マッドマックス:フュリオサ(ジョージ・ミラー)

 最初に結論を書いておくと、前作には及ばないもののすごかった、ということでした。アクションの空間構築が素晴らしい。遠景、接写の組み合わせで、どのようなことがどこで起こっているかスムーズに観客に理解させるというか体感させる手腕。ずっとフュリオサの助手席で物語の成り行きを見守っているような案配でした。

 とはいえ、前作を越える驚きは正直なかったし、フュリオサの来歴についても、「あの世界」で女性でありながらイモータンの信任も厚い「警備大隊長」になったのか?という点については、ちょっと肩透かしというか自称「警備隊長」って感じかな(少なくとも今作では)…という印象でした。あとちょっと長すぎましたね。

 暴君同士の比較として興味深かったのは、ディメンタスはアジテーターとしては優秀なんだけど、管理維持能力は実務者としてのイモータンの方が優れているところ。だから略奪農法的に資源が枯渇すると移住するしかない。バイク集団を飛蝗的に描いているのもそれを意識していると思う。

 一番面白かったのは章でいうと第1章で、お母さんの活躍がバイク西部劇ここにありという大車輪で、ずっとこの感じでもいいのになと思いました。マッドマックスはそもそもシリーズを通じて西部劇の要素があるけれど、今作でも西部劇の舞台立てそのもののレイアウトがあってグッときました。

☆☆☆1/2