あのプロパガンダみたいな映像とチャント、ラドヤード・キプリングの『ブーツ』という戦争詩だったんですね。あの不穏さがこの映画の水準を底上げしている気がしました。
一方で、それなりの予算のはずなのにデジタル撮影とはいえ今時これか?と思ったら一部の撮影はiPhone 15 Proだったそうで、庵野監督かよ…と思いました。本当に予算削減の意図もあったかもしれないけれど、ルックの統一性がないとしらけてしまうのでやめたほうがいいような。
この企画って、「進撃の巨人」を見て、このやり方で語り直せるな、というのが発端じゃないかなと思ったシーン(無垢の巨人風とか冒頭の島のロケーションなど、結構あからさまにそうだった)があったのと、「全世界に広がってしまう…→英国に封じ込め直しました」という顛末というか経緯にブレグジットのトラウマを感じましたね。
ところで、『28週後…』もかなりそうだったんだけど、子どもが考えなしに突っ走って周囲に迷惑をかける話が大嫌いなので、その点ではいらいらさせられました。12歳にしては思慮が足りないというか軽率すぎるのではないか。あと個人的に、ジョディ・カマーはなんとなく苦手なんですよね。
とはいえ、ケルソン先生というキャラクターは、ここまでの物語の流れにおいて、すごく興味深い造形になっていましたね。世界の方が狂ってしまったのなら、正しい倫理を貫き通す人はこうならざるをえない、というような。結果、続編をつくる意義はあったという印象になりました。続きが見たいです。
☆☆☆1/2
※『28日後…』は走るゾンビの嚆矢とされていて、僕自身もそうだよなと思っていたのですが、先日アマプラで久しぶりに『バタリアン』を見たら結構走っていたから、思い込みはよくないなと思いました。