鬼手(リ・ゴン)

 エクストリーム囲碁アクション映画『神の一手』は、なるほど現在の韓国映画の勢いをもってして初めて成立するような絶妙なバランスの作品だなと感心しながら見たのですが(ばかばかしいほど漫画的だけど理屈を超えて確かに面白い、という案配)、そのスピンオフということでずっと気になっていたのです。アマゾンで配信になったので見てみました。

 『神の一手』で不満だった点は、囲碁の技術や駆け引きとしてどうなのかの描写がほとんどないのと、真剣師の戦いにおいてイカサマするのがこの映画の理屈として成立しているのか微妙なところでした(コンゲームイカサマ勝負ならそういう設定で構わないのだけど、遠隔指示するくらいなら直接対戦している人の力量で勝負したほうが早いんじゃないか?、というように見えるから)。

 結論からいうと前者はほどほど、後者は解消してない、という結果になっていたかと思います。役者陣が達者だから話自体はとても面白かったんだけどなあ。(どんなにみじめな思いをしても囲碁の世界で生きていくしかない、という悲哀と矜持が感じられる。)あとスピンオフというから、(『神の一手』で登場した)刑務所の独房で主人公に壁越しに暗譜で技術を伝授する、あの謎の「伝説の棋士」が収監されるまでの話だとてっきり思っていたのですが、ぜんぜんそんなエピソードじゃなかったですね。世界観を共有しているだけなのかな?

☆☆☆1/2