携帯電話が普及したことによって失われたサスペンスは大きいなと。
これは95年の作品ですが、固定電話の最後の時期という感じでしょうか。ハリウッドでリメイクされた『ホワイト・ライズ』ではその点がどのように処理されていたかちょっと気になります。随分印象が変わると思うけど。携帯による世代の分水嶺ということについては、長嶋有と柴崎友香の対談の中で、「現在という設定で青春を描こうとすると、携帯がある学生生活に実感が伴わないから描き難い」という話が出てきてたのを思い出しました。
さて本編ですが、男女6人の思惑が入り乱れて大変なことに・・・という本当はシンプルな話を、現在時制と併走するフラッシュバック、とでもいうような凝ったストーリーテリングでサスペンス風なロマンスに仕上げております。ただ映画としては面白かったけれど、婚約者がありながら別の二人の女性にフラフラしてる主人公をはじめとして、あまり登場人物に感情移入はできなかったなあ。しかも東京での重要な商談の出張はそっちのけになってるし。昔から気になっているのですが、こういうフランス人の恋愛至上主義みたいなメンタリティというのは、(映画でも小説でも典型的といっていいくらいよく出てくるけれど)あくまでフィクションとして現地の人も受け入れているのだろうか?
☆☆☆