スクリーム(2022)(マット・ベティネッリ=オルピン、タイラー・ジレット)

 4が製作されていることすら知らなかったのですが、スクリームシリーズは好きだったので順番でいえば5にあたる(そして直接の続編である)今作も気になって見てみました。

 過剰に自己ジャンル言及的なつくりで話題を集めたシリーズだけに、今回もその構造は踏襲するのだろうなと思っていましたが(そうでないとスクリームである意味がないし)、現在製作され支持を集めているホラー、スラッシャーのテーマは、メタ的なジャンルの歴史を踏まえたものであるため、しかもその礎としては本シリーズの自己言及性も含まれているため、なかなか難しい綱渡りだろうなと予想していたのです。

 結論をいうと、ジョーダン・ピール製作作品やA24系の「意識が高い」ホラーへの言及はやっぱりあったけど、言及どまりであって、全体としてスラッシャーの気の抜けたパロディ、あるいは割り切った「誰が犯人か当てゲーム」に徹していました。まあそうなるよな、と思うのだけど、スターウォーズEP8をついでに馬鹿にしていたのはちょっと許しがたかったです。

 それともうひとつのホラーの潮流、リブートの方法論としてのオリジナルキャストの再登板がありますが(本作でも『ハロウィン』に直接言及がある)、ホラーの場合は絶対に死なない安全圏を作るとサスペンスが削がれるのでオリジナルキャストであっても誰かに例示として死んでもらうことになるけれど、そうなると観客としてはここまでサバイブすることに感情移入してきたのは何だったんだということになるので、もうどうでもいいやという気持ちになるんですよね。これは以前から『デッドコースター』などでも感じたことなのですが、これはある種の本格ミステリで人間をパズルのピースのように扱うことにも通じる違和感です。そこまで割り切るんだったら、もう物語とか動機とかどうでもいいんじゃないの?ってならないかなあ…

 とはいえ一定の水準は確保されていたとは思います。でももう方法論自体が金属疲労を起こしているかな。ところで6は発表済みですが、7がまさに「意識が高いホラー」の旗手であるクリストファー・ランドン監督になるようなのでどのように巻き返すのか楽しみです。

☆☆☆