映画

DUNE/デューン 砂の惑星(ドゥニ・ヴィルヌーヴ)

すごく面白かったですね。いたずらに見せ場だらけにすることなく、ちゃんとドラマとしての語り口があったのがよかった。映画だな、という感興がありました。(これでもし2が作られなかったら「俺たちの戦いはこれからだ!」ヴィルヌーヴ先生の次回作にご期…

スター・トレック イントゥ・ダークネス(J・J・エイブラムス)

公開時評判がよかったのは記憶にあったけれど食指が動かず…。最近になってベネディクト・カンバーバッチの良さが分かってきたので見てみたのですが、戦略と選択の物語でとても面白かったです。無双の活躍を見せるカーンが最高に格好よかったですね。 ☆☆☆☆ で…

モーリタニアン 黒塗りの記録(ケヴィン・マクドナルド)

アメリカという国は思い込んだらちょっと唖然とするくらいひどいことをするけど、一方でそれを正そうとする力もまた働く、という両極端な国だなと常々思っているのですが、まさにそれを例示するような映画でしたね。 すごく久しぶりに見た気がするジョディ・…

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(ジェームズ・ガン)

(ネタバレ)世評は大絶賛という印象ですが、若干気になった点について。 カウンター・アースにおいて主人公チームが手掛かりを得ようと接触する住民はヒスパニックの意匠が与えられていたと思うのだけど、つましく暮らしている家族を揶揄するようなニュアン…

ビッグ・ガン(ドゥッチョ・テッサリ)

(若干ネタバレ)『サムライ』みたいなストイックなノワールを基本的には意図していたのだと思うけど、(イタリアンジャズ等格好いいけど)バリエーションが豊富すぎる劇伴とか、ジャッロみたいに過激で派手な暗殺シーンのようにサービスしすぎで些か焦点が…

ワイルド・ギース(アンドリュー・V・マクラグレン)

一貫して信義に基づいて行動する登場人物たち(そうでないのが敵役)、というのが物語として筋が通っているので楽しく見ることができました。傭兵が主人公にしては理想主義に過ぎるという感じはあるけれど、放逐された元大統領のセリフなんかもよかったです…

怪物(シム・ナヨン)

猟奇殺人により妹を失った上に、容疑者とされた主人公。社会人となった彼は警官として田舎町の派出所で失意を抱えながら日々過ごしていたが、20年ぶりに同様の手口による殺人事件が起こる。それは町の人間関係に波紋を広げて… (ネタバレ)面白いかどうか…

光の旅人 K-PAX(イアン・ソフトリー)

常識外の闖入者によって主人公の固定観念が覆され、やがて自身の人生に向き合うことになる、という「話の型」があると思うのだけど、そういう映画だったんですね。この頃のジェフ・ブリッジスやケビン・スペイシーってこういう役多かったな、と思い出しまし…

ワイルド・スピード/スーパーコンボ(デヴィッド・リーチ)

監督がデヴィッド・リーチと知って急遽見ました。なかなか快調。冒頭のスパイアクション的なパートは何となくガイ・リッチー的だなと思ったけれど、それはエディ・マーサンが出ているからかもしれないし、もっといえばトム・ウーが出ているからかもしれない…

ブレット・トレイン(デヴィッド・リーチ)

予告編がピンとこなくてスルーしてたけどすごく面白かったです。トラブルのピタゴラスイッチみたいな、ガイ・リッチー的クライムコメディ(ブラピが出てるから余計にその印象が強い)だったんですね。アクションはジャッキー映画をアップデートしたようなそ…

モスル あるSWAT部隊の戦い(マシュー・マイケル・カーナハン)

ドキュメンタリーと見紛うばかりのリアルなプロダクションデザインと演出は良かったのですが、映画的な妙味には乏しかったような、という気がしました。娯楽作品としての「面白さ」も一応担保されているというところで『パラダイス・ナウ』を思い出したり。…

アイス・ロード(ジョナサン・ヘンズリー)

アイスロードという実在する事物を発見して、この舞台立てで『恐怖の報酬』※ができるんじゃない!?というのが発想のもとだったような気がします。そこから危機を設定する工夫は凝らされていたと思うのですが…悪役側の行動原理がリスクとベネフィットに見合…

刑事ジョン・ブック 目撃者(ピーター・ウィアー)

実は今回初めて見ました。ドラマ部分はよいのだけど、アーミッシュの村に身を寄せる理由が苦しいな、と思いました。(普通に告発すればいいのに、どうしてもそれができない理由を設定できていないのでは。)名作というイメージが強かったので期待しすぎたか…

善き人のためのソナタ(フローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク)

抑制のきいたよい映画でしたね。(泣かせんかなの展開をちょっと危惧していたので。)実はヴィースラー大尉を演じたウルリッヒ・ミューエ本人が東側で監視されていた俳優であったとのことで、その胸中は如何ばかりだったかと思いをはせました。 ところで同監…

カラー・アウト・オブ・スペース(リチャード・スタンリー)

ホラー映画というよりは『モスキート・コースト』と同じフォルダに整理すべき作品でしたね。危機を前にしてなすすべもないお父さんのみっともなさが最大の恐怖ポイントだったように思います。 ☆☆☆1/2

