アイガー・サンクション(クリント・イーストウッド)

 原作を先に読んでいたので、客観的に映画のみで判断できないのだけれど、正直ちょっと物足りなかった。
 そもそも(殺し屋人生を選択するに至った経緯、山登りの哲学など)ディテールの過剰さが売りの物語だったのに、枝葉として見事に剪定されてしまっていた。画として映えない部分だからという判断だったのだろうけど・・・。それと主人公は内面では結構虚勢を張って生きている人物で、だからこそひどく冷酷なウェットワークに従事していても読者には辛うじて共感の余地があるという話になっていたのが、イーストウッドが強すぎて何だか弱いものいじめに見えてしまうのが・・・誤算だったのではなかろうか?
 ただクライマックスであるアイガー登攀は、ロケ撮影による有無を言わせぬ迫力で素晴らしかったです。
☆☆☆(人死にが出たというカメラマンの頑張りは5点)