レザボア・ドッグス(クエンティン・タランティーノ)

公開時以来に見たけれど、今見るとやっぱり荒いし、いかにもインディペンデント作品といった雰囲気が拭えない。(ついでにいうとそこが当時のミニシアターっぽいのが面白い。)しかし使われている音楽の発掘の先見性が群を抜いているし(というかこの映画で…

レミニセンス(リサ・ジョイ)

てっきり『インセプション』の亜流かと思いきや、道具立てこそそうだけど、結構正統派のノワールでした。(必要な要素は全部あると思います。)舞台も荒廃した未来としては割と新鮮なイメージで悪くなかったです。でも正直それ以上のものはなかったかな… ☆☆☆

ピアノ・レッスン(ジェーン・カンピオン)

(好きな方は読まれないでください。)主人公がすごくシガニー・ウィーバーぽい撮られ方してるなと思いながら見ていたら、当初監督は本当に彼女を想定していたそうですね。あと、公開当時から、言葉を話すことができないのはてっきり娘の方だとなぜか思い込…

リーチャー:シーズン2(監督は複数)

シーズン1も相当面白かったけど、シーズン2は予想を超えて面白かった。ガンアクションの組み立てもスムーズだし、スパッと決着が付くのも最高でした。『ザ・ボーイズ』は物語を続けんがために悪役を延命するような無理な展開があって大いに失望したけど、…

最後の三角形(ジェフリー・フォード)

青春小説のようなすごく叙情的な作品からドサッと結末が投げ出されるようなびっくりするほど酷薄な作品まであって、容易に底が知れない振幅の大きさが作者の魅力なのかな…とはいえ、僕はやっぱりロマンティックな物語が好きかな。以下、好きだったり気になっ…

ドリームプラン(レイナルド・マーカス・グリーン)

ちょっと常軌を逸してるかなという父親像で、実際よりソフトには描いているのだろうけれど、いつもつまようじを咥えているところも感じが悪いし、あまり好感が持てるような造形でなかったところがいわゆる伝記映画としては異色かもしれない。美化しすぎてい…

サスペクト 哀しき容疑者(ウォン・シニョン)

ボーンシリーズがやりたかったんだなという印象でした。同じような出自の殺し屋が襲ってくるという展開もその辺りを意識していたような。しかし格闘こそもっさりしていたもののカーチェイスは本当に頑張っていたと思います。ところで韓国映画はその時々の北…

エイリアン4(ジャン=ピエール・ジュネ)

リザレクションという言葉はこの映画の原題で初めて知ったな。実はヨーロッパ一周旅行をしていた時に、せっかくならカンヌに立ち寄って映画を観たいと思い、この映画を観たという個人的な思い入れが大きい作品でした。そうえいば「エイリアン、リザレクショ…

ザ・コンチネンタル(アルバート・ヒューズ、シャーロット・ブランドストロム)

お手並み拝見と試しに見てみたらすごく面白くて一気に最後まで見てしまいました。むしろ本編より面白かったくらい。単独の「兄弟のクロニクル」として成立しているから※1、いっそ前日譚じゃなくてオリジナル企画でよかったのではとすら思いました(それだと…

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(アーロン・ホーバス、マイケル・イェレニック)

ブルックリンにクッパ城を引きずり込んでしまうのは、「故郷へ錦を飾る」ためとはいえ、やっぱりヒーロー映画におけるマッチポンプ問題として気になりました。それはさておき、マリオのゲームの世界観がキャラクターの造形といい象徴的なオブジェクトのなじ…

ゴルフはパープレーが当たり前!(佐久間馨)

パープレーが当たり前、と言い切るところにタイトルの引きがあるのだろうな…(だからまんまと手に取ってしまった訳ですが。)要約すると、マネジメントとメンタル次第という分かりきった内容ですが、こういう本は大体(素晴らしい飛距離は不要だとしても)思…

弱小集団東大ゴルフ部が優勝しちゃったゴルフ術(井上透)

書かれていることはいちいちごもっともなんだけど、タイトルが全てというか。(優勝というのも実は過大広告で、本当は中クラスカテゴリーでの優勝なんですよね。それでも成果には違いないけど。)技術の部分とトレーニングのマネジメントの部分がいずれも中…

シー・セッド その名を暴け(マリア・シュラーダー)

実質的に『大統領の陰謀』リメイクという印象。記者もの、会議ものって格好いいですよね。インタビューするシーンの撮り方、レイアウトが何気に「決まって」いてそこも気分が上がる要素だった気がします。 二人主人公体制のつくりですが、実質ジョディが主役…

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎(古賀豪)

制作陣のテーマへの向き合い方の真摯さを疑うものではないのですが、「今まさにこのタイミングで言わなければいけないことを言う」ことにあまりにも依拠している感じがして。 上記はもちろん大事なことであるし、志は買いたいのですが、それさえ果たせばとい…

パーム・スプリングス(マックス・バーバコウ)

