ノー・タイム・トゥ・ダイ(キャリー・ジョージ・フクナガ)

 ネタバレです。:『スペクター』で終わりでも美しかったと思うのだけど、もし続編があるなら、と想像していた感じの作品になっていてよかったと思いました。ダニエル・クレイグになってからの007は全部映画館で観てきたから感慨深かった。結末では泣いてしまったけど、その一方で淡白な印象もあって。思うに悪役のモチベーションが理解しにくかったからかな。

 監督の『TRUE DETECTIVE』が好きだったから独自性に期待してたけど、基本的に「映え」の映画だったですね。その点では予告にもあった細菌研究所強襲シーンが最高だったけれど、躍動感はなかったんだよな…結局それはクライマックスに至っても払拭されなかったのが残念でした。

 物語の要請からか、007としては変則なつくりだったような。パロマちゃん無双が一番の盛り上がりだったかな※。レア・セドゥがおばさんになってたのが若干ショックだったけど話的にはよかったかも。というか、冒頭の雪景色のシーンに始まって、イタリアに渡るから、映画を見てる時もこれってジョージ・クルーニーの『ラスト・ターゲット』では?って思ったのだった。そしてやっぱりそういう話でしたよね。

 ところで、「映え」の映画と書いたけど、秘密基地のシーンは完全にグルスキーでしたね。秘密基地のトップライトが『ドクターノオ』オマージュだったけど、重ねて戦艦「ドラゴン」って念押ししてくるのが可愛らしかった。

☆☆☆1/2

※『ジェームズ・ボンドとして』をアマゾンで見たのですが、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』を観るんだったら必修だなと思いました。パロマが私はここまでよ、って送り出すシーン、観てた時も何故かしら特別な感じがしてたんだけど、ダニエル・クレイグのオールアップがあのシーンだったんですね。