サスペリア(ダリオ・アルジェント)

ごく幼い子どもの頃この映画のCMがトラウマだった。大人になって何度か見ているけど本当に異様な映画ですよね。物語を盛り上げるためにショックシーンがあるのではなく、ショックシーンしかない、みたいな感じ。しかし実をいうとナイフでグサーみたいな場面…

シン・仮面ライダー(庵野秀明)

最初のバイクでの変身シーンで訳もなく涙が出て、それだけで充分とも言えるけど、あそこが最高潮でもあったな。一緒に観た子どもたちも楽しんでいたようで良かった。 ルリルリみたいな言い回し、よくわからない英語の気取った発音への拘り、鳴りっぱなしの劇伴、…

LION/ライオン 〜25年目のただいま〜(ガース・デイヴィス)

悪くはないのだけど…グーグルアースってすごいですね、というのが率直な感想です。 というのも『スラムドッグ$ミリオネア』の時も感じたのだけど、「インドの過酷な環境から少年がサバイブする」という物語を欧米の監督が描く視点にどうしてもエキゾチシズム…

クワイエット・プレイス 破られた沈黙(ジョン・クラシンスキー)

基本的には面白かったです。という前提で、実は裸足にこだわる必要ないのでは?というのと、奥さんは娘を助けに行けなんてエメットに甘えすぎでは?という気持ちが拭えなかったです。(そうじゃないと話が進まないのだけど…) ☆☆☆

ブラック・フォン(スコット・デリクソン)

原作読んでるはずなのに全然覚えていませんでした…ところで短編の映画化に関しては、膨らませた部分が上手くいっているかどうかが勝負、みたいな所があるけど、実際のランタイムとは関係なく「短編そのまま」という不思議な印象を受けました。ソリッドなつく…

炎の少女チャーリー(キース・トーマス)

音楽がまさかのカーペンター御大だからその印象のためか、低予算で工夫して頑張っている感じとか、赤いエンドクレジットとか、70年代後半から80年代前半のSFホラーの雰囲気で、すごく良かったです。 というか、端的にいうと初期のクローネンバーグっぽい感じ…

モータルコンバット(サイモン・マッコイド)

敵も味方もあまり強そうじゃないのがなんとも…ただ真田広之と浅野忠信だけが気を吐いていたかなという印象です。 ☆☆☆

キング・アーサー(ガイ・リッチー)

映画館で観た予告で侮っていたことをお詫びしなければ…と思うくらい面白かったです。ファンタジーにまつわるVFXも予想以上にこなれてたし使いこなしてた印象(ムマキルがよかったですよね…)。 全般に、聖剣発動シーンは無双だし、ヴォーティガンとの一騎打…

クーリエ:最高機密の運び屋(ドミニク・クック)

端正なスパイ映画でした。今更ですがベネディクト・カンバーバッチは演技が素晴らしいですね。(もちろんオレグ役のメラーブ・ニニッゼもとてもよかったです。)平和を守るためという信念であえて祖国を裏切るというのはどのような気持ちだったのだろうか、…

スタートアップ!(チェ・ジョンヨル)

昭和の人情喜劇を今韓国で作ったら、みたいな映画でした。脚本はもうちょっとブラッシュアップできる余地があったかな。 ところでマ・ドンソクは、今回みたいに「別に主役じゃなくてもいいし」というような、ほとんどデ・ニーロのポジション的立ち位置になっ…

ゴーストバスターズ(ポール・フェイグ)

先日見た「アフターライフ」はジュブナイルSF(特にスピルバーグオマージュとして)という側面からの80年代リバイバルだったけど、こちらは派手さと悪ふざけという切り取り方だったですね。(だからリメイク元の精神にはこちらが近い。)プラクティカル・…

エベレスト(バルタザール・コルマウクル)

オールスターキャスト映画※ということもあって、欧米版『八甲田山』だなと思いました。あ、だから『エベレスト』で合っているのか。 すごい映像でしたね。実際に現場で撮影したという意気込みが反映していたと思うし、こういうことがありました、というある…

ジェントルメン(ガイ・リッチー)

『ロック、ストック~』や『スナッチ』を今やるならという感じだったんですね。語り手たる探偵の脚色がだんだん過剰になってホラ話じみてくるのも面白かった。キャストがすごく贅沢で、最近「得体のしれない人物」の役がやけに多いマシュー・マコノヒーがや…

最後まで行く(キム・ソンフン)

すごく面白かった。ノワール・コメディという感じかな。どういう結末になるのか見ている間見当がつかないところがよかったですね。とにかく観客を面白がらせてやろうという作り手側の貪欲さが韓国映画の勢いを感じさせます。 ☆☆☆1/2 ※ところで、あれこの…

神々の山嶺(パトリック・アンベール)

日本の原作であるにもかかわらずバンドデシネのアニメ化のような雰囲気でした。一方で、矛盾するようだけど実景を撮影したような生々しさ。(絶景という他ない山嶺の神々しさはもちろん、ビバークで夜を過ごすつらさとか、雪崩の質感とか。)映画とは「普通…