ちょっと前でいうジャド・アパトー関連の、少し下世話な、それでいてちょっとホロリとさせる人情コメディの線を狙ったタイムループものなのかな。 なんですが、物語の骨格はほぼ同じといってもいい『明日への地図を探して』の方がより好みでした。先に見た方…

言葉人形(ジェフリー・フォード)

読書ずれして、だいたいの有名な作家や作品は把握しているつもりだったけど、不明を恥じるというか、まだこんな作家がいたなんて!という嬉しい驚きでした。どちらかというと国書刊行会的なラインの作家だと思うし、本の体裁もそれ風なんだけど、東京創元社…

ザ・ライト -エクソシストの真実-(ミカエル・ハフストローム)

申し訳ないですが、何かを信じすぎることはよくないなと思いました。 ☆☆☆

山善電気ケトルEGL-C1281

コーヒー道界隈で話題になっていたのを横目に見ていたのだけど、山善の電気ケトルをついに買ってしまいました。1℃単位で温度調節ができて、かつその温度でキープも可。コーヒーを淹れる際、定番の80℃がちょうどいい豆(個人的にはグアテマラなど)もあれば低…

スピリットウォーカー(ユン・ジェグン)

記憶が失われ、かつ他人の体に魂が乗り移る男の孤独な闘い、という導入が面白かったのだけど、だんだんネタが割れてからは普通になったかな。とはいえ、「乗り移った身体とは関係なく、本人の身に付いたスキルが勝負を分ける」という設定と展開は結構盛り上…

V.I.P. 修羅の獣たち(パク・フンジョン)

ちょっと前の映画だけど、韓国の暴力描写のエクストリーム化路線に懸念していたことが的中していたなと思いました。「ためにする残酷描写」がひどすぎて僕にはアウトだった。フィクションなんだからそこは作り手次第な訳で、物語の要請上もあそこまでする必…

コンティニュー(ジョー・カーナハン)

端的にいって『オール・ユー・ニード・イズ・キル』なんだけど、そもそもカーナハン監督って、過去をやり直すとか過去を取り戻すといった物語へのオブセッションがすごいなと思う。『NARC ナーク』から此の方その話しかしてないくらいの印象があります。 と…

帝都物語(実相寺昭雄)

角川文庫版で当時最後まで読みましたが、幻魔大戦とか宇宙皇子とか流行っていたような記憶と一緒になっています。そうそう確かにそういう話だったなと思い出しながら見ていたけど、一見さんにはなにがなんだかという作り。正直、作品としても長いわりにほど…

オペレーション・フォーチュン(ガイ・リッチー)

いい湯加減の娯楽作品で、贅沢なキャストの割りにアクションは実は控えめだから意外と予算はほどほどだったのかも。僕はガイ・リッチーのリッチ描写が好きなのでその点は楽しめました。ブラックコメディなのかシリアスなのか、みたいな案配は『スナッチ』に…

ブラック・レイン(リドリー・スコット)

公開時に観て、以降、高校生から大学生にかけて何度もダビングしたビデオを見返したけど、正直、ジャスト水準作だとは思います。松田優作のシーンを真似するほど好きだったのだけど。 あと、ブレードランナーの実質セルフリメイクですよね。異文化との衝突と…

ゾディアック(デヴィッド・フィンチャー)

公開時に観たきりだったけど、久しぶりに見返してみました。当時は長いな…という印象で、グレイスミスが事件にはまりすぎて憔悴するあたりからもういいんじゃないかなという気分になりました。 今回は、意外とブラックコメディ的な呼吸で演出されていること…

羆嵐(吉村昭)

何かと熊の出没が話題になっている今だからということで読みました。凄絶というかすごかったです。銀四郎の猟師としてのプロフェッショナリズムと一瞬で勝負が付くあっけなさがかえってリアルだなと感じさせて印象的でした。あと組織というものが持つ本質的…

MASTER/マスター(チョ・ウィソク)

全体としては虚々実々の警察と詐欺師の駆け引きのサスペンスなんだけど、要所でディテールが大味かなという描写もありました。総じて面白かったのだけど、『毒戦BELIEVER』というかオリジナルの『毒戦』でも印象的だった(というか「毒戦」という作品の要と…

バーバリアン(ザック・クレッガー)

予測を裏切るホラーだったですね。序盤の演出が絶妙だったから、ネタが割れてからは消化試合になってしまうのは仕方ないか…それにしてもジャスティン・ロングは得しない役をよく受けたなと思いました。 あと『悪魔の沼』のホテルと同じ意味合いで、そこに泊…

ノマドランド(クロエ・ジャオ)

正直こういうジャンルの映画を見ると、どういう気持ちになればよいのか…と途方に暮れる。まさにそれが狙いだとしたら正解なのかもしれないのだけど。それと映画館でやっぱり観るべき映画というのがあって、この作品もまさにそうだった気がします。そういう映…

非常宣言(ハン・ジェリム)

航空パニックものと刑事もの、そしてポリティカルサスペンス的な要素をトッピングしました、という作品。正直個々の要素は定番をなぞるだけで新鮮味はなかったし、テロ実行犯の動機も「動機のための動機」みたいで説得力がなかった(そうでないと物語が始ま…