サマーウォーズ(細田守)

 僕は『ノルウェイの森』が『蛍』の壮大な蛇足と感じている人間なので、そういう者の意見として読んでください。
 予告やあらすじから『僕らのウォーゲーム!』のリメイク的な話なんだろなと想像してたけど、「的」じゃなくてリメイクそのものだったのがまずびっくり(話の構造が一緒)。尺の伸びた部分は「青春夏休みもの」の部分になっている訳だけど、それが「ウォーゲーム」にあったストレートなストーリーテリングの気持ちよさを間延びさせていたような。(もちろん『時をかける少女』的な側面に期待してるお客さんは、そここそを観に来ているのだと思うけど・・・。)おばあちゃんが政財界の大物に働きかけるシーンは、不思議と物語をドライブさせてくれないし、キーパーソンである侘助の屈託が充分に描かれていないから、「泣かせ」も「共闘の興奮」も不完全燃焼な印象でした。
 文句ばかり書きましたが、そもそも細田作品の魅力はウェルメイドな結構からこぼれでる禍々しさだと思ってるような人間なので・・・(だから『時かけ』もなんだか物足りなかった)。ただ、逆にそれ故、総決算的な内容でもあり、一般的な評価は高いのではないかと想像されました。(ジブリとは違った情緒の演出とか。)僕の鑑賞回に限ってみても観客層が厚かったし、すごく反応が良かったからなあ。
☆☆☆1/2
 ・OZの意匠にはカイカイキキのフィードバックが。
 ・桜バナナ美((c)パーリスさん)とは、今回もいいところ突いてきた。一方前作のヒロインは意外なキャスティングに・・・
 ・キャラの肉付きのリアルな細さがなんか新しい。