007 ドクター・ノオ(テレンス・ヤング)

 ショーン・コネリーの007を初めて見たのですが、そうだったのかと気づいたことがいくつかあって。

宍戸錠が出てくる日活アクションや市川雷蔵の『ある殺し屋』等で、敵の襲来を予期して予防措置(アタッシェケースベビーパウダーを付けておく等)を取る際の所作が、一見テキパキして格好いい風を装っているけど、それは必要ないのでは?という要素があったりして。映画会社や役者は違えどもこの時代共通の雰囲気があったので、あれって何かしら?と思ったらジェームズ・ボンドだったんですね。

クリストファー・ノーランの007好きは広く知られたところですが、アクションそのものを撮るのがノッタリしてて上手でないのと、ロケーションがのっぺりした撮られ方をしてて緊張感がないな、と思ったら、今作の最終決戦の場所であるクラブキー島の(廃工場みたいな)印象が正にそれだったんですよね。『TENET テネット』の最後のシーンもそういうフラットかつ「この場所が作られた目的はなんだったの?」というプロダクションデザインだったけど、この感じの再現を狙っていたのかな、と思いました。

 さて本作ですが、ほどほど低予算で製作されていながら、なるほど今に至るまで続編が作られ続ける魅力があるよなと思いました。現在は文字通りの超大作が年に何作も公開されているけど、僕が中学校になるくらいまでは夏休み(冬休み)のお楽しみのアクション超大作っていうのは、事実上007のことだったからなあ…

☆☆☆1/2