砂の惑星(フランク・ハーバート)

 (皮肉でいうのではなく)端的に言って「厨二」の夢みたいな話でした。物語の最後でためにためてた要素が爆発するのすごく爽快でしたね。まさにカタルシス

 映像化が不可能(よく使われる表現だけど)と言われていたのは、物語の中心が(言葉の応酬としての)政治劇と文化人類学だったからじゃないかな。スペースオペラとしての側面はあまり重要じゃないというか。

 読み進むのに時間がかかったのは、やりとりを(含意がわかるように)すごく丁寧に訳してあるのと、時代劇らしくペダンティックな表現が多いから。(新訳版で読んだのですが、読みやすくなっているのは本当だと思います。なんといっても「ハイペリオン」シリーズの酒井さんなので。)

 読んで一番驚いたのは、意外とリンチ版の話が(ダイジェストというのでもなくて)全部だったということ。あと言われていたように『ナウシカ』って(ということは『もののけ姫』でもあるけど)これの宮崎駿版というのは本当でしたね。

 『指輪物語』しかり、設定をめちゃくちゃ作りこむというのがこの時代の流行りだったのかな。それとキャメロンが「アバター」でやりたいことは文化人類学環境学)SFとしての「僕の考えた『砂の惑星』」なんだなとよく分かりました。

☆☆☆☆