センチュリオン(ニール・マーシャル)

 何と言うか、関係者皆にとってちょっと残念な結果になってしまった感じでした。
・『Xメン:ファースト・ジェネレーション』で今をときめくミヒャエル・ファスベンダーが、「ちょっとヴィゴ・モーテンセンをキャスティングできなかったんで、近いとこ連れてきました」みたいな感じになっててね…野性味アップした分セクシーさが上手く撮られてないというか。もったいない。
・「かつてローマ兵から辱めを受けた復讐に燃える女戦士」という完全なるタイプキャストオルガ・キュリレンコ。そういうキャラでも別に良かったのだけど、ハードな蛮族メイクのせいか、いつものような「手負いの野生小動物」的愛らしさが上手く撮られてなかったのが残念至極。
・容赦ない血飛沫!乱れ飛ぶ身体!が身上のニール・マーシャルなのに、史実ベースという物語や、復讐の連鎖の空しさ、といったテーマ性に脚をとられて今ひとつ弾けきれなかった印象。ちょっと生真面目すぎたかな?
・という、誰が悪い訳でもないのに結果としてウームといった雰囲気の中、一人気を吐いていたというか、出番は短いのに全部持っていった感があるのはイモージェン・プーツ。「(ローマから見たら蛮族である)ブリタニアの部族から魔女と呼ばれ放逐された女」、という設定。もしかしたら美しさのあまり?とバックグラウンドを想像させるほど浮世離れした美人ぶり。だれかと思えば『28週後』のお姉さん!これからの活躍に期待ですね。
 というプーツさん一人勝ち映画だったのだけど、ローマ人に虐げられているピクト人の方にどうしたって肩入れせずにはいられない訳だから、いっそピクト人サイドを主人公にした痛快時代劇にすれば良かったのになあ、と思ったことでした。
☆☆☆