世界に物理的な力を行使するには次元を超えた舞踏を展開する必要がある、という設定が美しい。

 ただ、作者がTRPGの企画者であるせいなのか(という僕の先入観かもしれませんが)、設定に終始する感じで物語全体としてのダイナミズムというか世界の謎を解き明かすようなセンス・オブ・ワンダーには欠けるのが些か残念でした。

 こういうライトノベルに接近したSFって、相互補完的に深夜アニメの想像力の源泉になっている気がします。ビジュアルイメージが強烈なのでこのままアニメ化もあるかもしれませんね。面白かったです。

☆☆☆1/2 

※世代的に「伊藤計劃」のような趣もありましたね。