女刑事の死(ロス・トーマス)

 初めて読んだ著者の作品『愚者の街』が、アクションあり、謎解きあり、エスピオナージュでもありの、しかも大河小説だったから最高すぎて、どの作品もとても面白いのだけど、どうしてもあのインパクトを超えられないですね…マッコークルとパディロのコンビシリーズもいいんだけど。

 今作は読み合いと駆け引きが主で、主人公のベン「お兄ちゃん」が各勢力を綱渡りするスリリングさで読ませるんだけど、自らの職務も顧みず過去の友情を優先したり(この微妙な関係性が、そういうこともあるかもしれないと思わせる「故郷に対する愛憎半ばする想い」でいいんですよね)、しかしそれ以上に唯一の肉親(かつ心許せる存在)である妹の仇を取るのが目的で、そもそも味方であるはずの人間も含め誰も信用していない感じがいくらエスピオナージュ(というか一種のポリティカルスリラーかな)とはいえ殺伐としていて寂しかったですね。また別の作品を読んでみるかな。

☆☆☆1/2