現代ポルノ伝 先天性淫婦(鈴木則文)

 「県警対組織暴力のお色気担当」とか「Vシネアクション女優の源流」みたいな括弧つきのやつじゃなくて直球の池玲子が観たくなって。そもそも「ポルノ映画」という言葉は、ピンク映画と差別化するため、かつ池玲子を売り出すための東映によるキャッチだったとか。
 物語は全寮制の女学園の学生だった主人公が、母の情夫に襲われたことを切っ掛けに転落する愛と欲の地獄めぐり。池玲子演じる主人公は典型的なファムファタールなんですが、「身体と度胸で一攫千金」みたいな『白いドレスの女』タイプではなくて、「純情を貫こうとするけれど、隙のある身体が災いして愛する人もろとも不幸のどん底へ」という『テス』みたいなタイプ。洋の東西を問わず、こういう話ってみんな好きなんですね。ただロマンポルノの異形の名作みたいに「その先の向こう側」にはみ出すこともなく、どこまでも娯楽作の範疇で勝負している。あえて言葉にするなら「ウェルメイドな作品」ということになるのでしょうか(トラック野郎的な意味でですけど)。
 主人公と愛し合うことになる本間洋一郎に宮内洋。余りのハンサムぶりがトゥーマッチなんだけど、宮内洋といえば仮面ライダーV3とか、アオレンジャーとか、僕らの世代の「ごっこ遊び」でなりたい役者ナンバー1でした。なるほど東映ヒーローだもんな。
 ところで初めて会うなり「抱いて〜」と迫る主人公に洋一郎が平手一閃、「新手のコールガールかい?あいにく僕は安物は買わない主義でね」と切り捨てるのですが、まさに一生使う機会はないけど、言ってみたいセリフ。
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