今まで気付かなかったのが本当に迂闊。このシリーズの下敷き(まあキング自身が言及するように、いっぱいあるんですが)にしている物語の一つは『指輪物語』なんですね。心身供に重荷となる水晶球の存在とか、そこから覗いてくるクリムゾン・キングとか。そしてなによりガンスリンガー、ローランドは野伏の馳夫さん!・・・と気付いた瞬間からもうイメージ的にはヴィゴ・モーテンセンしか思い浮かばなくなった。
それはさておき、最後のクライマックス「狼」達との対決(に至るまでの過程)は、小説を読みながら緊張するという久しぶりの体験だった。意外とあっけないのもリアルでいい。
でも全体としては、正直冗長すぎるのもまた事実。キャラハンという新たな登場人物を、読者がカ・テット(仲間)として受け入れられるようにかなりのボリュームを割いたのが原因だと思うけれど・・・。
それにしても、短篇を書くときのキングはひたすら分かりやすいのに、このシリーズになると「作者自身にしか理解できない小説世界を統べる原理」が頻出して(しかも作品内では自明のことなのであまり説明しない)、何だかアウトサイダー・アートのようだ。でもそういうのにぶち当たって、えーっと?という気分になるのも醍醐味なんだろうな。
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