お嬢さん(パク・チャヌク)

 (ネタバレ)グランギニョルのパノラマという雰囲気がちょっと鈴木清順っぽいなというところと、エログロナンセンスな感じが夢野久作風でした。きっと狙ってると思うのだけど。あと変態的な上月が最近見た『毒戦』の好演が印象的だったチョ・ジヌンだったとは…

 ところで、藤原伯爵は本当に秀子が好きだったということが判明する結末が味わい深かった。その関連描写でいうと、車中おもむろにタバコを吸い始めるのはその後の顛末を予想して…ということだったんですね(あのタバコに確実に辿り着くように)。演出的にもスマートで感心しました。

 しかしながらパク・チャヌクの作家性だから仕方ないけど、全般的に露悪的に過ぎる。演出のえぐさとテーマからの要請としての描写がいいバランスだったのは、やはり『渇き』だと思います。

☆☆☆1/2