その土曜日、7時58分(シドニー・ルメット)

 『シンプル・プラン』的な家族間の軋轢がやがて取り返しのつかないことに・・・というクライム系悲劇。まあ登場人物はみな何かしら甘えてるんだけど、個人的には一番親父が悪いんじゃないかと思ったことでした。
 各所で目にした皆さんの感想と同様ですが、コーエン兄弟が撮ってたらこんなに息苦しくならなくてすんだかも、という気がしました。彼らの場合、陰惨な展開でもギリギリのところでポップなニュアンスが残っているからかな。それが正に作家性というものなんでしょうね。(考えてみたら『シンプル・プラン』の映画版はコーエン兄弟の盟友サム・ライミ作品でしたね。原作読んだときは弟の眼に触れないところに置いとかなきゃとすら思ったものだけど・・・)加えて、「悲劇」に見合う作品的な器量が不足していたのもマイナスだったかもしれません。作り手の狙いとして「なるほどねぇ・・・(詠嘆)」となるべきところが「えぇ・・・嫌な話だったな」止まりでした。役者は総じて熱演だったんですけどね。
☆☆☆
ルメット作品でも比較的最近だったら(それでも18年前なんですね、うひー)『Q&A』とか好きだったのだけど。