2009-01-01から1年間の記事一覧

リトル・チルドレン(トッド・フィールド)

端正な画、幼児用のおもしろ帽子などのディテール、そして最後に訪れる「ささやかだけど決定的な瞬間」をすくい上げる繊細微妙な演出、と褒めポイント満載でした。以下、個人的に印象深かった場面を。 ・そうとは知らず、週末の秘密旅行中のルーシーの子守を…

その土曜日、7時58分(シドニー・ルメット)

『シンプル・プラン』的な家族間の軋轢がやがて取り返しのつかないことに・・・というクライム系悲劇。まあ登場人物はみな何かしら甘えてるんだけど、個人的には一番親父が悪いんじゃないかと思ったことでした。 各所で目にした皆さんの感想と同様ですが、コ…

サマーウォーズ(細田守)

僕は『ノルウェイの森』が『蛍』の壮大な蛇足と感じている人間なので、そういう者の意見として読んでください。 予告やあらすじから『僕らのウォーゲーム!』のリメイク的な話なんだろなと想像してたけど、「的」じゃなくてリメイクそのものだったのがまずび…

バンク・ジョブ(ロジャー・ドナルドソン)

まさしく「手堅い映画」でした。いかにもイギリス顔したおっさんがたくさん出てくるのが良かった。 ☆☆☆

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと(シド・フィールド)

実際に脚本は書かなくても、これは参考になる本でした。当てはまる具体例を引いてきているから、ということはもちろんあると思うのだけど、「映画の構造の黄金率」というのはやっぱりあるんだな、ということにとても納得。 ☆☆☆☆

エグザイル/絆(ジョニー・トー)

確かに『ザ・ミッション』の後日譚としても観られなくはない話だけど、監督独特の陰惨な雰囲気が色濃くあった『ザ・ミッション』より「バンカラな男の子気分」が横溢する今作の方が好みだったなあ。それにしてもその場のノリでどんどんアドリブで作ったとは…

スローターハウス5(ジョージ・ロイ・ヒル)

村上春樹もオマージュを捧げた有名なフレーズ、「そういうものだ」がどのように処理されているか非常に気になっていたのだけど、結論を申せば出てきませんでしたね。その代わり主人公ピルグリムの造型があらかじめ全てを諦めて、周囲のどんな事柄をも「そう…

ワイルド・バレット(ウェイン・クラマー)

イタリアンマフィアの構成員ジョーイは、麻薬取引の際、金を掠め取ろうとした悪徳警官を射殺した銃の処分を命じられる。それは何でもない仕事のはずだったが、隣家に住む息子の友人オレグが継父を射殺(未遂)したことからあらぬ方向へ・・・ 冒頭こそパルプ…

メイキング・オブ・ピクサー 想像力をつくった人々(デイヴィッド・A・プライス)

熱心なアーケード・ゲーマーだった人なら何となく察していただけるかと思うのですが、「バーチャ・ファイター」から「バーチャ・ファイター2」へ、或いは「リッジ・レーサー」シリーズといったゲームは、バージョンが更新される度に画期的な画像処理技術を…

光車よ、まわれ!(天沢退二郎)

天沢退二郎というと、僕にとってはまず宮沢賢治のよき解説者としてのイメージがあるのだけど、「日本におけるファンタジー」が話題になると必ず挙げられるこの小説が前々から気になっていました。 せっかくだったら本当に子供の頃に読みたかったなあというの…

星を継ぐもの(ジェイムズ・P・ホーガン)

科学者ハントは国連宇宙軍の特命プロジェクトに召喚される。それは、月の調査隊が発見した信じられない存在、推定年代5万年前の「真紅の宇宙服を着た人間」の謎を解明するというものだった。時を同じくして木星の衛星ガニメデで宇宙船が発見される。それは…

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(庵野秀明)

「承」じゃなくて「破」なんだよというのがブラフに終っていない、正に疾風怒濤の展開。(と、いいながら次回「Q」で完結じゃないんだけど・・・)前回も書いたけど、リアルタイムでは自分が社会の荒波に漕ぎ出す前だったのでシンジ君に同化して観ていたの…

続・荒野の用心棒(セルジオ・コルブッチ)

おそらく小学生の頃TVで観て以来。マカロニ・ウエスタンという言葉から想像されるものは概ね全て含まれていて、なお豊穣というか。さすがマスターピースと呼ばれるだけのことはあります。ランタイム1時間半でこれだけのことがやれるという見本ですね。と…

サイレンサー(リー・ダニエルズ)

いってみたら殺し屋版『ハロルドとモード』みたいな話なんだけど(という時点で相当変わった話だと想像いただけるかと思いますが)、とにかくストレンジな感触。特定のジャンルにカテゴライズできない、「何か妙な映画みちゃったなぁ」という感じ。こういう…

ワールド・オブ・ライズ(リドリー・スコット)

