ドラマ映画ともスリラーとも言えないような名状しがたい奇妙な映画である時点で、傑作ではあるかもしれません。公開当時の評判から結末はなんとなく予想できたけれど、そもそも「シャロン・テート事件」を知らないと、この映画が狙っているカウントダウン・…
前作が結局「やつ」との対決だったということで、いつもの塚本作品だなというところがあったのだけど、今回はいやだいやだ…という雰囲気の醸成に徹したというか、明確な対決構図じゃないのが、よりJホラーだったのかなと思いました。(話はすっかり忘れてた…
ドキュメンタリーとしては薄味だけど、なるほど戦争に翻弄された人生だった(あの時代の人は皆そうであるともいえるけど。)というのと、見ている分には錯視的な面白さに惹かれるけれど、画家としては内から湧き出る切実さに突き動かされて描いていたのだな…
物語の枠は直球でダイ・ハードかつホーム・アローンであって隠すつもりもない感じだったけれど、まだこういう見せ方があったのかという工夫が嬉しい作品でした。かつとてもウェルメイドで細部への配慮が行き届いていて、「信じる心の強さと思いやりの気持ち…
正直『キル・ビル』のアニメパートをエドガー・ライトが撮ったような作品だけど、というか有体に言って『ブレット・トレイン』(物語はジョン・ウィックでありグロリア)だけど、(先日退屈過ぎて最後まで見ることができなかった)『355』より面白かった。し…
(好きだった方は読まれないでください)個人的にはA24の良くないところが出た作品だなと思いました。気取ってるな!というか、ファインアート・フォトグラフィーを映像の連なりとして撮ったら映画になる、と思うなよ!というか。(逆にそう割り切ってくださ…
『L.A.コンフィデンシャル』がすごく好きだったので、公開当時はデ・パルマがどのように料理してくれるのか楽しみに観に行ったのだけど、何となくぼんやりと面白かったような気はするな…という記憶で。改めて見てみると、やっぱり何となくぼんやりした映画で…
伝説的なアートアニメーションですが、ようやく見ることができました。インパクトのある画と発想が全てだけど、やはりすごかったですね。ところで諸星大二郎の絵って、完全にこの作品の影響を受けているのではないか? ☆☆☆1/2
面白いのでぜひ読んで、とはお薦めしにくいけれど(オースターが書いたという担保なしではやはり取っつきにくいと思う)、世界は偶然で出来ているのだなとか、記憶の不思議さよ…といったことについて、散文(研究書でなく)という形式でしか表せない形で書か…
始まってしばらくしたら話の行く先は大体想像がつくのだけど(何といってもジャンル映画なので)、悪役の造形とか展開が無茶だな(良くも悪くも)と思いました。誰もが指摘するところだと思いますが、アルジェントなどのホラーアイコンにとどまらず、デ・パ…
アマゾンにあったので再見。ものすごくJホラーの文法が活用されていて、もっといえば『CURE』だった。すごく時代を感じますね(2006年の携帯ってこんなだったっけ…とか、hitomiなあ…とか。しかし大根なのは狙いじゃないかな)。塚本監督のメジャー作品は、実…
ソン・ガンホもカン・ドンウォンもさすがの上手さでした。それはさておき、この2人だとどうしたって『義兄弟』を思い出さずにいられないのだけど、是枝監督は実際そこから起用したとのこと。普通すぎて逆にびっくりしました。あと、イ・ジウンが松岡茉優に…
何から何まで説明しない簡潔な語り口が素晴らしい。加えて、殺し屋兄弟(設定上は兄弟だったんだそうです)の造形がよかったですよね。細かいところだと、殺し屋のハンドラーがジャックの報告を受ける時、大丈夫なふりを装っている足の負傷を「どうかしたの…
濱マイクシリーズが好きで、ジパングやキャッツアイも面白いかどうかはともかくサービス精神がいいなと思っていました。という訳でアマゾンで初めて見られたのでよかったです。 まあエログロ抜きの江戸川乱歩的世界ですよね。雰囲気は十分あったかな。タイト…
子どもの頃、鎌がフィーチャー(パース!)された煽情的なポスターにビビりまくって、あれってトビー・フーパーだったんだ、と分かってからも観るタイミングを逸して今に至っていたんだけど、アマプラで見ました。狂ってる!『悪魔のいけにえ』とベクトルは…
