ものすごく近視眼的感想ですが、女の登場人物の造型がやけにエロい。主人公の一人称的な視点(語り)の設定が多いので、ということは主人公の視線こそがそうなのかもしれない。しかし、それをさておいてもむせ返るような生々しさで、個人的にはトゥーマッチでした。
文学史的位置づけでは、作者は無頼派。戦中の生きるか死ぬかの修羅場を潜り抜けてきた上での視座というところを考え合わせると「エロスとタナトス」ということになるのかしらん。ベタですか?
こういうタイプの小説は、たまに読むぶんにはいいけど、「日本の純文学(現代文学じゃなくて)」と聞いたときに受ける「苦手な感じ」そのものの作風だったので・・・話が飛躍しますが、ロマンポルノ発の作家主義の映画監督およびその作品を変に高く持ち上げようとする姿勢への違和感と、僕の中では根っこで繋がる感じでした。
☆☆☆