ロスト・フライト(ジャン=フランソワ・リシェ)

 すごく面白かった。『ダイ・ハード』以降、本当の意味でダイ・ハードみたいに先が読めなくて緊張が持続する映画は(続編含めて)なかったと思うのだけど、ようやく比肩する作品が登場したという印象でした。

 加えて、誰も「物語のために」ミスすることがなかったのも良かったです。登場人物皆が求められている役割を果たすことに全力を尽くすし、相棒となるガスパールが用済みになった敵を容赦なく射殺しても、センスのない作品なら(主人公であるからには倫理的な葛藤がないと十分でないと考えて)「なぜ殺したんだ?」みたいなセリフを言わせて「他に選択肢があったなら教えてくれ」と返されてから黙り込む、みたいな描写を入れてくるところ、サクッと「この状況なら仕方ない」と次の行動に移るところが快適でした。

 それと、脱出するだけだと若干カタルシス不足を感じるところですが、きっちり敵に対してやり返してやった感のある場面を設定しているのも分かってるな!という感じがして嬉しかった。いやー最高だったな。

☆☆☆☆1/2