特異なキャラクターデザインの面白さや動きの演出の滑らかさは良かったのだけど、肝心の楽曲や舞台効果的なものは奇抜さを狙った凡庸という感じがして。わざと時代にそぐわないようにとロック風にしたのだと思うけど、ありきたりな印象でした。 ☆☆☆ ※物語の…
ごく大雑把な枠組みでいうとビジランテものなんだろうけれど、どこに連れていかれるのか分からない面白さも含めてよかったです。(着地はどこなんだ?という面白さの連想で『ヘッドハンター』を思い出したのだけど、あちらはノルウェー映画だったんですね。…
ロビイストのお仕事もの、立身出世ものだったらもっと面白かったのに、と思いました。後半完全にアクションの力押しになってしまうんですよね。読ませるだけの力量はあるけど、期待してたのはそれじゃないというか。 この後に書かれた『ナイト・エージェント…
すごく子供向けという感じがして(キャラクターデザイン(特に署長)とか話の運びとか)、対象が正にそうなんだからそれ自体は正解なのかもしれないけれど、正直物足りなかったですね。主体的にいいことをしようとする契機にすっきりしない部分があったから…
舞台劇原作といわれたら信じてしまいそうなつくりの密室劇でしたね。まああるタイプの典型であって、普通かなという感じ。(※意外とデイミアン・チャゼルが脚本に参加してたりするんだけど。)私たちの戦いはこれからだぜ!という結末だけど、お疲れ様です、…
(ネタバレ)『ローグ・ネイション』の現場は、設定だけ決めてとりあえず撮ってみるというような香港映画みたいなスタイルだったという(あの緻密さからすると)俄かに信じられない話が伝わってきたけど、その点で言うとむしろ『フォールアウト』の方が専ら…
なんていうか、「君たちはどう生きるか!」というより「こんな夢を見た」みたいな抽象的な作品でしたね。というか「俺はこう甘えるんだ!」っていうすごくエクストリームなプレイを見せられた感じだった。答えて曰く「自分は結構であります!」 しかしいつ終…
内田けんじ作品はどれも好きなんですが、やはりこの作品が一番好きかな。緻密な組み立てに目が行くのであまり言及されないけれど、ダイアローグが実はすごく上手ですよね(特に勇介のセリフ)。『アフタースクール』にもあったけれど、清く生きられる人とそ…
こんなにオッパイがいっぱいな映画だったとは。小学生くらい(多分)に初めてTVで見たときはそういう印象なかったから、おそらくカットされてたのかな。ちょうどいいサイズになるし。 今いろいろ映画を見た上で顧みると分かるけど、『パララックス・ビュー』み…
コンゲームものというより組織内のパワーゲームの権謀術数だったかな。「お仕事もの」として一定の面白さはあったけれど、全体としては普通でした。 大泉洋演じる速水のメフィストフェレス的な得体の知れなさには目を引かれたものの、アート映画ではないから…
正直こわいというよりつらい感じの映画でした。 それを言っちゃあおしまいよ的な話をあえてする、踏み込む、というスタンスは個人的には『ヘレディタリー』に通じるものを感じたのだけれど、その結果怖かったとしても、それに意味があるのかな、という気がし…
もともと期待してたけど、予想を超えて面白かったです。アイディア一発かと思ったら遥かに上等な映画でした。雲間から見える地上の景色が刻々と変化していくところや、機内に散らばる肉片など端々のディテール描写が効いている。銃座の心細さとか、そこから…
子どもたちと一緒に見たのだけど、多分20年ぶりくらいになるのかな?小学5年生くらいに町の映画館で初めて観て、興奮で地に足がつかなかったあの夏休みを思い出しました。(その後何回かテレビでも見たけど。) 読んだ後だとこれって完全にアニメ版『砂の惑…
難聴のボクサーを体現する岸井ゆきのの凄さ。ボクシングのリズムを自らのものにしている所もすごいけど、難聴が前提だから、話しかけられたり自然音に対して反射的に身体が反応してしまいそうなところを「聞き流す」ところが輪をかけてすごいと思いました。…
(皮肉でいうのではなく)端的に言って「厨二」の夢みたいな話でした。物語の最後でためにためてた要素が爆発するのすごく爽快でしたね。まさにカタルシス。 映像化が不可能(よく使われる表現だけど)と言われていたのは、物語の中心が(言葉の応酬としての…