徹底した現場志向の工作員で「俺はこの国(ヨルダン)が好きだ」というディカプリオ演じる主人公、その言葉を自分に対するイヤミだとしか受け取れない現場を知らない指揮官ラッセル・クロウ、という配置は、アメリカの「良心」と、ともすれば手段と目的を取…

北壁の死闘(ボブ・ラングレー)

これは・・・凄く面白かった!!読んでいる間中アドレナリンの噴出が自分で感じられるほど興奮しました。 今の技術でぜひとも映画化してほしい、と一瞬思ったのですが、これは「映画化すると意外と面白くない」タイプの小説の典型かもしれません。なぜなら面…

イースタン・プロミス(デヴィッド・クローネンバーグ)

「・・・テンさん!」って言いたくなるよな「不器用な男」ぶりが格好良かったですね。 ☆☆☆☆ ※期せずして餃子(チャオズ)を思い出した。

巨人と玩具(増村保造)

増村監督というと、『でんきくらげ』とか先日観た『盲獣』みたいな(あるいはTVの「赤いシリーズ」等でもいいけれど)「飛び道具」的ジャンルがまず連想されて、「業の深い人々の織り成す因果の物語」という先入観があるだけに、実際観てみてそういう話だ…

スター・トレック(J・J・エイブラムス)

正直オリジナルメンバー作品は、映画で6作目くらいまで観てたかなという程度で、むしろピカード艦長のTNGの方が馴染み深い。でも従来からのファンの評判が良いという話で、なにより(世評芳しからぬ(ですよね?))『M:i:3』が大好きだったので、…

ターミネーター4(MCG)

例えばSW新シリーズでは、「クローン戦争」というキーワードに、いつか夢見た光景が実写化されるということでワクワクしたものですが(実際は一部だけだったけど)、この作品も予告編を観た時、「あの革命指導者としてのジョンが!」と期待したのだけど、…

ハンティング・パーティ(リチャード・シェパード)

「ちょっとだけ事実入ってます」という「ちょっとだけ」の腰の据わらなさが、映画全体の出来に反映していたようで。 実は、リチャード・ギア演じる主人公のひとりが「セルビア側の民族浄化の黒幕をとっ捕まえてやろうと思ってる」と言い出してからの展開に少…

盲獣(増村保造)

つまるところ、ストックホルム症候群の話でしたね。 と、変な照れ隠しみたいに茶化さずにはいられないほど実はハードコアでディープな作品。冒頭こそ昔の映画によくあるようにトゥーマッチな演出が製作者の意図を超えて「おもしろ」になっている、という展開…

闇に葬れ(ジョン・ブラックバーン)

聖杯伝説、英国の片田舎の狂人領主、ナチスの悪魔の実験、殺人ウィルス、そして・・・とキーワードをピックアップしただけで「その筋」が好きな読者には堪えられない溢るるシズル全開!なんだけど、実際に読んでみると落ち着いた筆致もあってそれほど突飛な…

俺に用か?

デ・ニーロのレガシィのCMのBGMがtravisというのは狙ってるんやろなあ。

トロピック・サンダー(ベン・スティラー)

観終わった後、この一抹の物足りなさはなんなんだ・・・相方(オーウェン・ウィルソン)が出てなかったから?いやマコノヒーは結構いい感じだったよな、とつらつら考えてたら、ウィル・フェレルの不在に思い至りました。 出番は短くても、それまでの空気を一…

江分利満氏の優雅な生活(岡本喜八)

岡本喜八作品なので一筋縄ではいかないんだろうなとは覚悟してたんですが、結構いびつな構成でしたね。だって5分の1は主人公がクダ巻いてるって・・・ とにかく手を変え品を変えトリッキーな演出が随所に。音楽とのシンクロ、アニメ(トリスおじさん!)、…

声のシズル

間が開いたけど、ポスト堀江美都子は中川翔子なんだと思う。

ピアニストを撃て(フランソワ・トリュフォー)

原作を先に読んでいたので、客観的に映画のみで判断できないのだけれど、正直ちょっと物足りなかったです。(またぁ!?) グーディスによる原作はアメリカが舞台で、ストレートなクライム・サスペンス+悲劇風味。冒頭からこれはハッピーエンドにはなり得な…

アイガー・サンクション(クリント・イーストウッド)

原作を先に読んでいたので、客観的に映画のみで判断できないのだけれど、正直ちょっと物足りなかった。 そもそも(殺し屋人生を選択するに至った経緯、山登りの哲学など)ディテールの過剰さが売りの物語だったのに、枝葉として見事に剪定されてしまっていた…

インコテックス:ホワイトパンツ

雑誌が白パンをお薦めしまくっているので、つい時流に合わせて購入することに。白パンを買うのは実は大学以来なんだけど。せっかく飛び道具(でもないですか?)を買うのならいいやつがいいな、とこれまた流行りでイタリアパンツを買おうと思う。まあイタリ…