エレクション−黒社会−(ジョニー・トゥ)

 辛抱たまらんちんなタイトルですが、そうじゃなくて「選挙」の意味のほうですね。リース・ウィザースプーンが出てた方とはまるで方向性は違うけれど、どっちも「痛い」話ではありました。
 香港で権勢を誇る有力組織で次期会長選挙が行われる。候補は人望が厚く、長老の覚えもめでたいロクと武闘派で手段を選ばぬ金儲けで急成長したディー。会長の証である「竜頭棍」を巡って二人は激しく争うのだが・・・
 「暴力」にシズル感があるとすれば、ジョニー・トゥはさしずめバイオレンス・マイスターといったところ。「コンテナ」や「猿」であれだけ怖い画を撮れる人はいない。昔に比べて直接的な暴力描写には禁欲的になったけれど(正直『ヒーロー・ネバー・ダイ』なんかは三池崇史風バッドテイストすれすれだったし)、苦手だったので僕は最近のほうが好きです。敵味方が入れ替わり、行方が見えない権謀術数のストーリーを転がしていく手腕もさすがベテラン。
 (なんか久しぶりの)レオン・カーフェイ演じるディーは松田優作ばりの狂犬演技。でも『ゴッドファーザー』のマイケルしかり、穏健派と見られていた人(サイモン・ヤム)が、取り巻く状況のせいで・・・というのがやっぱり盛り上がるんですね。ヤクザ映画の定番だけど、定番の話にはそれだけ惹きつける力があるということで。
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